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第一章:再会
茶会の裏側(中)Side:影B
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ミリアが拘束されていた場所はもぬけの殻だが、影はその後の犯人達を追撃し、彼らのアジトを突き止めた。そこは三階建ての大きな建物で、その場所の入り口の前にランドルフはドンと構え、足を大きく振り上げバン!!と扉を蹴飛ばした。扉は無惨に吹き飛んでいく。
(おいおい、あんな丈夫そうな扉ひと蹴りかよ)
主人であるシルベスターに命令を受け、ランドルフを追ってきたベテランの影である。裏屋根から回ろうかと思っていたが、あっけなく正面を破っていったランドルフに置いていかれないように影は壊れた扉の破片を踏まないようにそっと入って行った。
(おっとっと、もう何人か倒れてやがる)
ランドルフは小物とみるや、剣も出さずに拳で殴り気絶させていっていた。次々と男が出てくるが、一人一人拳でなぐったり、剣で斬りつけたりしていった。数人一度に襲いかかろうとしている者もいたが、ランドルフにはかすりもしない。そして最上階の部屋に二十人程の武器を持った男たちとランドルフが対峙しているのが見えた。影は隣の部屋に入り、ひょいっと天井裏によじ登った。そして空気孔を通り、大部屋の見える位置まで移動した。
(ん??おいおい、もう殆んど倒れてるじゃねーか!)
ランドルフから目を離して天井裏に移動した時間約六十秒。その時間でランドルフは剣を振り上げ敵を斬っていった。
その部屋は麻薬や毒薬の製造場所となっていて、部屋の一角にはミリアが渡されたのと同じ瓶が無数に並んでいた。
(全員殺してくれるなよ~団長さん)
ランドルフは怒りに身を任せて斬っているように見えるが、幹部らしき人物は残していたようだ。残り一人となった時、諦めずに襲ってきた男をひょいっとかわし、右足の脛を斬りつけた。男は足を引きずって逃げようとするが、ランドルフは武器を取り上げ、男を膝まずかせた。
「さあ、黒幕を吐いてもらおうか」
「さあな、しらねーよ」
ミリアを拘束していたターバンの男がしらをきる。
ランドルフは剣を納め、手をボキボキと鳴らしターバンの男が先ほど持っていた剣を、バキッと折り曲げた。手から血がポタ、ポタ、と流れているが、ランドルフは気にする様子はない。
「左足もこんな感じで折ってやろうか?もう歩けなくなるなぁ。可哀想に」
「ぐっ・・・黒幕はあの第二王女の侍女の実家だ、サブリナって奴の家の帽子屋だ」
「ふん、嘘をつけ、こんな指示を出せるのはもっと上の人間だ。爵位持ちで、しかも相当な財力があるはずだ」
ランドルフは、ぐりぐりと男の左足を踏む。
「うぐぅ・・・!」
(うわー、どっちが悪役か分かんねーよ)
「・・・っバロック公爵だよ!公爵が俺たち身寄りのない集団に麻薬や毒の製作をさせたんだ。公爵が娼婦との間で産んだ隠し子に侍女をさせてて、そいつが毒を仕組むはずだよ」
男は観念したようにすべて答えていった。
「命拾いしたな。お前にはまだ証言してもらわねばならんからな。この証拠となる毒薬も持っていかそう」
国内の犯罪を取り締まるヴェール騎士団の隊員達が数人入ってきた。彼らは上から麻薬・毒薬製造の現場を押さえるように言われていたのだが、着いたときにはランドルフによりすべて終わらされていた。ヴェール騎士団員は、まだ息のある男達に手錠をし、ぞろぞろと連れていった。
「ブラン騎士団、団長殿!ご協力ありがとうございました!証拠をすべて押収しました!」
「ご苦労、俺は今からバロック公爵家に行って、罪を全部吐かせてくる」
(うわぁ~こりゃ今日中に片付くかもしれねーな)
このアジトには合計五十人程が潜んでいた。それを全てランドルフが一人で始末したのだ。
この事件をきっかけに、ヴェール騎士団ではランドルフのことを‘疾風の鬼神’と呼ぶようになった。
(おいおい、あんな丈夫そうな扉ひと蹴りかよ)
主人であるシルベスターに命令を受け、ランドルフを追ってきたベテランの影である。裏屋根から回ろうかと思っていたが、あっけなく正面を破っていったランドルフに置いていかれないように影は壊れた扉の破片を踏まないようにそっと入って行った。
(おっとっと、もう何人か倒れてやがる)
ランドルフは小物とみるや、剣も出さずに拳で殴り気絶させていっていた。次々と男が出てくるが、一人一人拳でなぐったり、剣で斬りつけたりしていった。数人一度に襲いかかろうとしている者もいたが、ランドルフにはかすりもしない。そして最上階の部屋に二十人程の武器を持った男たちとランドルフが対峙しているのが見えた。影は隣の部屋に入り、ひょいっと天井裏によじ登った。そして空気孔を通り、大部屋の見える位置まで移動した。
(ん??おいおい、もう殆んど倒れてるじゃねーか!)
ランドルフから目を離して天井裏に移動した時間約六十秒。その時間でランドルフは剣を振り上げ敵を斬っていった。
その部屋は麻薬や毒薬の製造場所となっていて、部屋の一角にはミリアが渡されたのと同じ瓶が無数に並んでいた。
(全員殺してくれるなよ~団長さん)
ランドルフは怒りに身を任せて斬っているように見えるが、幹部らしき人物は残していたようだ。残り一人となった時、諦めずに襲ってきた男をひょいっとかわし、右足の脛を斬りつけた。男は足を引きずって逃げようとするが、ランドルフは武器を取り上げ、男を膝まずかせた。
「さあ、黒幕を吐いてもらおうか」
「さあな、しらねーよ」
ミリアを拘束していたターバンの男がしらをきる。
ランドルフは剣を納め、手をボキボキと鳴らしターバンの男が先ほど持っていた剣を、バキッと折り曲げた。手から血がポタ、ポタ、と流れているが、ランドルフは気にする様子はない。
「左足もこんな感じで折ってやろうか?もう歩けなくなるなぁ。可哀想に」
「ぐっ・・・黒幕はあの第二王女の侍女の実家だ、サブリナって奴の家の帽子屋だ」
「ふん、嘘をつけ、こんな指示を出せるのはもっと上の人間だ。爵位持ちで、しかも相当な財力があるはずだ」
ランドルフは、ぐりぐりと男の左足を踏む。
「うぐぅ・・・!」
(うわー、どっちが悪役か分かんねーよ)
「・・・っバロック公爵だよ!公爵が俺たち身寄りのない集団に麻薬や毒の製作をさせたんだ。公爵が娼婦との間で産んだ隠し子に侍女をさせてて、そいつが毒を仕組むはずだよ」
男は観念したようにすべて答えていった。
「命拾いしたな。お前にはまだ証言してもらわねばならんからな。この証拠となる毒薬も持っていかそう」
国内の犯罪を取り締まるヴェール騎士団の隊員達が数人入ってきた。彼らは上から麻薬・毒薬製造の現場を押さえるように言われていたのだが、着いたときにはランドルフによりすべて終わらされていた。ヴェール騎士団員は、まだ息のある男達に手錠をし、ぞろぞろと連れていった。
「ブラン騎士団、団長殿!ご協力ありがとうございました!証拠をすべて押収しました!」
「ご苦労、俺は今からバロック公爵家に行って、罪を全部吐かせてくる」
(うわぁ~こりゃ今日中に片付くかもしれねーな)
このアジトには合計五十人程が潜んでいた。それを全てランドルフが一人で始末したのだ。
この事件をきっかけに、ヴェール騎士団ではランドルフのことを‘疾風の鬼神’と呼ぶようになった。
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