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第一章:再会
Side:影A
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第一王子シルベスターには影と呼ばれる数人の集団がシルベスターやその周りを常に影から守っている。影武者のような存在でもあり、シルベスターの目や耳となり情報収集もおこなっている。ミリアが眠らされ連れていかれた際に活躍したのが彼らである。彼らは敵に気づかれずにミリアを追跡し、ミリアが一人になった際に接触し、計画のやり取りをしたのだ。そして影達はシルベスター以外には一切姿をみせない。
そして今日も影の一人がミリアの監視を任され、天井裏から見守っている。視界は狭くとも影の視力は皆馬並みであるのではっきりとその目で捕らえることができるのだ。
「あんっ・・・!もうちょっとゆっくり」
「す、すまん・・・!!」
色めいたような会話が漏れ聞こえてくる。声だけ聞くと夜男女が行うあの行為をしているように聞こえるが、ランドルフがミリアを縛った紐をほどいている最中の会話である。
(うわ~ランドルフ騎士団長、どんだけ複雑に縛ってんだよ、こりゃプロ顔負けだわ)
影は天井裏でぼそっと呟いたが、ミリアの痛ましいような艶めいた声にかききえてミリア達にはその声は届いていない。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「よし、これで最後だ」
紐がようやく解けたようだが、ミリアの頬はずっと力んでいたせいで赤く色づき、白い肌に紐の赤い跡が官能的に所々残っていた。その痛みで瞳はうるうると涙がたまっており、影はその様子にドキリとしてしまった。
ーごっくんーー
影はゆっくりと自分の唾を飲み込んだ。
(うっ・・・危ない、仕事だって忘れるところだった)
影はもちろん、ランドルフも固まっているようだった。そしてハッと我にかえったランドルフは膝間付き、ドンッと床に頭突きをした。いわゆる土下座である。
「本当にすまなかった!!」
(いやいや、頭、床にのめり込んでるから!床にヒビ入ってるから!)
影の心の中の叫びむなしく、ぐりぐりと頭をさらにのめり込ませている。
「し・・・ランドルフ騎士団長、頭を上げて下さい!わたは気にしてませんから!」
「し、しかし罪のない女性に剣先を向けてしまった上に、縛りあげるなんて。フェリス国の騎士失格だ・・・!!」
土下座を保ったままランドルフは懺悔する。ミリアは困ったようにあたふたとしていたが、何度も気にしていないと諭した後やっと土下座を解いた。
「悔やんでも悔やみきれん。何か詫びがしたいのだが、なにか欲しい物はないか?騎士団長だからそこそこ給料はもらってるからな、遠慮はいらないぞ」
「いやいや、そんなことしてもらう必要ありませんから!!本当にお気遣いなく!!」
(早く終わらねーかなー)
ミリアが必要ないと何度も言うが、ランドルフは全く引く様子がない。影はこの長く続くドタバタ劇を呆れた顔で見ていたが、数分後ようやく終わりの兆候をみせた。
「う~ん、分かりました。じゃあ今度ご飯奢ってください。あ、あと最近引っ越して色々揃えるものがあるので買い物につきあっていただけると嬉しいです」
「・・・そんなことでいいのか?うーん、分かった。じゃあ次の君の休みに休みを合わせよう」
(ちぇっ、俺も美人とお出かけしたいぜ・・・あーあ、次の休みは花街でねーちゃん達に相手してもらうか)
まだ若く、彼女もいないし上司(もちろんシルベスターのこと)には四六時中こき使われるやで、この情景に影はため息をつかざる終えなかった。
そして今日も影の一人がミリアの監視を任され、天井裏から見守っている。視界は狭くとも影の視力は皆馬並みであるのではっきりとその目で捕らえることができるのだ。
「あんっ・・・!もうちょっとゆっくり」
「す、すまん・・・!!」
色めいたような会話が漏れ聞こえてくる。声だけ聞くと夜男女が行うあの行為をしているように聞こえるが、ランドルフがミリアを縛った紐をほどいている最中の会話である。
(うわ~ランドルフ騎士団長、どんだけ複雑に縛ってんだよ、こりゃプロ顔負けだわ)
影は天井裏でぼそっと呟いたが、ミリアの痛ましいような艶めいた声にかききえてミリア達にはその声は届いていない。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「よし、これで最後だ」
紐がようやく解けたようだが、ミリアの頬はずっと力んでいたせいで赤く色づき、白い肌に紐の赤い跡が官能的に所々残っていた。その痛みで瞳はうるうると涙がたまっており、影はその様子にドキリとしてしまった。
ーごっくんーー
影はゆっくりと自分の唾を飲み込んだ。
(うっ・・・危ない、仕事だって忘れるところだった)
影はもちろん、ランドルフも固まっているようだった。そしてハッと我にかえったランドルフは膝間付き、ドンッと床に頭突きをした。いわゆる土下座である。
「本当にすまなかった!!」
(いやいや、頭、床にのめり込んでるから!床にヒビ入ってるから!)
影の心の中の叫びむなしく、ぐりぐりと頭をさらにのめり込ませている。
「し・・・ランドルフ騎士団長、頭を上げて下さい!わたは気にしてませんから!」
「し、しかし罪のない女性に剣先を向けてしまった上に、縛りあげるなんて。フェリス国の騎士失格だ・・・!!」
土下座を保ったままランドルフは懺悔する。ミリアは困ったようにあたふたとしていたが、何度も気にしていないと諭した後やっと土下座を解いた。
「悔やんでも悔やみきれん。何か詫びがしたいのだが、なにか欲しい物はないか?騎士団長だからそこそこ給料はもらってるからな、遠慮はいらないぞ」
「いやいや、そんなことしてもらう必要ありませんから!!本当にお気遣いなく!!」
(早く終わらねーかなー)
ミリアが必要ないと何度も言うが、ランドルフは全く引く様子がない。影はこの長く続くドタバタ劇を呆れた顔で見ていたが、数分後ようやく終わりの兆候をみせた。
「う~ん、分かりました。じゃあ今度ご飯奢ってください。あ、あと最近引っ越して色々揃えるものがあるので買い物につきあっていただけると嬉しいです」
「・・・そんなことでいいのか?うーん、分かった。じゃあ次の君の休みに休みを合わせよう」
(ちぇっ、俺も美人とお出かけしたいぜ・・・あーあ、次の休みは花街でねーちゃん達に相手してもらうか)
まだ若く、彼女もいないし上司(もちろんシルベスターのこと)には四六時中こき使われるやで、この情景に影はため息をつかざる終えなかった。
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