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救助

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「なんなら僕が結婚してあげてもいい。君みたいにおとなしくて、シャイで、何も言わない女性は僕の好みだ。それに・・僕は君にとても好条件でしょう?」


(勝手に勘違いしないで・・・あなたなんか、お、お断りですから・・・)


エリカはそう言いたいのに力が入らない。ゼーランドはエリカの顔に近づき、キスをする。しかし下半身はなぜか反応してしまう。


「ん・・・あぁ・・・・」


ゼーランドは一方通行のキスを楽しんでいるようだ。ゼーランドは一向に口を開こうとしないエリカに痺れを切らし、エリカの鼻をつまみ、口を開かせ口内を犯していく。


(や、やめて・・・気持ち悪い・・・気持ち悪いのに・・・)


「いや・・・」
「恥ずかしがらなくていい」



力の入らないエリカは腰を抱かれる。ゼーランドのお粗末な股間が盛り上がり、エリカの下腹部を圧迫した。


「い、や・・・」


エリカの抵抗も空しく、ゼーランドはエリカのスカートのドレスを捲り上げ、彼のイチモツを取り出す。そしてエリカの耳元で囁いた。


「大丈夫、責任は取るし・・・すぐに気持ちよくなれるよ」


(この人・・・私を今ここで犯す気・・・)


エリカはそのことに気がつき、恐怖に震える。そんな怖がるエリカを見ても、ゼーランドを更に興奮するだけであった。


「ああ、いいね。恐怖で夫の言いなりになる妻・・・」


ゼーランドは歪んだ笑顔をエリカに向ける。


「い・・・やぁ・・・レ、オン・・・ビッグだんちょぉ・・・助け・・・て」


(他の人じゃ、嫌っ・・・)


──キィン


「・・・ひぃぃいい!!」


鞘から剣を取り出す音が聞こえ、急に体の圧迫感がなくなる。目を開けると、ビッグがゼーランドの喉元に剣先を突きつけていた。


「おい、お前・・・何してるか分かってやってんだろうな・・・」
「お、お前はっ・・・!!第一騎士団長・・・!!な、何をするんだ!!剣を下げろ!!」


ゼーランドは驚きの声をあげる。ゼーランドがエリカを離したのを見て、ビッグは剣を下げるもゼーランドの喉から血が流れていた。


「ぼ、僕の喉がぁ・・・!!」
「あ、お前が騒ぐから、手元が狂ってちょっと切れちまった。まあ医者に見せたら治るから大丈夫だ」


ゼーランドは喉の血を見て「僕の大事な体が・・・」と怒りで震えている。


「お前・・・ただじゃおかない・・・。私は、お前ら騎士団の大きなスポンサーだぞ!!」


すると奥からゼーランドと同じ金色の髪が現れる。ゼーランドとは違い、正真正銘の輝かしい金だ。


「・・・君のサポートはもういらないよ、ゼーランド伯爵」
「・・・レオン王子!!」


レオンもそこに駆け付けていたのだ。レオンの表情はいつもの優しさは一欠片もなく、氷のように冷たい。


「よくも僕の婚約者に手を出したね」
「で、でもレオン王子・・・彼女とは婚約破棄するんじゃ」
「もしそうだとしても、君はエリカに媚薬を盛って、襲っていいなんてことはない」


(び、媚薬・・・!?私、そんなの盛られてたぉ!?)


エリカは体が少し痺れて疼く理由が分かり驚くも、体に力が入らず、近づいてきたレオンの体にもたれ掛かった。


「あと、僕は彼女と婚約破棄するつもりは全くないよ。君は家で強姦罪の処罰を待っていることだね」
「や、レ、レオン王子!!私は今まで国のために働き貢献してきました!!こ、これはつい出来心なんです・・・そ、そうだ。この女が寂しそうにしてるから、ちょっと慰めてあげただけで・・・」


ビッグは再び剣を取り出し、ゼーランドの頬にピタリとつけた。


「次に手元が狂ったらお前の大事な顔がグッサリいくかもなぁ・・・」
「ひ、ひぃぃぃい!!」


ゼーランドが大人しくなったところでレオンがさらに続ける。


「君が裏で取引して不当に儲けてるの、知ってるんだよ。正当性を訴えたいなら裁判でするんだね。ま、こうなったら君を訴える人がたくさん出てくるだろうけどね強姦、賄賂、薬・・・探れば探るだけ出てくるんだろうなぁ」


ゼーランドは「そんな・・・!!」と言いながらしゃがみこむ。ビッグは彼を他の警備員に引き渡し、レオンの指示で誰にも見られないようにパーティーを抜け出した。エリカはビッグの腕に抱かれている。



「遅くなってごめんね・・・エリカ」
「すまない、エリカ・・・怖かっただろう?」


ビッグは抱いている手を強め、レオンもエリカの額にキスをする。


(この温もり・・・ここが私の場所・・・)


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