上 下
14 / 38

シュバルツとライトの会話

しおりを挟む

「え~!!まだキスもしてないの!?」
「・・・私はセナの命を助けるために夫婦になった訳で・・・セナに何も夫婦としての関係を強要したい訳ではない」


セナを保護するため、幸せのためには愛人を迎えるのもやぶさかではないとのライトの発言に、ウイスキーを片手にもっていたシュバルツが驚いて落としそうになっている。


「はぁ?お前彼女好きなん、まじで気がつてないの?セナちゃんのこと・・・今もセナちゃんに早く会いたいから僕に早く帰れって顔してるじゃないか」
「・・・そ、そんなことは決して・・・」


(彼女との関係は、友情・・・?いや、その言葉は違うな。同士・・・いや違う)



「あーあ、二十五歳にもなって初恋とか面倒でしかないなぁ」


シュバルツはやれやれと首を振っている。ライトはこれ以上シュバルツに何を言っても反論できないと思い黙りこんだ。


「本当にセナちゃんに愛人ができてもいいと思ってるの?そんなんだね」
「・・・ああ。彼女が幸せなら」
「ふぅ~ん、そうか・・・。じゃあこれ、言ってもいいのかな。実は最近ダラス共和国の戦士で捕虜から解放された奴が彼女に会わせろってしつこいのがいるんだよね。そいつがセナちゃんの婚約者だったって言うんだ」


(なんだって・・・)


「そう言うなら会わせてもいいよね」
「・・・それが本当であれば・・・構わないが」


(セナには、婚約者がいたのか・・・二人は愛し合っていた?)


ぐるぐるとライトは思考を巡らした。もし二人が本当に愛し合っているのであれば、ライトは邪魔者である。


──パリン──


力を入れすぎてライトの握っていたウイスキーの入ったグラスは粉々に割れてしまう。


「ちょ、ちょっとライト・・そんな鬼みたいな顔して、本当に気づいてないのかよ!!こわっ!!」


シュバルツの目はライトを残念な奴だと哀れんでいる。髪を掻きあげ、これ以上言っても無駄だとシュバルツは判断した。


「じゃ、僕は帰るとするか。また、そいつ一回連れて行くから会わせてみよう」
「ああ・・・分かった」


シュバルツはそう言ってそそくさと帰っていった。
しおりを挟む
感想 65

あなたにおすすめの小説

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

嫌われ女騎士は塩対応だった堅物騎士様と蜜愛中! 愚者の花道

Canaan
恋愛
旧題:愚者の花道 周囲からの風当たりは強いが、逞しく生きている平民あがりの女騎士ヘザー。ある時、とんでもない痴態を高慢エリート男ヒューイに目撃されてしまう。しかも、新しい配属先には自分の上官としてそのヒューイがいた……。 女子力低い残念ヒロインが、超感じ悪い堅物男の調子をだんだん狂わせていくお話。 ※シリーズ「愚者たちの物語 その2」※

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

【完結】婚約破棄寸前の悪役令嬢に転生したはずなのに!?

もふきゅな
恋愛
現代日本の普通一般人だった主人公は、突然異世界の豪華なベッドで目を覚ます。鏡に映るのは見たこともない美しい少女、アリシア・フォン・ルーベンス。悪役令嬢として知られるアリシアは、王子レオンハルトとの婚約破棄寸前にあるという。彼女は、王子の恋人に嫌がらせをしたとされていた。 王子との初対面で冷たく婚約破棄を告げられるが、美咲はアリシアとして無実を訴える。彼女の誠実な態度に次第に心を開くレオンハルト 悪役令嬢としてのレッテルを払拭し、彼と共に幸せな日々を歩もうと試みるアリシア。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~

雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」 夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。 そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。 全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載

処理中です...