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朝
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固くて広い、心地の良い感触が頬に当たっている。ここにはもう、牢屋の冷たさはない。
「んん・・・」
パチパチと目を開けると、目の前には男性の胸があり、セナはがっしりと抱き抱えられていた。恐る恐る上を見ると、すやすやとライトが眠っている。
──ドキン──
(そうだった・・・私はライトの奥さんになったんだ)
ライトは昨日ずっと厳しい顔をしていたが、眠っている時の顔は穏やかだ。胸から匂い立つ男の香りを嗅ぐと、なぜかセナの鼓動が速くなった。
「ん・・・」
眠りから覚め、胸元に気配を感じたのかライトとは少し下を見ると、彼と目が合った。
「お、おはようライト」
「・・・おはよう」
彼の穏やかだった顔が厳しい顔つきになる。
「よく、寝れたか?」
「ああ、ライトの胸の中はとても気持ちがいいのだな。本当にぐっすり寝れた」
「・・・」
ライトは黙りこんだ。セナは、もしかするとライトは寝心地が悪かったのかと不安になった。
「すまない・・・。もしかして駄目だった・・・か?」
上目遣いにライトを見て様子を伺っていると、眉間にシワが寄る。布団の中で固いものがフィーヌに当たるが、もしかすると彼は寝ている間も帯剣しているのかもしれない。
「構わない」
「いいのか?」
「ああ」
「そうか・・・」
安心してホッと息を吐くとライトはセナの髪をくしゃくしゃと掻き乱した。そして髪の上にキスをする。
「っ・・・///」
セナは男性にそんな扱いを受けたこともなく、キスもしたことはなかった。頭にとはいえキスをされ、セナはドキドキと胸が高鳴った。
「す、すまない。つい・・・」
セナはブンブンと顔を振った。男性に触られたことがあるが、気持ち悪い感情しか芽生えなかった。しかしライトに触れられても全く嫌な感情は芽生えない。
(顔が・・・なんだか熱いな)
セナは暑さを感じ、布団から飛び出た。窓からの朝日の光でセナの姿がはっきりと映る。
──バタン!!──
ライトが逃げるようにドアに駆け寄り、素早く部屋を出ていった。外でガシャン、ドシン、と何か倒れる音がする。
(どうしたんだ?何か怒らせてしまったか?)
そう思っていると昨日の侍女たちが部屋に入ってくる。
「おはようございます、セナ様・・・お着替えを致しましょうね」
「ありがとう。今ライトが慌てて出てったようだが、私は何かしてしまったのだろうか」
「いえ、セナ様。きっとセナ様のお美しい姿を見て恥ずかしくなってしまったのでしょう」
(私の、美しい姿・・・?)
「ま、まさか。私が美しくなんか・・・」
「何を仰るやら!!この白銀の髪にまっ白なお肌・・・」
「小さいお顔に控えめな唇・・・」
「そしてこの小柄な体に付いた豊満なお胸!!」
昨日途中で出ていってしまった侍女を筆頭に鼻息をフーフーと鳴らしながら興奮した様子で熱弁され侍女たちがグイグイと迫ってきたのでセナは頷くしかない。
(ライトが・・・私を美しいと思ってくれてるのか?)
セナは、自身が女性として見られていると思わず意識していなかったのだが、急にライトにどう思われているのか気になり顔を赤くする。
「あらあら」
「まあまあ」
侍女たちがセナの顔が赤くなるのを見て、フフフと笑っている。
「さあ、今日も綺麗に着飾りましょうね、セナ様」
そして侍女たちはセナにどの衣装を着せるか口論をし始める。セナが昨日の服で良いと言うと、なぜか侍女たちに怒られ、セナは黙って彼女たちのされるがままとなったのだった。
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