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運命⑤~ライト視点~
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「お帰りなさいませ、旦那様」
「ただいまビクター」
ライトはその後セナを下がらせ、終わらせなければいけない仕事を城の別塔で行い、戻ってきたところである。
「セナは・・・どうだった」
「やはりお疲れのようで、食事された後はおやすみになられました」
「そうか・・・」
ビクターはライトに意味深な目線を向けてくる。唇が上がっており笑いをこらえているのは一目瞭然である。
「なんだ。言いたいことがあるなら言え」
「・・・いえ、旦那様が敵国の戦士を奥方に迎えるとおっしゃられた時は、旦那様の気が狂ったと思いましたが・・・。いやぁ、あの方なら納得です」
ビクターは執事をしているが、他国の元戦士であった。戦闘で負傷し、ライトの執事として働きはじめたのだが、彼はよく気が利き、ライトとしてもとても重宝している。
「でも、あんな方があの噂の“小猿”だったなんて、未だに信じれませんね」
「ああ、あんな小さな体でよく戦っていたものだな。少し痩せてたから、もう少し食べさせないとな。洋服もいくつか取り繕わなければ・・・」
(あんな破廉恥な服もだめだ、侍女たちに言ったておかなければな)
「ふふ・・・旦那様のこんな姿を見れるなんて想像できませんでしたよ」
「なんだ、妻を心配するのは夫の務めであろう」
「そうでございますね。ささ、旦那様もお疲れでしょう。おやすみになってください」
ビクターはライトを寝室に急かした。
+
+
+
「ぶほっ・・・」
「んんん・・・お帰り、ライト。お疲れ様」
(どういうことだ・・・)
女神がライトのベッドに横たわっている。彼女のは目を擦りながらライトを迎えた。
「なななんでここに・・・」
「ん?侍女がここで寝るように言っていた。私たちは夫婦だから」
一応夫婦であっても寝室は分かれており、真ん中に鍵のない扉が付いている。彼女には彼女の部屋があるにも関わらず、セナはライトの寝室で寝ていたのだ。結婚したら子作りは義務としてしてもらうかもしれないが、本人が拒否するのであれば子供はいらないと考えていたくらいだ。それが既にこれである。
「きちんと布団を被らないと、風邪をひくぞ」
「ああ、ありがとう」
布団が捲れており、彼女の格好を直視してしまう。暗いのだがライトは夜間の戦闘にも長けており夜でも彼女をはっきりと見ることができる。彼女はゆったりとしたナイトウェアを着ており、体のラインが丸分かりで今日洋服の中で窮屈そうだった胸は、セナが少し動くたびにプルリと弾んでいる。ライトはそんなセナから目を反らせながら、布団へと入った。
(ベッドが大きくて良かった・・・)
ライトはできるだけ隅に寄り、彼女に背中を向けた。
「不便はなかったか」
「ああ、食事は旨かったし、侍女たちもとても良くしてくれている」
「そうか・・・」
それ以上会話が弾まず沈黙が続いた。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
ライトは目を閉じているのだが、なかなか睡魔が襲ってこない。しばらくしてセナの一定の呼吸が聞こえてくる。御披露目まで絶対に彼女に手を出すなと国王にも言われている。ライトは「はぁ」とため息をつき徹夜を覚悟した。
「ただいまビクター」
ライトはその後セナを下がらせ、終わらせなければいけない仕事を城の別塔で行い、戻ってきたところである。
「セナは・・・どうだった」
「やはりお疲れのようで、食事された後はおやすみになられました」
「そうか・・・」
ビクターはライトに意味深な目線を向けてくる。唇が上がっており笑いをこらえているのは一目瞭然である。
「なんだ。言いたいことがあるなら言え」
「・・・いえ、旦那様が敵国の戦士を奥方に迎えるとおっしゃられた時は、旦那様の気が狂ったと思いましたが・・・。いやぁ、あの方なら納得です」
ビクターは執事をしているが、他国の元戦士であった。戦闘で負傷し、ライトの執事として働きはじめたのだが、彼はよく気が利き、ライトとしてもとても重宝している。
「でも、あんな方があの噂の“小猿”だったなんて、未だに信じれませんね」
「ああ、あんな小さな体でよく戦っていたものだな。少し痩せてたから、もう少し食べさせないとな。洋服もいくつか取り繕わなければ・・・」
(あんな破廉恥な服もだめだ、侍女たちに言ったておかなければな)
「ふふ・・・旦那様のこんな姿を見れるなんて想像できませんでしたよ」
「なんだ、妻を心配するのは夫の務めであろう」
「そうでございますね。ささ、旦那様もお疲れでしょう。おやすみになってください」
ビクターはライトを寝室に急かした。
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「ぶほっ・・・」
「んんん・・・お帰り、ライト。お疲れ様」
(どういうことだ・・・)
女神がライトのベッドに横たわっている。彼女のは目を擦りながらライトを迎えた。
「なななんでここに・・・」
「ん?侍女がここで寝るように言っていた。私たちは夫婦だから」
一応夫婦であっても寝室は分かれており、真ん中に鍵のない扉が付いている。彼女には彼女の部屋があるにも関わらず、セナはライトの寝室で寝ていたのだ。結婚したら子作りは義務としてしてもらうかもしれないが、本人が拒否するのであれば子供はいらないと考えていたくらいだ。それが既にこれである。
「きちんと布団を被らないと、風邪をひくぞ」
「ああ、ありがとう」
布団が捲れており、彼女の格好を直視してしまう。暗いのだがライトは夜間の戦闘にも長けており夜でも彼女をはっきりと見ることができる。彼女はゆったりとしたナイトウェアを着ており、体のラインが丸分かりで今日洋服の中で窮屈そうだった胸は、セナが少し動くたびにプルリと弾んでいる。ライトはそんなセナから目を反らせながら、布団へと入った。
(ベッドが大きくて良かった・・・)
ライトはできるだけ隅に寄り、彼女に背中を向けた。
「不便はなかったか」
「ああ、食事は旨かったし、侍女たちもとても良くしてくれている」
「そうか・・・」
それ以上会話が弾まず沈黙が続いた。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
ライトは目を閉じているのだが、なかなか睡魔が襲ってこない。しばらくしてセナの一定の呼吸が聞こえてくる。御披露目まで絶対に彼女に手を出すなと国王にも言われている。ライトは「はぁ」とため息をつき徹夜を覚悟した。
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