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光、本音が言えない:ルミ視点
しおりを挟む「なんでいつもいつも見つかるんだ!!」
見慣れた彼の悔しそうな横顔を眺める。
「そんなの簡単だわ。なんでかは教えてあげないけどね」
「あ~!なんでなんだ!!」
彼は髪の毛をぐしゃぐしゃかきむしって悔しそうに私を睨む。
(それは、あなたのことが好きだからよ)
彼と出会ってから私はあの灰色の瞳に囚われたのかもしれない。たまに彼の瞳に映り込む私の顔は、女優マーサではなく、強がってもただの怖がりの少女ルミなのだ。そんな彼をどこにいたっていつも見つけてしまうのだ。
(たとえいなくても探してしまうもの)
第一王子シルベスターがベラ様と会っていたときに、私がキョロキョロしていると「うふふ・・・誰を探しているの、マーサ」とベラ様は可笑しそうに聞いてきた。そして「今日はあいつはいないよ」と王子が付け加えたのだ。私は二人にバレていたと思うと恥ずかしくて顔を真っ赤にした。
(素直に気になるって言いたいのに、いつもバカにして誤魔化しちゃうのよね・・・)
「次変装してる私を先に見つけたら教えてあげてもいいわよ」
「くそ、生意気な。よし・・・分かった。次は先にお前を見つけてやる。とりあえずお前の顔をじっくり見せろ。特徴を捉えとかないとな」
灰色の瞳で彼は私をじっと見つめていた。その瞳は真っ直ぐで私の心まで裸にされてしまう気持ちになってしまった。
「・・・そんな見ないでよ」
(その瞳でそんな見られたら恥ずかしい・・・)
耳がかーっと熱くなるのが自分でも分かった。彼はそっと手を伸ばし私の耳に触れた。
「ひゃっ・・・」
「す、すまん」
耳に触れられた途端ぞわぞわっと不思議な感覚が襲ってきて変な声を出してしまった。
「今度お前の劇、見にいくよ」
「な・・・なによ急に。見たかったら勝手に来ればいいでしょ、影の坊やちゃん」
「いつも坊や坊やって・・・俺の名前はレンだ。覚えとけよ!」
「レン・・・」
私は小声で彼の名前を呼んだ。
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