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スコットの独白(後)
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フィル様は仕事をこなしながらお嬢様の捜索を行いました。睡眠を削られているので徐々にフィル様のお顔はやつれていらっしゃいます。
「おいスコット、この記事見てみろ・・・」
「とても素晴らしい記事でございますね。ダリル領への愛も感じられます」
「見てほしいのはここだ・・・」
ダリル領を紹介したコラムに、フィル様が身分を伏せて行った支援事業について書かれておりました。記者の名前はエリィ・ベイカー。エリィはお嬢様の愛称でございます。
「可能性は、ある・・・ダメ元で問い合わせてみよう」
「かしこまりました」
+
+
+
おっと、私も涙が・・・。失礼しました。なんとフィル様は無事お嬢様を連れ戻してこられ、お二人は結婚することになったのでございます。私や使用人たちは旦那様から二人が結婚するまでお嬢様の純潔を守るようにと命令を受けまして、私たちは目をギンギンに光らせております。
「エリィ、一緒に庭に散歩しないか」
「ええ、今日は桜が満開だそうよ!見に行きましょう」
お二人はお庭に散歩に出かけることも多々ありました。季節の花を愛でているようです。本日は桜の木を眺めてらっしゃいます。
「素敵ね、フィル・・・」
「ええ、とっても素敵です・・・小さい鼻に可愛らしい唇・・・」
「もう、フィルったら、桜の話をしてるのよ!」
「ああ、すみません、君が綺麗でつい見つめてしまいました」
ゲホッ・・・最近のフィル様は砂を吐くほど甘ったるいのでございます。
「ああ、やっぱりこの唇、吸い付きたくなる可愛さだ・・・」
「フィ、フィル・・・」
ーチュッチュッ
「んんん・・・フィルぅ・・・」
「ああ、唇がとても甘いよ」
仲が良いのは宜しいのですが、私は心を鬼にしなければなりません。
「ごっほん、フィル様、お嬢様。そろそろお時間でございます」
「スコット、今良いところなんだよ」
「ちょっと、フィル・・・外でそんなところ・・」
フィル様はとても不満げで、お嬢様は顔を真っ赤にしておられます。フィル様がお嬢様のスカート中に手を入れようとしているところも止めなければなりません。
「少し見逃してくれよ、スコット」
「そんな訳にはいきません。旦那様のご命令ですからね」
+
+
+
結婚までお嬢様は王都のタウンハウスにいらっしゃいます。仕事の合間などにフィル様は毎日お嬢様にラブレターをお書きになっており、それを毎日送ってらっしゃいます。
「スコット・・・エリィへの手紙が一枚に収まらないんだ・・・でもエリィが一日一枚だけででいい言うんだが、どれを削れば良いと思う?」
私はふざけた質問だと思いましたが、どんな手紙を書いているのか興味本意でその手紙を読んだのです。
ー愛しのエリィへ
昨夜も一人ベッドで寂しかったですがエリィの可愛い姿を思い出しながら寝ました。結婚したら毎日エリィが朝隣にいると思うと、楽しみでたまりません。先日エリィがこちらに戻ったときにエリィの苦手なピーマンが出ていましたね。端に避けているところを見ましたよ。次は僕が食べてあげますからね。
エリィは小さい頃よく僕の代わりに苺を食べてくれましたね。実は僕の苺が嫌いだという話は嘘でした。エリィの真っ赤な舌に絡まる苺とあふれる果汁を見たくてわざと嫌いな振りをして食べてもらっていたんです。苺の食べさせ合いをしたいです。エリィのアーンと口を開けた顔も好きですから。
あと、今度エリィの好きな『飴玉』を買ってきます。でもエリィには渡してあげません。僕が舐めている飴玉を口移しでなら差し上げてもかまいません。今度飴玉を舌で渡しあいましょう。
その情景を想像するだけで僕の自身の息子がむくむくと・・・
ーフィル
最後のあたりは皆様に聞かせる訳にはいかないので割愛しますが、私とても無駄な時間を過ごしてしまった気がします。
+
+
+
「フィル様・・・本当に新聞社へは仕事で行ってるのでしょうか?」
「何を当たり前のことを言ってるんだ」
フィル様は仕事のこともあり月に数回お嬢様のいる王都へ向かいます。ちなみにそれには私も同行しております。
(これは・・・なにか良いことがありましたね)
お嬢様のいる新聞社へ仕事へ行ったあとのフィル様は浮かれているように感じます。何かやましいことをしているのではないでしょうか。お嬢様にもフィル様の新聞社での仕事ぶりをお聞きするのですが、顔を赤らめて誤魔化されてしまいます。
「エリィ、今日は寒いだろう、このストッキングを穿いていったほうが良いぞ」
「そうかしら?」
お嬢様は少しセクシーなストッキングをお穿きになり、仕事へと向かってらっしゃいました。
「ただいま」
「おかえりなさいませ、お嬢様、フィル様」
(ん?)
お嬢様は朝お穿きになったストッキングを穿いておられないようです。
「お嬢様、今朝お穿きになったストッキングは・・・?」
「ああ、あれは職場で破れてしまってもう捨てたのよ・・・じゃ、じゃあ私疲れたから部屋に戻るわね」
お嬢様はそそくさと部屋に戻ってしまわれました。フィル様は満足気な顔をしておられます。
「フィル様・・・あなたもしかして・・・」
「僕は何もしてないぞ」
明らかに怪しい二人です。ああ、お嬢様・・・本当に彼で良いのですか?私は心配でございます・・・
「おいスコット、この記事見てみろ・・・」
「とても素晴らしい記事でございますね。ダリル領への愛も感じられます」
「見てほしいのはここだ・・・」
ダリル領を紹介したコラムに、フィル様が身分を伏せて行った支援事業について書かれておりました。記者の名前はエリィ・ベイカー。エリィはお嬢様の愛称でございます。
「可能性は、ある・・・ダメ元で問い合わせてみよう」
「かしこまりました」
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おっと、私も涙が・・・。失礼しました。なんとフィル様は無事お嬢様を連れ戻してこられ、お二人は結婚することになったのでございます。私や使用人たちは旦那様から二人が結婚するまでお嬢様の純潔を守るようにと命令を受けまして、私たちは目をギンギンに光らせております。
「エリィ、一緒に庭に散歩しないか」
「ええ、今日は桜が満開だそうよ!見に行きましょう」
お二人はお庭に散歩に出かけることも多々ありました。季節の花を愛でているようです。本日は桜の木を眺めてらっしゃいます。
「素敵ね、フィル・・・」
「ええ、とっても素敵です・・・小さい鼻に可愛らしい唇・・・」
「もう、フィルったら、桜の話をしてるのよ!」
「ああ、すみません、君が綺麗でつい見つめてしまいました」
ゲホッ・・・最近のフィル様は砂を吐くほど甘ったるいのでございます。
「ああ、やっぱりこの唇、吸い付きたくなる可愛さだ・・・」
「フィ、フィル・・・」
ーチュッチュッ
「んんん・・・フィルぅ・・・」
「ああ、唇がとても甘いよ」
仲が良いのは宜しいのですが、私は心を鬼にしなければなりません。
「ごっほん、フィル様、お嬢様。そろそろお時間でございます」
「スコット、今良いところなんだよ」
「ちょっと、フィル・・・外でそんなところ・・」
フィル様はとても不満げで、お嬢様は顔を真っ赤にしておられます。フィル様がお嬢様のスカート中に手を入れようとしているところも止めなければなりません。
「少し見逃してくれよ、スコット」
「そんな訳にはいきません。旦那様のご命令ですからね」
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結婚までお嬢様は王都のタウンハウスにいらっしゃいます。仕事の合間などにフィル様は毎日お嬢様にラブレターをお書きになっており、それを毎日送ってらっしゃいます。
「スコット・・・エリィへの手紙が一枚に収まらないんだ・・・でもエリィが一日一枚だけででいい言うんだが、どれを削れば良いと思う?」
私はふざけた質問だと思いましたが、どんな手紙を書いているのか興味本意でその手紙を読んだのです。
ー愛しのエリィへ
昨夜も一人ベッドで寂しかったですがエリィの可愛い姿を思い出しながら寝ました。結婚したら毎日エリィが朝隣にいると思うと、楽しみでたまりません。先日エリィがこちらに戻ったときにエリィの苦手なピーマンが出ていましたね。端に避けているところを見ましたよ。次は僕が食べてあげますからね。
エリィは小さい頃よく僕の代わりに苺を食べてくれましたね。実は僕の苺が嫌いだという話は嘘でした。エリィの真っ赤な舌に絡まる苺とあふれる果汁を見たくてわざと嫌いな振りをして食べてもらっていたんです。苺の食べさせ合いをしたいです。エリィのアーンと口を開けた顔も好きですから。
あと、今度エリィの好きな『飴玉』を買ってきます。でもエリィには渡してあげません。僕が舐めている飴玉を口移しでなら差し上げてもかまいません。今度飴玉を舌で渡しあいましょう。
その情景を想像するだけで僕の自身の息子がむくむくと・・・
ーフィル
最後のあたりは皆様に聞かせる訳にはいかないので割愛しますが、私とても無駄な時間を過ごしてしまった気がします。
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「フィル様・・・本当に新聞社へは仕事で行ってるのでしょうか?」
「何を当たり前のことを言ってるんだ」
フィル様は仕事のこともあり月に数回お嬢様のいる王都へ向かいます。ちなみにそれには私も同行しております。
(これは・・・なにか良いことがありましたね)
お嬢様のいる新聞社へ仕事へ行ったあとのフィル様は浮かれているように感じます。何かやましいことをしているのではないでしょうか。お嬢様にもフィル様の新聞社での仕事ぶりをお聞きするのですが、顔を赤らめて誤魔化されてしまいます。
「エリィ、今日は寒いだろう、このストッキングを穿いていったほうが良いぞ」
「そうかしら?」
お嬢様は少しセクシーなストッキングをお穿きになり、仕事へと向かってらっしゃいました。
「ただいま」
「おかえりなさいませ、お嬢様、フィル様」
(ん?)
お嬢様は朝お穿きになったストッキングを穿いておられないようです。
「お嬢様、今朝お穿きになったストッキングは・・・?」
「ああ、あれは職場で破れてしまってもう捨てたのよ・・・じゃ、じゃあ私疲れたから部屋に戻るわね」
お嬢様はそそくさと部屋に戻ってしまわれました。フィル様は満足気な顔をしておられます。
「フィル様・・・あなたもしかして・・・」
「僕は何もしてないぞ」
明らかに怪しい二人です。ああ、お嬢様・・・本当に彼で良いのですか?私は心配でございます・・・
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