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二人の恋人
しおりを挟む馬車に乗り、レイは疲れていたのか、馬車の中で爆睡してしまった。レイはジェイクの部屋に連れていかれ、丁寧に洗われていく。決していやらしいものではなく、レイを労るような洗いかただ。
「レイ・・・あの男に・・・何もされなかったか?」
「・・・結婚したら野獣に私を犯させるって言ってたけど・・・彼には手を出されなかったから大丈夫」
──バキッ
お風呂を出ようとジェイクが持っていたドアノブが、完全に折れてしまう。セルの瞳は怒りで燃え、充血している。
「あいつ・・・殺してやればよかった」
「今からでも遅くないよ、牢屋に忍び込んで・・・ヤる?」
レイは焦って二人を止めた。戦争で十分国のために戦ってくれたのだ。レイのせいで二人の手を再び血で汚させたくはない。二人は渋々レイの意思を尊重してくれた。レイは体にタオルを巻き付け、二人に真剣な表情を向けた。
「ジェイク団長、セル副団長・・・本当にありがとうございましたっ・・・薬代も、借金も返していただいて・・・」
「当たり前じゃないか。レイちゃんの問題は僕たちの問題なんだから」
「ああ・・・お前を守るのは恋人の役目だ」
(恋人・・・?)
レイがその言葉に目をパチパチと瞬かせていると、セルは信じられないといった顔をした。
「どうして気がつかないかな・・・僕たち、とってもわかりやすい行動してたと思うんだけど・・・」
「それに気がつかないバカだから、他の男と結婚しようとしたんだろ」
ジェイクがレイの胸をグサリとえぐった。
「でも・・・お二人は同性愛者なのに・・・」
「僕はジェイク以外はノーマルだから、レイちゃんを好きになるのは普通だよ」
「俺は・・・女は好きじゃないが、お前だけは別だ」
(本当に・・・二人は私のこと・・・)
「ちゃんと言っとかないと、また逃げられたら困るから、耳かっぽじって良く聞いとけよレイ・・・俺はお前が好きだ」
「レイちゃん・・・僕もレイちゃんのこと、女として、すっごく好きだよ」
レイは二人の告白に、先ほど枯れてしまったと思っていた涙が再びせり上がってくる。
「ジェイク団長、セル副団長・・・私も・・・二人が好きですっ」
レイは二人への気持ちを伝えた。まさか二人もレイのことを好きだったとは思わなかった。ジェイクとセルは、レイを布団の中に入れる。
「今日は、ここに泊まってくだろ?」
「・・・は、はい」
「ってゆーか、もう荷物は明日からこっっちに持ってきといてね。もう逃がさないから」
レイにとって二人の独占欲は心地いい。レイはこの二人の恋人を毎日好きになってしまいそうだ。
「そうだっ・・・払ってもらったお金・・・できる限り返していきますから。時間はかかると思うけど・・・」
「何言ってんの、レイちゃん」
「ああ、本当だ」
ジェイクとセルは、ネイトから話を聞き、すぐにお金を用意し「レイの為ならはした金だ」と言って借金を返済し、薬代も払ったそうだ。レオンと共にパウロの悪事も暴いたことで、ジェイクとセルは再び褒美を貰えるそうで、損はほとんどしないと言っていた。
「で・・・でも・・・」
「じゃ、一生レイの体で払ってもらおうか」
「っ・・・でも、それじゃあ、私が得しちゃう。だって私、一生二人に抱かれたいもん」
ジェイクとセルの瞳の色が、狼のような獰猛なものに変化する。ジェイクはレイのタオルを剥ぎ取った。
「今日は抱くよ、レイちゃん」
「ああ・・・今日はお前を抱き潰すぞ」
(欲しい・・・二人が欲しい・・・)
「はい、いっぱい抱いて下さい・・・」
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