BLゲームの世界に転生したら騎士二人の♂♂の受けとなった。

ほのじー

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弟の訪問

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「レイ姉、久しぶり」
「わ~、久しぶり。元気してた?ネイト」


ネイトはレイの弟で、ただ今国立ベルアメール・ラスト学園、略して『BL学園』に通っている。名前からお察しいただけるだろうが、『BL学園』はゲーム『BLの城』の、第二段のゲームで、学園内で繰り広げられるBLを楽しむゲームである。しかしレイはこのゲームが発売される前に亡くなってしまい、そのゲームはできていなかった。


(弟・・・私と違って顔よし、頭よし、体よしの高スペック男子だけど、まさか、BL学園のゲームキャラ・・・な訳ないよね。あはは、まさかね)


前世の記憶が戻る前も弟を溺愛していた。彼は少しヤンチャな愛されキャラであり、前世が戻ってからも、「弟・・・へんな男に襲われないかな・・・」と心配している。


「ここがレイ姉の職場?すげぇ、こんなとこで働いてるんだ・・・うわぁ。皆ゴツいなぁ・・・かっけぇ・・・」


騎士団員たちが練習を行っており、ネイトは目をキラキラさせながらそれに見入っていた。皆汗をかき、一生懸命打ち合っている。


「じゃ、私はもう少し仕事があるから、ここで良い子にしとくのよ」
「ああ、分かった」


ネイトが手紙で一度騎士団というものを見てみたいと言っていて、ジェイクとセルに弟の話をすると、二つ返事で見学に来ても良いと言ってくれたのだ。普通であれば関係者以外は立ち入り禁止であるのだが、レイの弟ということで特別に見学しても良いとのことだ。


(ネイトは、将来何になりたいのかしら・・・)


ネイトは奨学金を貰いながら学園に通っており、寮費や生活費はレイが仕送りをしている。家が借金だらけとなった時、彼は学校は諦めて働くと言っていたのだが、レイがそれを引き留めて、学園だけは卒業するように言ったのだ。



+++


(あれ、ネイトが・・・いない?)


待っているように言った場所に彼が見当たらない。キョロキョロと探すと、ネイトはジェイクとセルに竹刀を使い、剣術を教えて貰っているようだった。どこか真剣な様子に声をかけられないでいた。


──カキーン!!


「もう少し脇をしめて、頭がぶれないように安定させろ・・・そうだ、いいぞ」


ネイトはセルに向かい何度も竹刀を振り上げるも、セルは片手だけで簡単にそれを弾いた。よく見るとセルの足は一ミリも動いていない。実力の差は一目瞭然だ。


「うわぁ、全然歯が立たねぇ・・・」
「でもお前、筋がいいぞ。練習をしたら絶対伸びるはずだ」


ジェイクはポンポンとネイトの頭に手を置いた。


「どうだ?騎士団に入団目指してみるのは」
「う~ん、騎士団って給料いいのか?」


(なんてこと聞いてんのよ、ネイト・・・)


「活躍できれば、それだけ貰えるぞ。金は勿論、爵位だって、大きな土地だって手にはいる」
「本当か??俺・・・レイ姉が仕事で稼いだ金・・・ほとんど仕送りしてんの知ってんだ・・・だから将来は金持ちになってレイ姉に恩返ししてーんだ」



(ネ・・・ネイト・・・)


レイはその言葉に涙が溢れ出てくる。その言葉だけで、レイにとって十分だ。ジェイクとセルも、その言葉を聞いてクシャクシャと彼の頭を撫でていた。ネイトはボサボサになった髪を撫でながら言った。


「あ~ジェイクさんと、セルさんが、俺の兄貴だったらなぁ」


レイとネイトの両親は仕事で忙しく、体力のないレイはネイトとボール遊びなどやってあげられなかったので彼は寂しい思いをしたはずである。


「そうだ、ジェイクさんかセルさんがレイ姉と結婚してくれたら一番最高じゃん」


(な、なんてこと言ってんのよ!!ネイトったら!!)


「どう?レイ姉、すげー優良物件だぜ?あんな綺麗なのにずっと地味だの言ってるし、性格も真面目だし」


ネイトはレイを宣伝し始めた。レイはそんなネイトに恥ずかしくなる。


(いやいや、同性愛者に、女性宣伝してどーすんの)


「僕は、君のお姉さんのこと、お嫁さんにしたいくらい、好きだよ」
「ああ、俺だって彼女を嫁さんにしたい」
「え、本当か!?」


ネイトはジェイクとセルを交互に見て目を輝かせる。そしてお互い手をグーにしてその拳をコツンとぶつけた。男しか分からない合図である。


「ちょ、ちょっと、うちの弟に冗談はそのくらいにしておいてください!!ジェイク団長、セル副団長」


レイは堪らず仁王立ちで三人の前に躍り出た。ネイトは内緒話を聞かれたかのように、気まずそうにしている。


「ネイトも、ジェイク団長とセル副団長に私なんかを勧めないの!」
「え~、だってよぉ」


ネイトは鼻の頭を掻きながら言い訳を始めた。


+++


「じゃ、ジェイクさん、セルさん、頑張って!!レイ姉すっげー鈍感だし抜けてるから、ビシッと頼むぜ」
「ああ、任せておけ。また来いよ」
「ネイト君は安心してお姉さん預けといてね」


ネイトはジェイクとセルにとても懐いたようだ。二人の貴重な時間を彼に使わせてしまい、レイは申し訳なくなる。


「遊んでいただいて、ありがとうございました、ジェイク団長、セル副団長」
「いや、こちらこそ楽しませてもらった。お前の幼少期の話も聞けたしな」
「ちょ、ちょっ///何聞いたんですか!!」
「レイちゃんが、もう結構年取ってからお漏らしして、弟に押し付けようとしたとか・・・うん、可愛いなぁ」


(ネイト、何言ってんのよー!!)


それからジェイクとセルはネイトと文通を始め、時々ネイトからレイの情報を暴露されていることを知った。レイはネイトを職場に連れてきてあげたことを、深く、深く後悔したのであった。

    
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