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友人の正体
しおりを挟む「あ、エリカさん、お久しぶりです・・・!」
「レイちゃん!!久しぶりー!!」
まるで旧友に会ったかのようにレイは嬉しくなってしまう。仕事を紹介してくれたあれから、毎月二回程ジェイクを介して手紙のやり取りをしているのだ。ジェイクが毎月の王城での会議に行く際に手紙を渡しているので、エリカはもしかすると、会議参加者の奥さんなのかとレイは考えている。
(でもなんで、そんな身分隠すんだろう・・・もしかして、彼女は奥さん・・・じゃなくて誰かの愛人・・・とか?)
友人にそんなことを疑いたくないが、エリカがひた隠しにするので、色々な予測をしてしまうのは致し方ない。もうかなり親しくなったので、そろそろ身分を明かしてほしいと思っている。
「エリカさん、お子さんは誰かに見てもらってるんですか?」
「そうなのー!!旦那がちょっとこっちに仕事があって、ちょっと付いてきちゃった」
前回彼女は身重であったのだが、息子が生まれたそうである。その日は偶然、王子のお子さんも生まれたので国中大騒ぎであった。レイがエリカを騎士団の客室に迎えようとすると、後ろに大きな護衛が付いてきていることに気がついた。
(え・・・)
「・・・ビ、ビッグ第一騎士団長?」
「ん・・・ああ、そうだが」
(ゲームの一番人気キャラの一人登場ですか!?え!!)
レイは後退る。なぜエリカの護衛を王城内を守る第一騎士団の団長が行っているのか。
「まっ・・・まっ・・・まさかっ・・・エリカさん、いえ・・・」
(ちがう、エリカ‘さん’なんて呼んでいい人じゃない・・・)
「・・・エリカ妃!!!」
「あ、ばれちゃった?テヘッ」
(ぎゃああああああ!!やっぱり!?嘘でしょぉ──!!)
ゲームの登場人物であるレオン王子とビッグ第一騎士団長は、大人気のカップリングであったのだ。しかし、ゲームとは違い、レオン王子は結婚していた。新しい王妃の名前はエリカであると知っていたのに、レイは何故か失念していた。
「エリカ、この方が君の友人かい?」
(え、やめて、これまた嘘でしょ・・・レオン王子!?)
ひょっこりと現れたのが、この国の王子であるレオンである。レオンとビッグが、平民であるエリカの友人を、まだ信用していないのか、値踏みするようにレイの様子をじっと観察している。
(ぐっ・・・威力が凄い・・・さすが一番人気のカップリング・・・)
中央に立つエリカの耳の高そうなピアスにレイは気がついた。片耳にはサファイアの青、そして片耳にはルビーの赤が付けられている。普通の人であれば、レオンの瞳の青と、この国のトレードカラーである赤をイメージして作られていると思うであろう。しかし前世持ちであるレイは知っている。
(ま、まさか・・・エリカ妃・・・まさか・・・)
そう、ゲームの中でレオン王子とビッグ騎士団長は愛の証にお互いの瞳の色のピアスを交換するのだ。ビッグ騎士団長の瞳は、ルビーの赤なのである。それは契りのピアスと呼ばれ、ゲームの公式サイトでそのピアスを購入することができる。
「っ・・・契りの・・・ピアスぅ───!?」
──バタ────ン
レイはキャパオーバーとなり、気を失い床に派手に倒れてしまった。
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