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サラ⑫
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(・・・どういう、こと??)
あれから数日後、サラに一通の手紙が届いた。手紙に書かれていたエリザベス・ライナーという名前にも記憶はない。サラはゆっくりと手紙を開けると、不思議な内容が書かれていた。
『明日正午、一人でエイカー通り三番地に来るように。来ないと君の秘密をばらしてやる』
それだけが書かれていた。サラは恐怖で震える。
(誰・・・秘密ってまさか・・・)
サラのここに来た目的を誰かが気づいてしまったのだろうか。
(ランクス少佐?でも彼は人を脅すような人じゃなかったわ)
どうバレてしまったかは分からない。明日は祝日であり国民は皆休みをとるのでサラも明日は街に楽譜を買いにいったり過ごそうと思っていたが、指定された場所に行かなければバラされてしまう。
(・・・まだ、バレたくない)
もう最後と決めていたのにも関わらず、前回のパーティーでガイルと繋がってしまった。既に彼の虜であり、彼を愛しているのだ。まだ彼とは離れたくない。
(いつかは・・・離れないのは分かってる。でも今はまだ嫌)
そんなことを考えている自分に嫌気がさす。義兄とも、後ろめたくてしばらく連絡をとっていない。元夫と義兄の敵を愛してしまいましたなどと言える訳がないのだ。
(とにかく明日、この場所に行かなきゃだわ)
+
+
+
サラは朝早くから起き、出かける準備を整えた。まずは今日のアリバイを作る為に楽譜屋に寄って楽譜や文具を買うつもりだ。
(レポート提出のとき、怪しまれないといいけど・・・)
サラは休日の予定も報告義務があり、今日は街に出かけると伝えてある。今日は休日なので使用人たちも浮かれ、あまりサラの行動を気にしていないようでサラは安心して街に向かうことができた。
(エイカー通り・・・この辺りだわ)
若者が賑わう通りから少し逸れ、飲み屋や夜の店が立ち並ぶ通りである。夜は賑わうのであろうが、昼間は閑散としており人通りも少ない。
(二番・・・三番・・・ここだわ)
そこは二階建ての建物で、どこか高級感が漂っていた。分厚い扉には会員制という看板が掛けられており、恐る恐るサラはその扉を開けた。
「店はまだ空いてませんよ・・・っておや、あんたがサラって子かい?」
「は、はい」
「そんなダサい格好してるから分かんなかったよ。ほら、こっちに来な」
年齢は四十を越えているだろうか。ブロンドに近い茶色の髪をサラリと足らし、紫色の切れ長も瞳を持つこの女性は、シルクのドレスに胸が半分程はみ出ており、女であるサラでもドキリとする。彼女は控え室のような部屋にサラを通した。
「ほら、そんなダサい眼鏡は取りな。どうせ度数も入ってないんだろう?その後はこれに着替えな」
渡された服はあっさりとしたワンピースだが胸元がV字型に空いており、谷間がはっきりと分かり、少しずらせば胸の先まで見えてしまいそうな服だ。
「で、でも・・・」
「ご主人様の命令だよ。従わなかったら私が罰せられちまうよ」
女性はサラを座らせ髪をセットし、化粧を施した。鏡に映る自分はどこか夜のホステスのように見える。女性の化粧の腕前に驚いている暇はなかったようで、サラはすぐに椅子から立ち上がった。
「ほら、こっちでご主人様がお待ちだよ」
(ご主人様って・・・誰のこと・・・)
ドアを開けると、葉巻を吸いながら酒を飲むヴェール伯爵が座っていた。
「やあ、よく来たね。子猫ちゃん」
あれから数日後、サラに一通の手紙が届いた。手紙に書かれていたエリザベス・ライナーという名前にも記憶はない。サラはゆっくりと手紙を開けると、不思議な内容が書かれていた。
『明日正午、一人でエイカー通り三番地に来るように。来ないと君の秘密をばらしてやる』
それだけが書かれていた。サラは恐怖で震える。
(誰・・・秘密ってまさか・・・)
サラのここに来た目的を誰かが気づいてしまったのだろうか。
(ランクス少佐?でも彼は人を脅すような人じゃなかったわ)
どうバレてしまったかは分からない。明日は祝日であり国民は皆休みをとるのでサラも明日は街に楽譜を買いにいったり過ごそうと思っていたが、指定された場所に行かなければバラされてしまう。
(・・・まだ、バレたくない)
もう最後と決めていたのにも関わらず、前回のパーティーでガイルと繋がってしまった。既に彼の虜であり、彼を愛しているのだ。まだ彼とは離れたくない。
(いつかは・・・離れないのは分かってる。でも今はまだ嫌)
そんなことを考えている自分に嫌気がさす。義兄とも、後ろめたくてしばらく連絡をとっていない。元夫と義兄の敵を愛してしまいましたなどと言える訳がないのだ。
(とにかく明日、この場所に行かなきゃだわ)
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サラは朝早くから起き、出かける準備を整えた。まずは今日のアリバイを作る為に楽譜屋に寄って楽譜や文具を買うつもりだ。
(レポート提出のとき、怪しまれないといいけど・・・)
サラは休日の予定も報告義務があり、今日は街に出かけると伝えてある。今日は休日なので使用人たちも浮かれ、あまりサラの行動を気にしていないようでサラは安心して街に向かうことができた。
(エイカー通り・・・この辺りだわ)
若者が賑わう通りから少し逸れ、飲み屋や夜の店が立ち並ぶ通りである。夜は賑わうのであろうが、昼間は閑散としており人通りも少ない。
(二番・・・三番・・・ここだわ)
そこは二階建ての建物で、どこか高級感が漂っていた。分厚い扉には会員制という看板が掛けられており、恐る恐るサラはその扉を開けた。
「店はまだ空いてませんよ・・・っておや、あんたがサラって子かい?」
「は、はい」
「そんなダサい格好してるから分かんなかったよ。ほら、こっちに来な」
年齢は四十を越えているだろうか。ブロンドに近い茶色の髪をサラリと足らし、紫色の切れ長も瞳を持つこの女性は、シルクのドレスに胸が半分程はみ出ており、女であるサラでもドキリとする。彼女は控え室のような部屋にサラを通した。
「ほら、そんなダサい眼鏡は取りな。どうせ度数も入ってないんだろう?その後はこれに着替えな」
渡された服はあっさりとしたワンピースだが胸元がV字型に空いており、谷間がはっきりと分かり、少しずらせば胸の先まで見えてしまいそうな服だ。
「で、でも・・・」
「ご主人様の命令だよ。従わなかったら私が罰せられちまうよ」
女性はサラを座らせ髪をセットし、化粧を施した。鏡に映る自分はどこか夜のホステスのように見える。女性の化粧の腕前に驚いている暇はなかったようで、サラはすぐに椅子から立ち上がった。
「ほら、こっちでご主人様がお待ちだよ」
(ご主人様って・・・誰のこと・・・)
ドアを開けると、葉巻を吸いながら酒を飲むヴェール伯爵が座っていた。
「やあ、よく来たね。子猫ちゃん」
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