14 / 23
悪役令嬢、思いを馳せる
しおりを挟む
国王が引退すると宣告する。
「わしらは、愚息の悪事を暴けんかった・・・国王失格だ・・・。これからはわしらの目を醒ませてくれた第二王子ウィリアムが国王となる。宜しく頼むぞ、ウィリアム」
「はっ!!」
ライト国の国王が代わり、新しい国の法律が加わった。大きく分けて三つ。
一、魔族も獸人も人間も皆平等であること
二、魔族と獸人にも市民権が与えられること
三、魔族と人間の恋愛・結婚が許されること
この三つが加わった。さらにそれに対し差別や迫害をした場合は大きく罰せられる。
「一つ目ちゃんたち、夕飯の準備できたわよー!」
『はーい!!』
メラニアは地獄の森改め、平和の森で生活を続けていた。あれから一年が経とうとしていた。
「わー!今日はラズベリーの実がいっぱいだ!」
「ふふ、今日サンセラ夫人に頂いたの」
この森にたくさんの人間が移住してきた。この森も少し開拓され、ニュータウンとして今流行りの住居地となった。メラニアの両親も、泣きながらメラニアに王子の言いなりになったことを謝り、王都の仕事を年の離れたメラニアの兄に任せ、この森に越してきた。
「ちわーす、メラニアさん、今日のご飯なんっすかー」
「ジャック、あなた忙しいんでないの?今日はクリームパスタよ」
「忙しいっすよーメラニアさんの料理でパワー貰いにきました。でもメラニアさんも忙しいでしょ?なんせこの国のヴィーナスって呼ばれてるんっすから」
ジャックは今では包帯をしていない。彼は獸人で狼族と人間のハーフであったのだ。その身を隠すために包帯をぐるぐる巻きにしていたのだ。そして今、彼がこの森の統治を任されているのだ。
メラニアというと魔族を引き連れた姿が神々しかったと話題になり、今は魔族と人間の交流会のリーダーとして活躍している。
「メラニアさん、サンセラ夫人の家に行ってきたんですって~?」
「ええ、夫人の侍女たちに全身磨かれて髪の毛も艶々になったわ」
「ふふふ、グッジョブ、サンセラ夫人!メラニアさん、素敵ですよ~。獸人の俺にはメラニアさんの色香が強すぎてヤバイっす」
「まぁ!ありがとうジャック」
(なんだか毎日が充実してるわ・・・)
「おやすみなさい、ウィル」
ウィリアムにもらった指輪を月の光にかざし、おやすみの挨拶をするのがメラニアの日課だ。あれから一度も連絡はなく、もうメラニアのことを忘れてしまったのではないかと不安になることもある。
(あなたのことを思うと、体が疼いちゃう)
「メラニー・・・起きて・・・」
(んん・・・誰、こんな遅い時間に)
「メラニー、可愛い寝顔にキスしちゃうよ」
「ウィ、ウィル!?」
ガバッと起きたメラニアは夢じゃないかと頬を何度もつねる。
「そんなつねったら赤くなっちゃうよ」
「ウィル、本当にウィルなの?」
そこにいたのは人間姿のウィリアムだ。ゴブリン姿の時より、威厳が出てきたように思われる。
ウィリアムはメラニアをぎゅっと抱き締める。
「メラニー、会いたかった」
「私もよ、ウィル」
メラニアはウィリアムにあれからの話をたくさんした。ウィリアムも国王として毎日大変でメラニアに連絡するのも落ち着くまで禁止されていたそうだ。
「メラニー、一年もお預けくらっちゃったんだ。我慢できないよ」
「私もよ・・・」
「わしらは、愚息の悪事を暴けんかった・・・国王失格だ・・・。これからはわしらの目を醒ませてくれた第二王子ウィリアムが国王となる。宜しく頼むぞ、ウィリアム」
「はっ!!」
ライト国の国王が代わり、新しい国の法律が加わった。大きく分けて三つ。
一、魔族も獸人も人間も皆平等であること
二、魔族と獸人にも市民権が与えられること
三、魔族と人間の恋愛・結婚が許されること
この三つが加わった。さらにそれに対し差別や迫害をした場合は大きく罰せられる。
「一つ目ちゃんたち、夕飯の準備できたわよー!」
『はーい!!』
メラニアは地獄の森改め、平和の森で生活を続けていた。あれから一年が経とうとしていた。
「わー!今日はラズベリーの実がいっぱいだ!」
「ふふ、今日サンセラ夫人に頂いたの」
この森にたくさんの人間が移住してきた。この森も少し開拓され、ニュータウンとして今流行りの住居地となった。メラニアの両親も、泣きながらメラニアに王子の言いなりになったことを謝り、王都の仕事を年の離れたメラニアの兄に任せ、この森に越してきた。
「ちわーす、メラニアさん、今日のご飯なんっすかー」
「ジャック、あなた忙しいんでないの?今日はクリームパスタよ」
「忙しいっすよーメラニアさんの料理でパワー貰いにきました。でもメラニアさんも忙しいでしょ?なんせこの国のヴィーナスって呼ばれてるんっすから」
ジャックは今では包帯をしていない。彼は獸人で狼族と人間のハーフであったのだ。その身を隠すために包帯をぐるぐる巻きにしていたのだ。そして今、彼がこの森の統治を任されているのだ。
メラニアというと魔族を引き連れた姿が神々しかったと話題になり、今は魔族と人間の交流会のリーダーとして活躍している。
「メラニアさん、サンセラ夫人の家に行ってきたんですって~?」
「ええ、夫人の侍女たちに全身磨かれて髪の毛も艶々になったわ」
「ふふふ、グッジョブ、サンセラ夫人!メラニアさん、素敵ですよ~。獸人の俺にはメラニアさんの色香が強すぎてヤバイっす」
「まぁ!ありがとうジャック」
(なんだか毎日が充実してるわ・・・)
「おやすみなさい、ウィル」
ウィリアムにもらった指輪を月の光にかざし、おやすみの挨拶をするのがメラニアの日課だ。あれから一度も連絡はなく、もうメラニアのことを忘れてしまったのではないかと不安になることもある。
(あなたのことを思うと、体が疼いちゃう)
「メラニー・・・起きて・・・」
(んん・・・誰、こんな遅い時間に)
「メラニー、可愛い寝顔にキスしちゃうよ」
「ウィ、ウィル!?」
ガバッと起きたメラニアは夢じゃないかと頬を何度もつねる。
「そんなつねったら赤くなっちゃうよ」
「ウィル、本当にウィルなの?」
そこにいたのは人間姿のウィリアムだ。ゴブリン姿の時より、威厳が出てきたように思われる。
ウィリアムはメラニアをぎゅっと抱き締める。
「メラニー、会いたかった」
「私もよ、ウィル」
メラニアはウィリアムにあれからの話をたくさんした。ウィリアムも国王として毎日大変でメラニアに連絡するのも落ち着くまで禁止されていたそうだ。
「メラニー、一年もお預けくらっちゃったんだ。我慢できないよ」
「私もよ・・・」
10
お気に入りに追加
700
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる