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悪役令嬢、迎えにいく

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一方その頃


ズドーーーン


ドカーーーーーン



「すごい音。ねえ一つ目ちゃんたち・・・彼は大丈夫かしら・・・」


パタパタパタ


「すごい人数が来てるぞ」
「あれじゃ、ゴブリンさんやられちゃいますよ」


一つ目の小さな魔物二匹は小さな羽が付いており、飛ぶことができて、視力は十一とどこまでも見渡すことができる。二匹は上空に飛び、森の入り口の方を観察した。ウィリアムは家の近くにいた二匹にメラニアを見ておくように頼んだのだ。


「ゴブリンさん、強いですけど、さすがにあの人数はやばいかもしれませんね」
「うおぉ!!今女がゴブリンの魔法跳ね返したぞ!!」


(っ・・・まさか!!)


メラニアは前世のゲームを思い出す。ヴィーナスの使者ビビアンは、光の攻撃魔法だけでなく、魔法を跳ね返す力を持っているのだ。あの魔法を前にして勝ち目はないだろう。



(どうしたらいいの・・・ウィル・・・私あなたなしじゃこの世界で生きていけないわ)



パタパタパタパタ


「ああああ!!ゴブリンがヤられた!!まだ生きてるみたいだ。でも連れてかれてるぞ!!」
「なんですって!?」


メラニアが家の中を何度も往復している間に、一つ目が町中に張られている布告欄に気がついた。



「ゴブリンが今日の夕方に処刑されるぞ!!」
「!!」


メラニアは絶望で目の前が真っ暗になる。一つ目たちはメラニアを一生懸命慰めた。



ーーコンコンッ



「誰?」


家をノックする音が聞こえる。そーっと窓を覗くと、何百もの魔物たちが家の前に集まってきている。


「キャッ!彼らは私を食べにきたの??」
「いや、あいつらに悪意を感じないぜ。実際君の悪意のある者を遠ざける指輪も反応してないだろう?」
「どうしましょう・・・出てみましょうか」


ーーカチャッ


そっと扉を開けた。



「あのぉ・・・何のご用件でしょうか」
「ゴブリンの番さん。ゴブリンが処刑されると聞きました。僕らは彼に助けられた魔物です。この一帯が平和なのもあの方のお陰なのです」


「グエーーーーー」


「この竜も、一度は凶暴化して人を襲ってしまったのですが、ゴブリンに諭されて人間や魔物を襲わなくなったんです」


竜はメラニアの側に寄り、クンクンとメラニアの匂いを嗅ぐ。きっとメラニアからウィリアムの匂いがするのだろう。



「彼がいなかったらこの森の平和は守られません。僕ら皆で助けにいきましょう!!」
「キューーーーー!」
「ギュルルルル」
「グルルルルルル」


魔物たちの歓声が聞こえる。その場にはメラニアをじっと観察していた小さな魔物たちや、初日に襲ってきた怪獣もいた。


「っ・・・!!」


メラニアはウィリアムが森でやってきたことに、こんな魔物たちに慕われていることに驚いた。メラニアはこの森で生活するにあたり初日以外で危険にあうことはなかった。それもウィリアムがちゃんとこの森の安全を守っていたからだ。



「ええ、行きましょう、皆さん!」


メラニアは服を真っ白のワンピースに着替える。靴は履かずに指輪と身一つだけだ。今日ウィリアムを助けたらメラニアも彼に言いたいことがある。


もうそこには怖がりのメラニアはいない。



「行くわよ!!」
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