20 / 21
6-1:妻がお祈りしまして……
しおりを挟む
明日は待ちに待った土曜日だ。
やっと、ゲームを進められるぞ!
俺は夕食の支度をしながら、明日のことを考えていた。
「よし、できたな。花音、美鈴ご飯だぞ!」
大きな声で2人に呼び掛けると、のそのそと出てきた。
「うぅ~」
相変わらず、美鈴は唸るだけ。
最近は慣れてしまってこの程度では驚かなくなっている自分に気づく。
花音は風呂から出たばかりなのか、パジャマ姿で出てきた。
「「いただきます」」
俺が食事をしていると、花音が突然提案してきた。
「ねぇ、明日なんだけどさ」
俺は何かあるとすぐに察知をして、すぐに返事をした。
「ダメだ! 俺は明日ゲームをするからどこにもいかないぞ!」
「まだ何も言ってないでしょ!? あのさ、教会でお祈りしない?」
俺は食事の手を止めた。
「お祈り?」
「うん、ほらママっていつまでこのままなのかわからないでしょ?だから、ママが治るのを教会でお祈りするの」
なるほどな、教会か……
考えたこともなかったな。
自分たちで治すことしか考えてなかったからな。
「でも、どこの教会に行くんだ? 有名な教会とかか?」
花音はニヤリと笑顔を見せて、手に持っていた箸を机に置いた。
「それが、良い所があるんだよ。海沿いにある綺麗な教会なんだけどね、人もあんまりいないからママを連れていくにはちょうどいいと思うんだ!」
人がいない教会なら安心……かな?
まぁ、ゲームは最悪帰ってきてからでもできるからな。
しょうがない、花音のわがままに付き合ってやるか。
「午前中には終わらせるぞ」
俺はそういって、みそ汁を飲んだ。
「やったー! さすがパパ、話が分かるね」
花音は箸を持って、勢いよく目の前の料理を食べ始めた。
ったく、調子がいい奴だな。
ムシャムシャ
俺たちが話している間も美鈴は必死に生肉を喰らっていた。
あぁ、まったくそんな必死に食べちゃって、可愛いなぁ
美鈴の為にも、できることは全部やらないとな―――
―――俺たちは翌日、海沿いの教会に向かった。
まだ5月だからか、海風が肌寒く、海の香りもどこか心地いい。
教会は大きいとは言わないが、蔓が教会に絡まっていて、
映えスポットとして申し分ない。
もしかしてだが、
「ねぇ! 見て雰囲気めちゃいいんだけど! 写真、写真!」
花音はスマホを取り出し、おもむろに写真を撮り始めた。
やっぱり、自分が来たいだけだったか花音!
誰よりも自分が楽しみにしてるし!
自撮りもしてるし、なんかオシャレにしてるし。
だが、俺が一番驚いたこと。
それは、
「うぅ、あぁ! あぁ……」
教会の前でオロオロしている美鈴だ。
えっ?
教会ってゾンビはNGなの?
そういう設定なのか?
「美鈴、ほら行くよ」
俺は美鈴の腕を引っ張って教会の中に入ろうとした。
「あぁ! あぁ……うぅ~!」
美鈴は頑なに中に入りだがらない。
なんで、そんなに入りたがらないんだ?
花音もついているし、問題はなさそうだけど。
美鈴は全体重を後ろにかけ、中に入らないよう必死に抵抗している。
「ママ? どうしたの中に入ろうよ!」
花音は美鈴の腕を引っ張る。
「あぁ、うぅ~……」
美鈴は花音の呼びかけに応じるのに、今日だけは効果がない。
顔はどこか何かに怯えているようだ。
「なぁ、花音ちょっと美鈴の目を塞いだらどうだ?」
俺は無謀ともいえる策を花音に提案してみた。
「あぁ、やってみようか、ママごめんね」
花音は美鈴の後ろに回り込み、両手で目を隠す。
「うぅ~、あぁ」
美鈴は力を抜いて、中に連れていくことができた。
いや、連れて行けるのか!
見えなかったら大丈夫ってことなんだろうけど、
どういう設定なんだよ。
ゾンビってあくまで俺たちがそう定義しているだけで、
ゾンビではないはずなんだが、
だが、何かを見たことで怯えていることは確かだな。
その何かを追求しないと、もしかしたら美鈴にはストレスなのかもしれない。
俺たちは、みんなが集まる集会所に向かい、席についた。
やっと、ゲームを進められるぞ!
俺は夕食の支度をしながら、明日のことを考えていた。
「よし、できたな。花音、美鈴ご飯だぞ!」
大きな声で2人に呼び掛けると、のそのそと出てきた。
「うぅ~」
相変わらず、美鈴は唸るだけ。
最近は慣れてしまってこの程度では驚かなくなっている自分に気づく。
花音は風呂から出たばかりなのか、パジャマ姿で出てきた。
「「いただきます」」
俺が食事をしていると、花音が突然提案してきた。
「ねぇ、明日なんだけどさ」
俺は何かあるとすぐに察知をして、すぐに返事をした。
「ダメだ! 俺は明日ゲームをするからどこにもいかないぞ!」
「まだ何も言ってないでしょ!? あのさ、教会でお祈りしない?」
俺は食事の手を止めた。
「お祈り?」
「うん、ほらママっていつまでこのままなのかわからないでしょ?だから、ママが治るのを教会でお祈りするの」
なるほどな、教会か……
考えたこともなかったな。
自分たちで治すことしか考えてなかったからな。
「でも、どこの教会に行くんだ? 有名な教会とかか?」
花音はニヤリと笑顔を見せて、手に持っていた箸を机に置いた。
「それが、良い所があるんだよ。海沿いにある綺麗な教会なんだけどね、人もあんまりいないからママを連れていくにはちょうどいいと思うんだ!」
人がいない教会なら安心……かな?
まぁ、ゲームは最悪帰ってきてからでもできるからな。
しょうがない、花音のわがままに付き合ってやるか。
「午前中には終わらせるぞ」
俺はそういって、みそ汁を飲んだ。
「やったー! さすがパパ、話が分かるね」
花音は箸を持って、勢いよく目の前の料理を食べ始めた。
ったく、調子がいい奴だな。
ムシャムシャ
俺たちが話している間も美鈴は必死に生肉を喰らっていた。
あぁ、まったくそんな必死に食べちゃって、可愛いなぁ
美鈴の為にも、できることは全部やらないとな―――
―――俺たちは翌日、海沿いの教会に向かった。
まだ5月だからか、海風が肌寒く、海の香りもどこか心地いい。
教会は大きいとは言わないが、蔓が教会に絡まっていて、
映えスポットとして申し分ない。
もしかしてだが、
「ねぇ! 見て雰囲気めちゃいいんだけど! 写真、写真!」
花音はスマホを取り出し、おもむろに写真を撮り始めた。
やっぱり、自分が来たいだけだったか花音!
誰よりも自分が楽しみにしてるし!
自撮りもしてるし、なんかオシャレにしてるし。
だが、俺が一番驚いたこと。
それは、
「うぅ、あぁ! あぁ……」
教会の前でオロオロしている美鈴だ。
えっ?
教会ってゾンビはNGなの?
そういう設定なのか?
「美鈴、ほら行くよ」
俺は美鈴の腕を引っ張って教会の中に入ろうとした。
「あぁ! あぁ……うぅ~!」
美鈴は頑なに中に入りだがらない。
なんで、そんなに入りたがらないんだ?
花音もついているし、問題はなさそうだけど。
美鈴は全体重を後ろにかけ、中に入らないよう必死に抵抗している。
「ママ? どうしたの中に入ろうよ!」
花音は美鈴の腕を引っ張る。
「あぁ、うぅ~……」
美鈴は花音の呼びかけに応じるのに、今日だけは効果がない。
顔はどこか何かに怯えているようだ。
「なぁ、花音ちょっと美鈴の目を塞いだらどうだ?」
俺は無謀ともいえる策を花音に提案してみた。
「あぁ、やってみようか、ママごめんね」
花音は美鈴の後ろに回り込み、両手で目を隠す。
「うぅ~、あぁ」
美鈴は力を抜いて、中に連れていくことができた。
いや、連れて行けるのか!
見えなかったら大丈夫ってことなんだろうけど、
どういう設定なんだよ。
ゾンビってあくまで俺たちがそう定義しているだけで、
ゾンビではないはずなんだが、
だが、何かを見たことで怯えていることは確かだな。
その何かを追求しないと、もしかしたら美鈴にはストレスなのかもしれない。
俺たちは、みんなが集まる集会所に向かい、席についた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻は異世界人で異世界一位のギルドマスターで世紀末覇王!~けど、ドキドキするのは何故だろう~
udonlevel2
ファンタジー
ブラック会社を辞めて親と一緒に田舎に引っ越して生きたカズマ!
そこには異世界への鏡が納屋の中にあって……異世界に憧れたけど封印することにする!!
しかし、異世界の扉はあちらの世界にもあって!?
突如現れた世紀末王者の風貌の筋肉女子マリリン!!
マリリンの一途な愛情にカズマは――!?
他サイトにも掲載しています。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる