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5-4:妻とお化け屋敷に行きまして……
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最後の部屋にたどり着き、いよいよ大量殺人が起きた謎に迫る。
道中にはゾンビが何度も襲い掛かってきたが、
既に耐性がついてしまったのか、ほとんど反応ができなかった。
ゾンビ役の人達も『おぉ~……お?』みたいにアレ?この人達驚かないぞ?的な感じだったし。
だが、最後の謎解きが難しい。
壁に貼り付けられた最後の謎には、
大量殺人の原因と書かれており、
『終わりは始まり』
の文字だけ。
「う~ん、さっぱりだな」
俺はしばらく張り紙とにらめっこをしていたが、謎が解けない。
「部屋にも特になにか仕掛けられてるわけじゃなさそうだけど」
花音は、部屋の中をくまなく探していたが、なにかそれらしいものは見当たらない。
出口はすぐそこにあるから、出ようと思えばすぐに出られるんだろうが、
なんかもやもやとするしな。
「うぅ」
美鈴がちょっとずつ落ち着きがなくなってきた。
それもそうか、ずっと薄暗かったし、かれこれ30分はこの中にいるもんな。
あんまりお化け屋敷に30分もいる人いないよ?
後から入った人達にも何回か抜かれてるし。
それだけ真剣なんだと思えばいいんだろうが。
「終わりは始まり……か。入れ替えたら、始まりは終わり」
花音がふと、言葉にしたことで俺は何か閃いた。
「待って、花音今なんて言った?」
「え?終わりは始まりのこと?」
花音は俺の方を振り向く。
「違う、そのあとだよ」
「う~ん、始まりは終わりってこと?」
俺は謎を解くことができた。
そういうことか。
「よし、謎は全て解けた!」
「おぉ、どっかで聞いたことがあるセリフ」
「仕方ないだろう、そういうもんなんだから」
俺は花音と美鈴を連れて出口に向かった。
花音は外に出てから俺に話しかけてきた。
「ねぇ、外に出て大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫だ謎は解けてるから」
そういって俺が向かった場所は、
お化け屋敷の入り口だ。
「あ、おかえりなさい! 謎は解けましたか?」
入り口で俺たちを案内してくれた店員が話しかけてくれた。
「パパ、もしかしてまた入るの? 始まりってそういうこと?」
「違うよ、犯人は入り口の店員さんあなたですね?」
「え? 急に何を言い出すんですか?」
花音は凄く驚いていた。
「そうだよ、お化け屋敷の謎解きの犯人が店員さん? 中に答えがあるわけじゃないの?」
「そうです、答えは中に……」
「ランプです」
俺はすかさず答えた。
「ランプ?」
「はい、館の中がランプが必要ってなんでわかったのか」
「そりゃ、店員だからでしょ」
「……うん、いやまぁそうなんだけどさ。ここはあくまで設定上だから」
「……」
店員は少し黙っている。
俺はすかさず説明を続けた。
「館の中が薄暗いってことは入った人しかわからないし、大量殺人が起きたってこともその本人でしかわからない事実。何より、最後の謎解きが終わりは始まりってあった」
「なるほど」
店員は静かに頷き、話を聞いている。
「この謎は終わりでって意味と答えは始まりにあるよってことで、二重の意味があった。多分、何回も人をお化け屋敷の中に入れるための運営側の策略。犯人は始めの人、つまり最初に俺たちを案内した人なんじゃないかな?」
「おぉ、めずらしくパパが冴えてるんじゃない?」
「どうですか? 店員さん!」
俺と花音は前のめりになりながら店員に詰め寄る。
「……お見事です!」
店員は笑顔で拍手しながら讃えてくれた。
「え? マジ? やった!」
「凄いじゃんパパ、ちょっと見直したかも!」
俺と花音は抱き合いながら大喜びをした。
「謎を最後まで解いてくれたのは、お客様が初めてです!」
なんと、俺たちは謎解きをした最初の家族のようだ。
そして、店員は俺たちに景品をプレゼントしてくれた。
「こちらは謎を解いた方へのプレゼントですどうぞお受け取りください」
「やったぁ!」
「へぇ、可愛いマグカップだな」
すると、店員は美鈴の手を両手でとった。
「それと、奥さん! 中にいた人から聞きました! 凄い迫真の演技で俺たちを襲って来たって。ぜひ外でスカウトしといてくれって言われました! どうですか?」
いや、ここでも大人気なのかよ美鈴は。
「う、うぅぅ」
どことなく、美鈴の顔は困っているような感じがした。
俺と花音は顔を見合わせ、思わず笑ってしまった。
道中にはゾンビが何度も襲い掛かってきたが、
既に耐性がついてしまったのか、ほとんど反応ができなかった。
ゾンビ役の人達も『おぉ~……お?』みたいにアレ?この人達驚かないぞ?的な感じだったし。
だが、最後の謎解きが難しい。
壁に貼り付けられた最後の謎には、
大量殺人の原因と書かれており、
『終わりは始まり』
の文字だけ。
「う~ん、さっぱりだな」
俺はしばらく張り紙とにらめっこをしていたが、謎が解けない。
「部屋にも特になにか仕掛けられてるわけじゃなさそうだけど」
花音は、部屋の中をくまなく探していたが、なにかそれらしいものは見当たらない。
出口はすぐそこにあるから、出ようと思えばすぐに出られるんだろうが、
なんかもやもやとするしな。
「うぅ」
美鈴がちょっとずつ落ち着きがなくなってきた。
それもそうか、ずっと薄暗かったし、かれこれ30分はこの中にいるもんな。
あんまりお化け屋敷に30分もいる人いないよ?
後から入った人達にも何回か抜かれてるし。
それだけ真剣なんだと思えばいいんだろうが。
「終わりは始まり……か。入れ替えたら、始まりは終わり」
花音がふと、言葉にしたことで俺は何か閃いた。
「待って、花音今なんて言った?」
「え?終わりは始まりのこと?」
花音は俺の方を振り向く。
「違う、そのあとだよ」
「う~ん、始まりは終わりってこと?」
俺は謎を解くことができた。
そういうことか。
「よし、謎は全て解けた!」
「おぉ、どっかで聞いたことがあるセリフ」
「仕方ないだろう、そういうもんなんだから」
俺は花音と美鈴を連れて出口に向かった。
花音は外に出てから俺に話しかけてきた。
「ねぇ、外に出て大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫だ謎は解けてるから」
そういって俺が向かった場所は、
お化け屋敷の入り口だ。
「あ、おかえりなさい! 謎は解けましたか?」
入り口で俺たちを案内してくれた店員が話しかけてくれた。
「パパ、もしかしてまた入るの? 始まりってそういうこと?」
「違うよ、犯人は入り口の店員さんあなたですね?」
「え? 急に何を言い出すんですか?」
花音は凄く驚いていた。
「そうだよ、お化け屋敷の謎解きの犯人が店員さん? 中に答えがあるわけじゃないの?」
「そうです、答えは中に……」
「ランプです」
俺はすかさず答えた。
「ランプ?」
「はい、館の中がランプが必要ってなんでわかったのか」
「そりゃ、店員だからでしょ」
「……うん、いやまぁそうなんだけどさ。ここはあくまで設定上だから」
「……」
店員は少し黙っている。
俺はすかさず説明を続けた。
「館の中が薄暗いってことは入った人しかわからないし、大量殺人が起きたってこともその本人でしかわからない事実。何より、最後の謎解きが終わりは始まりってあった」
「なるほど」
店員は静かに頷き、話を聞いている。
「この謎は終わりでって意味と答えは始まりにあるよってことで、二重の意味があった。多分、何回も人をお化け屋敷の中に入れるための運営側の策略。犯人は始めの人、つまり最初に俺たちを案内した人なんじゃないかな?」
「おぉ、めずらしくパパが冴えてるんじゃない?」
「どうですか? 店員さん!」
俺と花音は前のめりになりながら店員に詰め寄る。
「……お見事です!」
店員は笑顔で拍手しながら讃えてくれた。
「え? マジ? やった!」
「凄いじゃんパパ、ちょっと見直したかも!」
俺と花音は抱き合いながら大喜びをした。
「謎を最後まで解いてくれたのは、お客様が初めてです!」
なんと、俺たちは謎解きをした最初の家族のようだ。
そして、店員は俺たちに景品をプレゼントしてくれた。
「こちらは謎を解いた方へのプレゼントですどうぞお受け取りください」
「やったぁ!」
「へぇ、可愛いマグカップだな」
すると、店員は美鈴の手を両手でとった。
「それと、奥さん! 中にいた人から聞きました! 凄い迫真の演技で俺たちを襲って来たって。ぜひ外でスカウトしといてくれって言われました! どうですか?」
いや、ここでも大人気なのかよ美鈴は。
「う、うぅぅ」
どことなく、美鈴の顔は困っているような感じがした。
俺と花音は顔を見合わせ、思わず笑ってしまった。
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『妻がゾンビになりまして……』を閲覧していただきありがとうございます。良かったら、高評価、コメントお待ちしています。ちなみに、私の中で、美鈴は吉高由里子さん、花音は今田美桜さん、亮は鈴木亮平さんをイメージしてました。これからも、作品をよろしくお願いします。
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