92 / 101
ドワーフの国編
第91話 真の目的
しおりを挟む
大きな揺れは、ソウタ達に膝をつかせるほど揺れ、ミシミシと天井が今に崩れそうになり、一気に緊張が走る。
「な、何事だ!?」
慌ただしくなる魔法学研究施設。研究員たちも扉から飛出し、突然の出来事にパニック状態に陥ってしまう。
「この揺れは尋常じゃないな、まるで何か巨大な物体がぶつかったみたいな衝撃だったぞ」
「しばらくしたら通信が入るはずだ、その間に出口に向かおうか」
ルドーの助言のもと、ソウタ達は出口に向かったが、通信は一向に入らない。そのことにルドーは疑問に思った。
「おかしいな、すでに通信で情報を伝えてもいいはずだが」
「通信ってどこでしてるんだ?」
「情報伝達室ってところだよ、ここからだったら5分もかかんないと思う」
情報伝達室は魔法学研究施設にある施設の1つであり、何か緊急なことがあった場合にすぐに施設内の研究員に情報を伝える場所だ。情報が伝達できない……神さまは嫌な予感がした。
「情報伝達室でなにかあったんじゃないかな?」
神さまは通信が流れないという異常事態を危険と判断し、情報伝達室でなにかあったのではないかと推測した。
「このままではパニックになりかねんな、止むを得ん、まずはそっちに向かおう」
ルドーは方向を変え、情報伝達室へと向かった。ソウタは場所を把握していないため、ルドーたちの後を追う形となり、パニックになっている研究員たちとすれ違いながら放送伝達室に辿り着いた。
「扉が開いているぞ」
「外の音を拾わないよう、扉は閉めてるはずだけど……」
3人は恐る恐る中の様子を覗いた。そこには凄惨な光景が広がっていた。壁には何かがものすごい勢いでぶつかった際に生じた巨大な穴ができており、おそらく研究員であろう者の引きちぎられた四肢が無残にも転がっていた。血の匂いが漂い、普通の者なら吐き気を催すほど気味が悪い。
「な、なんだよこれ!」
「ひどいな……」
「施設の岩盤のように分厚い壁をいとも簡単にぶち破ってるわね、それに腐ったような匂い……」
「まさか!? おい、急いで3階に向かうぞ!」
ルドーは何かを察したのか、物凄い勢いで部屋を出て行った。
「え、なに? どうしたんだよ!」
ソウタ達はルドーの後を急いで追いかけた。ソウタは走りながらルドーに理由を尋ねた。
「なぁ、どういうことだよ!」
「わからないか? 今回の仕業は恐らく魔王軍だ。我々の通信手段を絶ったのは、何が起こってるかを知らせないためだ、施設内をパニックに陥れ、いち早く我々研究員を施設から立ち退いてほしいからだ」
「なんで立ち退いてほしいの?」
「研究員と言えど、我々は魔法の扱いに長けている、戦闘ともなれば自分たちに被害が被ると考えたんだろう、まったく魔王軍のやりそうなことだ」
ルドーの頭の回転は速い、すぐに状況を理解し整理する力がある。思わずソウタは冷静に物事を視ることができるルドーに感心していた。
「なるほど、それで、なんで魔王軍は中央研究室に行くと思ったんだ?」
ルドーは走りながら、ソウタのポケットを指さした。ポケットの中にはギフト鉱石が入っている。
「ソウタ君、君が手に入れたギフト鉱石、それは魔王軍が所有していたといったな、ここにもギフト鉱石はあるんだよ」
「まさか、狙いはギフト鉱石!?」
ルドーは静かに頷いた。ギフト鉱石は魔王軍が所有していた希少な鉱石の1つ、武器の生成は勿論、資金源の代わりにもなるギフト鉱石を魔王軍が狙うのは当然だ。
「おそらくな、ギフト鉱石の所在が判明しているのは数少ない、そのうちの1つを狙っているのだろう。この鉱石を使って魔王軍を強化するに違いない!」
「だとしたら、何としても止めないとな!」
ソウタ達はギフト鉱石のある3階の中央研究室に辿り着いた。しかし、妙な雰囲気が漂っている。まるで嵐の前の静けさのようだ。
「誰かいるぞ?」
ソウタ達は静かに研究室に入っていった。研究室の中には誰もいなくなっていた。白い壁は赤く変わり、明かりがついたり消えたりとまるで呼吸をしているようだ。研究資料は荒らされ、床に散らかっているのがその光景の凄惨さを物語っていた。
「あれ? 来るのが早かったんだね、おねぇちゃん」
どこかで聞いたことがある声だ、いや、前聞いた時よりはっきりとした話し方だ。オーティラは声を聞いて青ざめた。そこには、2つの足で立って手にギフト鉱石を持ったセラヴィアの姿があった。
「な、何事だ!?」
慌ただしくなる魔法学研究施設。研究員たちも扉から飛出し、突然の出来事にパニック状態に陥ってしまう。
「この揺れは尋常じゃないな、まるで何か巨大な物体がぶつかったみたいな衝撃だったぞ」
「しばらくしたら通信が入るはずだ、その間に出口に向かおうか」
ルドーの助言のもと、ソウタ達は出口に向かったが、通信は一向に入らない。そのことにルドーは疑問に思った。
「おかしいな、すでに通信で情報を伝えてもいいはずだが」
「通信ってどこでしてるんだ?」
「情報伝達室ってところだよ、ここからだったら5分もかかんないと思う」
情報伝達室は魔法学研究施設にある施設の1つであり、何か緊急なことがあった場合にすぐに施設内の研究員に情報を伝える場所だ。情報が伝達できない……神さまは嫌な予感がした。
「情報伝達室でなにかあったんじゃないかな?」
神さまは通信が流れないという異常事態を危険と判断し、情報伝達室でなにかあったのではないかと推測した。
「このままではパニックになりかねんな、止むを得ん、まずはそっちに向かおう」
ルドーは方向を変え、情報伝達室へと向かった。ソウタは場所を把握していないため、ルドーたちの後を追う形となり、パニックになっている研究員たちとすれ違いながら放送伝達室に辿り着いた。
「扉が開いているぞ」
「外の音を拾わないよう、扉は閉めてるはずだけど……」
3人は恐る恐る中の様子を覗いた。そこには凄惨な光景が広がっていた。壁には何かがものすごい勢いでぶつかった際に生じた巨大な穴ができており、おそらく研究員であろう者の引きちぎられた四肢が無残にも転がっていた。血の匂いが漂い、普通の者なら吐き気を催すほど気味が悪い。
「な、なんだよこれ!」
「ひどいな……」
「施設の岩盤のように分厚い壁をいとも簡単にぶち破ってるわね、それに腐ったような匂い……」
「まさか!? おい、急いで3階に向かうぞ!」
ルドーは何かを察したのか、物凄い勢いで部屋を出て行った。
「え、なに? どうしたんだよ!」
ソウタ達はルドーの後を急いで追いかけた。ソウタは走りながらルドーに理由を尋ねた。
「なぁ、どういうことだよ!」
「わからないか? 今回の仕業は恐らく魔王軍だ。我々の通信手段を絶ったのは、何が起こってるかを知らせないためだ、施設内をパニックに陥れ、いち早く我々研究員を施設から立ち退いてほしいからだ」
「なんで立ち退いてほしいの?」
「研究員と言えど、我々は魔法の扱いに長けている、戦闘ともなれば自分たちに被害が被ると考えたんだろう、まったく魔王軍のやりそうなことだ」
ルドーの頭の回転は速い、すぐに状況を理解し整理する力がある。思わずソウタは冷静に物事を視ることができるルドーに感心していた。
「なるほど、それで、なんで魔王軍は中央研究室に行くと思ったんだ?」
ルドーは走りながら、ソウタのポケットを指さした。ポケットの中にはギフト鉱石が入っている。
「ソウタ君、君が手に入れたギフト鉱石、それは魔王軍が所有していたといったな、ここにもギフト鉱石はあるんだよ」
「まさか、狙いはギフト鉱石!?」
ルドーは静かに頷いた。ギフト鉱石は魔王軍が所有していた希少な鉱石の1つ、武器の生成は勿論、資金源の代わりにもなるギフト鉱石を魔王軍が狙うのは当然だ。
「おそらくな、ギフト鉱石の所在が判明しているのは数少ない、そのうちの1つを狙っているのだろう。この鉱石を使って魔王軍を強化するに違いない!」
「だとしたら、何としても止めないとな!」
ソウタ達はギフト鉱石のある3階の中央研究室に辿り着いた。しかし、妙な雰囲気が漂っている。まるで嵐の前の静けさのようだ。
「誰かいるぞ?」
ソウタ達は静かに研究室に入っていった。研究室の中には誰もいなくなっていた。白い壁は赤く変わり、明かりがついたり消えたりとまるで呼吸をしているようだ。研究資料は荒らされ、床に散らかっているのがその光景の凄惨さを物語っていた。
「あれ? 来るのが早かったんだね、おねぇちゃん」
どこかで聞いたことがある声だ、いや、前聞いた時よりはっきりとした話し方だ。オーティラは声を聞いて青ざめた。そこには、2つの足で立って手にギフト鉱石を持ったセラヴィアの姿があった。
12
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる
シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。
そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。
なんでも見通せるという万物を見通す目だった。
目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。
これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!?
その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。
魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。
※他サイトでも連載しています。
大体21:30分ごろに更新してます。
異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~
星天
ファンタジー
幼馴染を庇って死んでしまった翔。でも、それは神様のミスだった!
創造神という女の子から交渉を受ける。そして、二つの【特殊技能】を貰って、異世界に飛び立つ。
『創り出す力』と『奪う力』を持って、異世界で技能を奪って、どんどん強くなっていく
はたして、翔は異世界でうまくやっていけるのだろうか!!!
せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー
ジミー凌我
ファンタジー
日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。
仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。
そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。
そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。
忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。
生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。
ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。
この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。
冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。
なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる