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ドワーフの国編

第91話 真の目的

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 大きな揺れは、ソウタ達に膝をつかせるほど揺れ、ミシミシと天井が今に崩れそうになり、一気に緊張が走る。

「な、何事だ!?」

 慌ただしくなる魔法学研究施設。研究員たちも扉から飛出し、突然の出来事にパニック状態に陥ってしまう。

「この揺れは尋常じゃないな、まるで何か巨大な物体がぶつかったみたいな衝撃だったぞ」

「しばらくしたら通信が入るはずだ、その間に出口に向かおうか」

 ルドーの助言のもと、ソウタ達は出口に向かったが、通信は一向に入らない。そのことにルドーは疑問に思った。

「おかしいな、すでに通信で情報を伝えてもいいはずだが」

「通信ってどこでしてるんだ?」

「情報伝達室ってところだよ、ここからだったら5分もかかんないと思う」

 情報伝達室は魔法学研究施設にある施設の1つであり、何か緊急なことがあった場合にすぐに施設内の研究員に情報を伝える場所だ。情報が伝達できない……神さまは嫌な予感がした。

「情報伝達室でなにかあったんじゃないかな?」

 神さまは通信が流れないという異常事態を危険と判断し、情報伝達室でなにかあったのではないかと推測した。

「このままではパニックになりかねんな、止むを得ん、まずはそっちに向かおう」

 ルドーは方向を変え、情報伝達室へと向かった。ソウタは場所を把握していないため、ルドーたちの後を追う形となり、パニックになっている研究員たちとすれ違いながら放送伝達室に辿り着いた。

「扉が開いているぞ」

「外の音を拾わないよう、扉は閉めてるはずだけど……」

 3人は恐る恐る中の様子を覗いた。そこには凄惨な光景が広がっていた。壁には何かがものすごい勢いでぶつかった際に生じた巨大な穴ができており、おそらく研究員であろう者の引きちぎられた四肢が無残にも転がっていた。血の匂いが漂い、普通の者なら吐き気を催すほど気味が悪い。

「な、なんだよこれ!」

「ひどいな……」

「施設の岩盤のように分厚い壁をいとも簡単にぶち破ってるわね、それに腐ったような匂い……」

「まさか!? おい、急いで3階に向かうぞ!」

 ルドーは何かを察したのか、物凄い勢いで部屋を出て行った。

「え、なに? どうしたんだよ!」

 ソウタ達はルドーの後を急いで追いかけた。ソウタは走りながらルドーに理由を尋ねた。

「なぁ、どういうことだよ!」

「わからないか? 今回の仕業は恐らく魔王軍だ。我々の通信手段を絶ったのは、何が起こってるかを知らせないためだ、施設内をパニックに陥れ、いち早く我々研究員を施設から立ち退いてほしいからだ」

「なんで立ち退いてほしいの?」

「研究員と言えど、我々は魔法の扱いに長けている、戦闘ともなれば自分たちに被害が被ると考えたんだろう、まったく魔王軍のやりそうなことだ」

 ルドーの頭の回転は速い、すぐに状況を理解し整理する力がある。思わずソウタは冷静に物事を視ることができるルドーに感心していた。

「なるほど、それで、なんで魔王軍は中央研究室に行くと思ったんだ?」

 ルドーは走りながら、ソウタのポケットを指さした。ポケットの中にはギフト鉱石が入っている。

「ソウタ君、君が手に入れたギフト鉱石、それは魔王軍が所有していたといったな、ここにもギフト鉱石はあるんだよ」

「まさか、狙いはギフト鉱石!?」

 ルドーは静かに頷いた。ギフト鉱石は魔王軍が所有していた希少な鉱石の1つ、武器の生成は勿論、資金源の代わりにもなるギフト鉱石を魔王軍が狙うのは当然だ。

「おそらくな、ギフト鉱石の所在が判明しているのは数少ない、そのうちの1つを狙っているのだろう。この鉱石を使って魔王軍を強化するに違いない!」

「だとしたら、何としても止めないとな!」

 ソウタ達はギフト鉱石のある3階の中央研究室に辿り着いた。しかし、妙な雰囲気が漂っている。まるで嵐の前の静けさのようだ。

「誰かいるぞ?」

 ソウタ達は静かに研究室に入っていった。研究室の中には。白い壁は赤く変わり、明かりがついたり消えたりとまるで呼吸をしているようだ。研究資料は荒らされ、床に散らかっているのがその光景の凄惨さを物語っていた。

「あれ? 来るのが早かったんだね、

 どこかで聞いたことがある声だ、いや、前聞いた時よりはっきりとした話し方だ。オーティラは声を聞いて青ざめた。そこには、2つの足で立って手にギフト鉱石を持ったセラヴィアの姿があった。
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