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リシャーダの海賊編
第73話 人間の底力
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「ちっ、なんだこいつら……」
タガードは苛立っていた。ソウタとハウルは攻撃を続けているが、今までとはどこか違う。攻撃に重みはなく、力が伝わってこない。何か作戦があるとは感づいているが、それがなんなのかわからない。変わらず単調な攻撃、次第にタガードは嫌気がさしてくる。
「ハウル、このまま攻撃を続けるぞ!」
「勿論です、作戦続行でいきましょう!」
「なにが……作戦だ……ただ俺に攻撃を続けてるだけじゃねぇか! もう我慢ならねぇ、ぶっ飛ばしてやる!」
タガードは怒りに震えながらも、ソウタ達の攻撃を受け流し反撃魔法を放つ機会を伺っていた。しかし、その怒りはとうとう限界に達する。タガードは反撃魔法をソウタ達に放つため、ソウタ達の体勢を崩しにかかり、ついに攻撃に転じたのだ。
「おらぁ!」
ソウタの攻撃を簡単に受け流し、ソウタは体勢を崩した。
「うおぉっ!?」
(殺った!)
ソウタの顔の前にはタガードの両の掌。魔力を込められた掌は瞬時に輝きを放ち、巨大な閃光と共に、地平線のかなたまで魔力を開放した。それは今までのどの反撃魔法よりも強かった。しかし、ソウタはこの瞬間を待っていた。体勢を崩していたソウタはすぐに立て直し、タガードの反撃魔法を回避した。ソウタはわざと崩したのだ。
「今だ、ハウル!」
「了解です、ご主人様!」
「なにっ!?」
ハウルは消えるほどの素早い動きでタガードの背後をとった。反射的にタガードは背後を振り向き、ハウルに警戒をするが、すでに両腕はソウタに向けられている。ハウルに意識が向いている、このコンマ数秒の時間をソウタは見逃さなかった。
「くらえぇ!」
ソウタは懐に潜り込み、右拳に全神経を集中させる。腕の筋肉が肥大し、丸太ほどの大きさに変化していき、血管が浮き出るほど力を込めた。人体で唯一衝撃を受け止める場所、タガードの腹に渾身の一撃を決めることだけをソウタは考えていた。
「くそぉ! てめぇら……」
タガードもそう簡単には攻撃を受けるつもりはない。必死に硬直する腕を引きちぎるような程、強引に腕を動かし、ソウタの攻撃を腕でガードした。だが、ソウタの攻撃は腕の振りで火をおこし、水を集め、風を巻き起こし、岩を持ち上げるほど強力。ただ純粋に振りぬくことだけを考えたソウタの攻撃はタガードのガードの上からタガードの腹をぶち抜いた。
「ぐほぉうっ!」
メキメキっと腰の骨が軋む音が体に響き渡る。
まずい! マズイマズイマズイ!
なんだこの威力!?
これが人間の持つ力か!?
ありえねぇ、なんだこのバカげた力は!
こんなのもう一発喰らったら……
タガードは瞬間的に危険を感じ取った。獣の本能だ。身体も宙に浮き、身動きも息もできず、タガードは必死に思考を張り巡らす。ここを脱しないと確実にやられる。どうにかして反撃魔法をもう一度この男に……。しかし、タガードの思いはハウルによって打ち砕かれる。ハウルはタガードより高く舞い上がり、両腕を掴むと、もう一度ソウタのもとまでタガードを投げつけた。
「今です、ご主人様!」
「いくぞっ!!」
投げられたタガードは両手に魔力を込めようとする。しかし、わずかしか魔力が集まらない、先程反撃魔法を放っているからか、両手にはまだダメージが蓄積されていない。ソウタは甲板で右拳にもう一度力を集中させている。
「くそぉ、てめえら……!」
「どうした? 人間にこんな力があると思わなかったんだろ? これがお前が弄んできた人間の力だ! 人間を……なめんじゃねぇぞ!」
ソウタは心からの叫びと共に、タガードの顎をアッパーで打ち抜いた。力任せの全力のアッパーはタガードの顎を変形させ、骨を粉々に砕いた。あまりの衝撃により、タガードは一瞬で意識を失い。空高く体を宙に浮かせた。甲板に勢いよく叩きつけられタガードはピクリとも動かなくなり、ソウタは力強く右腕を空へ突き上げた。
「はぁ、はぁ、さすがにもう動かないよな……」
「はい、見事な一撃でしたご主人様」
「やば、もう体疲れた……」
「僕が支えます、寄りかかってください」
「いや、ハウル小さいじゃん……」
「……」
ハウルは静かにソウタを睨み、頬を膨らませた。すると、海賊船はビキビキと音を立てながら崩れ始める。
「な、なんだ!?」
「おそらく、もう少ししたら沈没しますね。暴れすぎですよ、ご主人様」
海水がすでに足元まで来ている。このままだと海賊船と共に海の藻屑になってしまう。
「とりあえず……離れるか」
「……ですね」
ソウタとハウルは、タガードたちを後にまずは避難をするため海賊船から脱出する。
Mr.Sixの独り言
ここまで読んでくれてありがとうございます!
書いてて思ったのは、タガードとレパルド外見逆がよかったなと思ったね。
タガードは虎型の獣人でシュッとしてスリムな体型なのに豪速のハンター。
なのに、レパルドはゴリマッチョで神速のハンターって笑
絶対逆だったろ!
次から気を付けよ……。
タガードは苛立っていた。ソウタとハウルは攻撃を続けているが、今までとはどこか違う。攻撃に重みはなく、力が伝わってこない。何か作戦があるとは感づいているが、それがなんなのかわからない。変わらず単調な攻撃、次第にタガードは嫌気がさしてくる。
「ハウル、このまま攻撃を続けるぞ!」
「勿論です、作戦続行でいきましょう!」
「なにが……作戦だ……ただ俺に攻撃を続けてるだけじゃねぇか! もう我慢ならねぇ、ぶっ飛ばしてやる!」
タガードは怒りに震えながらも、ソウタ達の攻撃を受け流し反撃魔法を放つ機会を伺っていた。しかし、その怒りはとうとう限界に達する。タガードは反撃魔法をソウタ達に放つため、ソウタ達の体勢を崩しにかかり、ついに攻撃に転じたのだ。
「おらぁ!」
ソウタの攻撃を簡単に受け流し、ソウタは体勢を崩した。
「うおぉっ!?」
(殺った!)
ソウタの顔の前にはタガードの両の掌。魔力を込められた掌は瞬時に輝きを放ち、巨大な閃光と共に、地平線のかなたまで魔力を開放した。それは今までのどの反撃魔法よりも強かった。しかし、ソウタはこの瞬間を待っていた。体勢を崩していたソウタはすぐに立て直し、タガードの反撃魔法を回避した。ソウタはわざと崩したのだ。
「今だ、ハウル!」
「了解です、ご主人様!」
「なにっ!?」
ハウルは消えるほどの素早い動きでタガードの背後をとった。反射的にタガードは背後を振り向き、ハウルに警戒をするが、すでに両腕はソウタに向けられている。ハウルに意識が向いている、このコンマ数秒の時間をソウタは見逃さなかった。
「くらえぇ!」
ソウタは懐に潜り込み、右拳に全神経を集中させる。腕の筋肉が肥大し、丸太ほどの大きさに変化していき、血管が浮き出るほど力を込めた。人体で唯一衝撃を受け止める場所、タガードの腹に渾身の一撃を決めることだけをソウタは考えていた。
「くそぉ! てめぇら……」
タガードもそう簡単には攻撃を受けるつもりはない。必死に硬直する腕を引きちぎるような程、強引に腕を動かし、ソウタの攻撃を腕でガードした。だが、ソウタの攻撃は腕の振りで火をおこし、水を集め、風を巻き起こし、岩を持ち上げるほど強力。ただ純粋に振りぬくことだけを考えたソウタの攻撃はタガードのガードの上からタガードの腹をぶち抜いた。
「ぐほぉうっ!」
メキメキっと腰の骨が軋む音が体に響き渡る。
まずい! マズイマズイマズイ!
なんだこの威力!?
これが人間の持つ力か!?
ありえねぇ、なんだこのバカげた力は!
こんなのもう一発喰らったら……
タガードは瞬間的に危険を感じ取った。獣の本能だ。身体も宙に浮き、身動きも息もできず、タガードは必死に思考を張り巡らす。ここを脱しないと確実にやられる。どうにかして反撃魔法をもう一度この男に……。しかし、タガードの思いはハウルによって打ち砕かれる。ハウルはタガードより高く舞い上がり、両腕を掴むと、もう一度ソウタのもとまでタガードを投げつけた。
「今です、ご主人様!」
「いくぞっ!!」
投げられたタガードは両手に魔力を込めようとする。しかし、わずかしか魔力が集まらない、先程反撃魔法を放っているからか、両手にはまだダメージが蓄積されていない。ソウタは甲板で右拳にもう一度力を集中させている。
「くそぉ、てめえら……!」
「どうした? 人間にこんな力があると思わなかったんだろ? これがお前が弄んできた人間の力だ! 人間を……なめんじゃねぇぞ!」
ソウタは心からの叫びと共に、タガードの顎をアッパーで打ち抜いた。力任せの全力のアッパーはタガードの顎を変形させ、骨を粉々に砕いた。あまりの衝撃により、タガードは一瞬で意識を失い。空高く体を宙に浮かせた。甲板に勢いよく叩きつけられタガードはピクリとも動かなくなり、ソウタは力強く右腕を空へ突き上げた。
「はぁ、はぁ、さすがにもう動かないよな……」
「はい、見事な一撃でしたご主人様」
「やば、もう体疲れた……」
「僕が支えます、寄りかかってください」
「いや、ハウル小さいじゃん……」
「……」
ハウルは静かにソウタを睨み、頬を膨らませた。すると、海賊船はビキビキと音を立てながら崩れ始める。
「な、なんだ!?」
「おそらく、もう少ししたら沈没しますね。暴れすぎですよ、ご主人様」
海水がすでに足元まで来ている。このままだと海賊船と共に海の藻屑になってしまう。
「とりあえず……離れるか」
「……ですね」
ソウタとハウルは、タガードたちを後にまずは避難をするため海賊船から脱出する。
Mr.Sixの独り言
ここまで読んでくれてありがとうございます!
書いてて思ったのは、タガードとレパルド外見逆がよかったなと思ったね。
タガードは虎型の獣人でシュッとしてスリムな体型なのに豪速のハンター。
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