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リシャーダの海賊編
第72話 タガードの奥の手
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ソウタとハウルは目の前の強大な敵に立ち向かっていた。タガードの身体はさらに大きく、さらにシュッと引き締まり、身に纏う魔力も桁違いに跳ね上がっている。
「悪いけど、お前らにもう勝ち目はねぇからな」
タガードは強さに自信を持っているのか、勝利を確信していた。レパルドの力を体に受けたことで強さを増し、今の自分なら目の前の雑魚を蹴散らせる、もはやワンキッドの言葉を忘れ、ソウタを壊すことしか頭にないのだ。しかし、ソウタとハウルはどこか安心していた。最初にソウタが出会った仲間はハウルだ、ここまでずっと一緒にそばで戦ってきたのだ、お互いの強さをわかっているからこそソウタ達は目を合わせずタガードだけに視線を向ける。
「ハウル……死ぬなよ!」
「まさか……ご主人様を置いて死ねるわけがないでしょう、助けてくれた御恩、今ここで果たします!」
ソウタとハウルは同時に飛出し、タガードに立ち向かう。タガードは高笑いをしながら2人を迎え撃つ。
「どっからでもかかってきやがれ!」
「ハウル! 右から行ってくれ! 俺は左から行く!」
「わかりました、ご武運を!」
ソウタは左から攻撃を繰り出し、ハウルは右から素早い攻撃をタガードに浴びせるが、タガードにいとも簡単に両腕で防がれてしまう。タガードは反撃をすることなく、淡々と2人の攻撃を防ぎ、時折見せる不敵な笑みが2人に焦りを生み始める。
「くそっ、こいつ、全然攻撃してこねぇな」
「攻撃できないか……あるいは攻撃をあえてしないのか、とにかくわからない以上攻撃を続けるしか手はありません!」
2人の攻撃を余裕で防ぐタガードは徐々に動きが変わっていく。余裕で防いでいた攻撃を少しずつ、受け流しソウタ達の攻撃はタガードに無力化され、体勢を崩してしまう。
「やばっ!」
「まずい……」
「はは! これでお前らは終わりだ! くたばれぇ!!!!!」
タガードの両の掌が光を帯び始め、2人にそれぞれ手のひらを向けると、一瞬で魔力を解き放ち爆風を発生させた。ソウタ達は爆風で海賊船の先頭まで吹き飛ばされ、傷を負ってしまう。
「ぐはっ!」
「うぐぅ」
「どうだ! これが俺の反撃魔法だ。相手の攻撃を受ければ受けるほどダメージを蓄積させて開放する。自分たちの攻撃をまとめて喰らった気分はどうだ? ははっ、最高~!」
傷ついた体を無理やり起こしながら、ソウタはタガードをどう倒すか考えていた。
「……ったく、とんでもねぇ技だな、もう一発喰らったらさすがにやばいな……」
「そうですね、攻撃すれば反撃魔法がまた待ってるでしょう、かといって攻撃しなければ普通に攻撃されますね」
2人は覚悟を決めていた。
「なら、やることは1つだな」
「……ですね」
「「反撃させない!」」
ソウタとハウルは同時に攻めに転じた。何度も立ち向かってくるソウタとハウルにタガードは興奮を隠しきれない。こんなにも自分を興奮させてくれる相手には中々出会わないからか、タガードは時間をかけてなぶってやる、そう簡単には殺さない、そう考えていた。だが、その考えが命取りになる事をこの時はまだタガードは知る由もなかった。
「この野郎、全然手応えがねぇな!」
ソウタは攻撃を続けていたが、一向に攻略の糸口が見えない。このまま攻撃を続ければ反撃魔法がまたソウタ達を襲うだろう。
(なんとか、反撃魔法を阻止しないと……まてよ?)
ソウタはふとある事に気づいた。それは反撃魔法は攻撃を受けなければ魔法を発動できないとうことだ。逆を言えば、ある程度攻撃を受けなければあれだけの威力を出すことはできないという事。そこでソウタはある事を思いつき、タガードから距離をとったソウタはハウルに向かって叫んだ。
「ハウル! 考えがある!」
「……かしこまりました」
ハウルもタガードから距離を取ると、ソウタのそばに駆け寄り、耳打ちで作戦を聞く。作戦を聞いたハウルの顔は驚きと同時に喜びに満ち溢れていた。ご主人であるソウタが自分を頼りにしているということがハウルにとって何よりも嬉しかったのだ。
「……なるほど、それはいいかもしれません、最後までお供いたします! どうか、お気をつけて!」
「よし、最後の戦いだぞ、気を引き締めろ!」
ソウタとハウルはジリジリとタガードとの距離を詰めていく。
「何か作戦があるのか? いいぜぇ、相手になってやる!」
タガードはソウタ達の作戦が何であろうと打ち砕く自信がある。構えをとり、ソウタ達の攻撃をその身に受け、反撃の魔法を発動するために。決して自分からは攻撃をせず、一撃を加える。これが豪速のハンターの本来の戦い方だった。ソウタとハウルはある程度の距離まで近づくと、阿吽の呼吸でタガードに攻撃を仕掛けた。
「悪いけど、お前らにもう勝ち目はねぇからな」
タガードは強さに自信を持っているのか、勝利を確信していた。レパルドの力を体に受けたことで強さを増し、今の自分なら目の前の雑魚を蹴散らせる、もはやワンキッドの言葉を忘れ、ソウタを壊すことしか頭にないのだ。しかし、ソウタとハウルはどこか安心していた。最初にソウタが出会った仲間はハウルだ、ここまでずっと一緒にそばで戦ってきたのだ、お互いの強さをわかっているからこそソウタ達は目を合わせずタガードだけに視線を向ける。
「ハウル……死ぬなよ!」
「まさか……ご主人様を置いて死ねるわけがないでしょう、助けてくれた御恩、今ここで果たします!」
ソウタとハウルは同時に飛出し、タガードに立ち向かう。タガードは高笑いをしながら2人を迎え撃つ。
「どっからでもかかってきやがれ!」
「ハウル! 右から行ってくれ! 俺は左から行く!」
「わかりました、ご武運を!」
ソウタは左から攻撃を繰り出し、ハウルは右から素早い攻撃をタガードに浴びせるが、タガードにいとも簡単に両腕で防がれてしまう。タガードは反撃をすることなく、淡々と2人の攻撃を防ぎ、時折見せる不敵な笑みが2人に焦りを生み始める。
「くそっ、こいつ、全然攻撃してこねぇな」
「攻撃できないか……あるいは攻撃をあえてしないのか、とにかくわからない以上攻撃を続けるしか手はありません!」
2人の攻撃を余裕で防ぐタガードは徐々に動きが変わっていく。余裕で防いでいた攻撃を少しずつ、受け流しソウタ達の攻撃はタガードに無力化され、体勢を崩してしまう。
「やばっ!」
「まずい……」
「はは! これでお前らは終わりだ! くたばれぇ!!!!!」
タガードの両の掌が光を帯び始め、2人にそれぞれ手のひらを向けると、一瞬で魔力を解き放ち爆風を発生させた。ソウタ達は爆風で海賊船の先頭まで吹き飛ばされ、傷を負ってしまう。
「ぐはっ!」
「うぐぅ」
「どうだ! これが俺の反撃魔法だ。相手の攻撃を受ければ受けるほどダメージを蓄積させて開放する。自分たちの攻撃をまとめて喰らった気分はどうだ? ははっ、最高~!」
傷ついた体を無理やり起こしながら、ソウタはタガードをどう倒すか考えていた。
「……ったく、とんでもねぇ技だな、もう一発喰らったらさすがにやばいな……」
「そうですね、攻撃すれば反撃魔法がまた待ってるでしょう、かといって攻撃しなければ普通に攻撃されますね」
2人は覚悟を決めていた。
「なら、やることは1つだな」
「……ですね」
「「反撃させない!」」
ソウタとハウルは同時に攻めに転じた。何度も立ち向かってくるソウタとハウルにタガードは興奮を隠しきれない。こんなにも自分を興奮させてくれる相手には中々出会わないからか、タガードは時間をかけてなぶってやる、そう簡単には殺さない、そう考えていた。だが、その考えが命取りになる事をこの時はまだタガードは知る由もなかった。
「この野郎、全然手応えがねぇな!」
ソウタは攻撃を続けていたが、一向に攻略の糸口が見えない。このまま攻撃を続ければ反撃魔法がまたソウタ達を襲うだろう。
(なんとか、反撃魔法を阻止しないと……まてよ?)
ソウタはふとある事に気づいた。それは反撃魔法は攻撃を受けなければ魔法を発動できないとうことだ。逆を言えば、ある程度攻撃を受けなければあれだけの威力を出すことはできないという事。そこでソウタはある事を思いつき、タガードから距離をとったソウタはハウルに向かって叫んだ。
「ハウル! 考えがある!」
「……かしこまりました」
ハウルもタガードから距離を取ると、ソウタのそばに駆け寄り、耳打ちで作戦を聞く。作戦を聞いたハウルの顔は驚きと同時に喜びに満ち溢れていた。ご主人であるソウタが自分を頼りにしているということがハウルにとって何よりも嬉しかったのだ。
「……なるほど、それはいいかもしれません、最後までお供いたします! どうか、お気をつけて!」
「よし、最後の戦いだぞ、気を引き締めろ!」
ソウタとハウルはジリジリとタガードとの距離を詰めていく。
「何か作戦があるのか? いいぜぇ、相手になってやる!」
タガードはソウタ達の作戦が何であろうと打ち砕く自信がある。構えをとり、ソウタ達の攻撃をその身に受け、反撃の魔法を発動するために。決して自分からは攻撃をせず、一撃を加える。これが豪速のハンターの本来の戦い方だった。ソウタとハウルはある程度の距離まで近づくと、阿吽の呼吸でタガードに攻撃を仕掛けた。
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