転生したら、ステータスの上限がなくなったので脳筋プレイしてみた

Mr.Six

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エルフの森編

第57話 決意と命

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 フィエルの遺体がどこにもない、衝撃の事実はエイルを震撼させた。

「バカな! フィエルの遺体がどこにもないとはどういうことだ!」

「わかりません、まるで神隠しのようにフィエルの遺体のみが消えていて……」

 もたついていると、クレストがニヤニヤしてエイルに尋ねた。

「どうした? もしかして、からいなくなったのか? それでは証明の仕様がないだろうな……」

 クレストの言葉が気になったソウタは神さまに小声で話す。

「なぁ、今のクレスト王が言った言葉って……」

「あぁ、おそらくクレスト王の仕業だな。部屋で保管していたという情報は知らないはずだが」

 フィエルの遺体がなくなったことで、世界の王たちはざわつき始める。このままではエルフが反逆の濡れ衣を着せられてしまう。サラザールは思考を張り巡らせ、何か打開策を探す。

「父上、私に話をさせていただいても?」

「サラザール、何か思いついたのか?」

 エイルの言葉を遮るようにサラザールが一歩前に出た。

「失礼、世界の王の皆様、我が名はサラザール・リュミオール。エルフの王、エイル・リュミオールの息子であります」

「ふん、息子のエルフが出てきて、何をするつもりなのだ? まさか、責任をとる……とは言うまい」

「そのまさかです」

 クレストの言葉を遮るように、サラザールは言い返し、上半身の服を脱いで、ナイフを取り出した。

「サラザール……お前、もしかして……」

 サラザールは目を瞑り、一呼吸を入れてから目を大きく開いた。

「世界の王たちよ、よくと見ていただきたい! 我がエルフの者が起こしたことは上の者である我々の責任であります。どうか、私の命で勘弁していただきたいと思う」

 サラザールの行動に、納得がいかないソウタはやめるよう説得を試みる。

「おい、サラザール! お前が命を捨てることないぞ! これは罠なんだ!」

「その根拠はなんだ?」

「おい、クレスト! なんでお前はフィエルの遺体が部屋に保管されていると知ってたんだ? ここに来たことないだろう!?」

 クレストが疑いをかけられたことで、ざわつき始め、クレストは涼しげな表情を浮かべている。

「ほぉ、この私を疑うか……、遺体が保管されているのは部屋だと推測したまでの事だ、まさかそんなことで疑われるとは心外だな、これが一国の主の言葉とは、王の地位も落ちたものだ」

「なんだとぉ!」

 ソウタは歯ぎしりをして怒りを抑える。

「しかし、ソウタよ、他に方法がない今、この状況を打開するのはこれしかあるまい」

「サラザールよ、お前が命を懸けることは無い! 王よ、責任はこのエイルにある、このエイルの命で今回の事水に流してはくれないだろうか! 頼む!」

 エイルは土下座をして、サラザールの命を助けるよう王たちに懇願した。しかしクレストは満面の笑みを浮かべ、まるで今の状況を楽しんでいるようだ。

「ふん、私は構わないぞ? どちらが責任をとっても。なんなら2人の命をかければより誠意は伝わるのではないかな?」

「やろう……しら切りやがって!」

「……ふん」

 クレストはソウタを見ると、鼻で嘲った。

「ねぇ、ソウタ。もしかして、クレストはソウタが標的なんじゃない?」

 シーナが耳打ちでソウタにそう告げた。

「どういうこと?」

「だってそうでしょ? クレスト王のあの態度、絶対何か隠してるよ! わざわざエエルフに戦争は吹っ掛けないし、それに魔王軍に加担したと世界に言えば、大義名分で戦争を仕掛けられる。ソウタがエルフと手を組めば一気に大国になることを危機に感じたのだとしたらあの王様ならやりかねないよ!」

「確かに、クレスト王のあの余裕の態度はそういうことなのか」

 ソウタ達がコソコソと話をしていると、クレスト王が大きな声で叫んだ。

「どうした! 我々の時間を使って、何もないという事はあるまい! 証拠もない、釈明もしない、これで一体どう信じろというのだ! そうは思わぬか、王たちよ」

「そうだな、これでは信じられない!」

「誠意を見せてくれ!」

 口々に罵声を浴びせる王たちと、険しい表情を浮かべるエイルとサラザール。

「ソウタ様……」

 投影越しにソウタの様子を心配するアリアは、静かにソウタの名を口にする。

「いい加減にしろよ! エルフは何もしてないんだって」

「だからその証拠がないのだろう!? もしかして、ソウタも加担しているのではないか? だとしたらお前たちも無事では済まんぞ!」

「なっ、一体どこまで汚い奴なんだよ……」

「ふっ、冗談だ。さすがにソウタもそこまでバカではないことは分かっておる。だが、エルフの者たちが魔王軍に加担していないという事実が出ない限り、こればかりは避けられんぞ? もしくはどこかの監視下にエルフの国を置くなどもあるが、果たして今の状況でエルフを従えてくれる国があるだろうか」

 クレストの言葉で、世界の王たちは目を逸らしたり、下を向いて聞いていなかった振りをする仕草を見せる。しかし、ソウタは何かを決心したように鋭い眼光を王たちに向けると、ソウタは高らかに言い放った。

「それなら……俺の国が、エルフの国と同盟を組む!」

 ソウタの言葉は王たちを驚かせた。
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