転生したら、ステータスの上限がなくなったので脳筋プレイしてみた

Mr.Six

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天空の城編

第21話 独立宣言

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 ソウタの言葉に、クレスト王の顔が一瞬で怒りに歪んだ。彼は怒号を上げ、ソウタに向かって叫びつけた。

「なんだと! お前は何様のつもりだ! 我が国を救う英雄として手を差し伸べてやるというのに!」

 しかし、ソフィアは穏やかな口調でクレスト王に話しかけた。

「王様、あなたたちが俺にした仕打ち……忘れたつもりじゃないですよね? 俺を国から追放して、強いから手に平返し? なめるのもいい加減にしろよ」

「なんだと!? だから水に流して我が国で援助してやろうというのではないか!」

「まったく、本当に自分の事しか考えない王様だね。ソウタから聞いたよ、あんたたちがソウタをこの国から追い出したんだって?」

 ソフィアの言葉にクレスト王は一瞬立ち止まり、彼女の視線が迫ると、徐々にその態度を緩めていった。

「ソフィア……何を言っている!」

「私のとこに来たときはびっくりしたけどね、クレスト王、でかした魚はどうやらとてつもなく大きかったみたいだね」

 ソフィアの冷静な口調に、クレスト王はしばらく黙り込んだ。ソウタは静かにその様子を見守っていた。

「ソウタよ、お前はこれからどうするつもりだ?」

「自分で新しい国を作って魔王に対抗するつもりだけど」

「バカな! 我が国でソウタが存分に戦える軍を作れば、魔王と戦うことも可能なのだぞ!? お前たちを守るための手段を我が国が提供し、お前たちも我が国に協力すれば……」

 クレスト王の誘いに、ソウタは静かに首を横に振った。

「するわけないだろ、俺は自分で国を作るって決めたんだ、あんたが俺をこの国から追放した日にな!」

 クレスト王は怒りっぽい表情で迫り、ソフィアも不安そうにソウタを見つめていた。しかし、ソウタは堂々とした態度を崩さない。

「この世界のどこに国を作るつもりだ! 世界は群雄割拠、新しい国を作るという事は世界の国々と対峙するかもしれんのだぞ?」

「どこに国を作るかは決めてないよ、土地勘なんてあるわけないしさ」

 クレスト王の表情は突然明るくなり、ある提案を持ちかけた。

「な、ならば我が国の末端の土地を提供し、我々と同盟は……」

「あ~もう、めんどくさいな、いいか! 俺はあんたから施しを受けるつもりもないし借りを作るつもりもない、国は助けたんだしもういいだろう! ソフィアさん、 お金受け取りたいから先にソフィアさんの店に向かっておくね、ここで話してたら時間だけが過ぎそうだからさ……」

 ソウタはそういうと王室を勢いよく飛び出してソフィアの店に向かった。ソフィアは呆れながら杖をつきながら王室を出ようとし、クレスト王はソフィアを呼び止めた。

「ソフィア、お前はどこに行くつもりだ?」

「どこって、決まってるじゃないか、ソウタについていくのさ」

 ソフィアは後ろを向き、クレスト王に顔を振り向けることなく淡々と答えた。

「バカな、貴様我が国に土地を借りて店を開いているだろう。ソウタについていくという事は土地を捨てるのか?」

「あ~あったね、あの土地と店が……ふん、あそこに用はもうないよ、もっと金儲けができるところがあるからね、そっちに行くのが普通さ、私だって長くないんだ、ハウル主のとこに行くよ」

「ワン!」

 ハウルは嬉しそうに尾を振り、ソフィアと共に王室を出て、王室にはクレスト王と数人の兵士、そしてシーナのみとなった。

「え、ちょっとみんな……どうしよう私だけ1人になっちゃった」

 シーナは周りをキョロキョロして気まずい雰囲気を出し始める。クレスト王はシーナに近づきシーナに話しかけた。

「おい、天使の子よ、お前はどうするつもりだ? 我が国に従属する……というのなら、天使の国を助けてやってもよいのだぞ?」

 クレスト王はシーナだけでも手中に収めようとしていた。しかし、シーナはクレスト王の態度が気に食わなかったのか、態度を一変させた。

「やだね! ってか、国を助けないっていったじゃないか! 悪いけど、このことは大天使ジュミナス様に報告させてもらうから!」

 シーナはソウタを追いかけるように、王室を出ていった。ソウタ達が王室を出た後、クレスト王は歯をギリギリとさせて怒りを滲ませている。そして1人の団長らしき男がクレスト王の背後に近づいてきた。光沢のある鎧を身に纏い、明らかに他の兵士とは格の違いを見せつけている。スキンヘッドでキリっとした顔つきは髪を伸ばせばすぐに異性に好かれそうな顔立ちをしている。

「国王様、ソウタという男、これから国をつくるといっておられましたが、あのまま行かして大丈夫なのですか?」

「ぐぅ、このままでは済まさんぞ……ソウタ! ソフィアよ!」

 クレスト王の瞳は怒りに燃えていた―――
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