積極的にバラすタイプの鶴

のは

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温泉旅行と里帰り

知ってた※

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 肌と肌がぺたりとくっつく。そのぬくもりにすこしホッとして、俺は首を伸ばして琉冬の唇に食いつく。琉冬の手が俺の後頭部に添えられて彼の舌がくちびるを割って中に入ってくる。
 舌が絡まりあう感触に夢中になる。くちゅくちゅという音が、さらに気持ちを掻き立てる。

 キスに気を取られているうちに、ベルトが外されたらしい。ゴトっと床に物が落ちる音を聞き、俺が動きを止めた隙に、琉冬の舌がさらに奥へと入ってくる。歯の裏側をべろりとなめとられ、思わず体をのけぞらせた。
 琉冬にそれをされると気持ちいけど、噛んでしまいそうで怖くもある。
 怖いけど欲しい。目じりに涙が貯まる。けれど高まる寸前で琉冬は口を離し、今度は胸から脇にかけてさすり始めた。

 俺の体はすっかりこいつに開発されていて、指先のささやかな刺激を喜んだ。すぐに胸の先がぷくりと膨らむ。
 琉冬は舌で指先で、そこを刺激した。つままれたり、吸われたり、甘噛みされたりするうち、俺の口から甘い声が漏れる。だけどここも、最後まで可愛がってはくれない。琉冬の指は、下着越しに俺の下腹部のあたりを這う。

「琉冬……」
 彼の名を呼びながら、俺はもそもそ自分の下着を下げた。
 元気いっぱい飛び出したそれは、すでに透明な液体をこぼしている。
 琉冬のも見たくて、腕を伸ばす。
 服なんて要らない。早く素肌で、体の全部で彼に噛みつきたい。

 けれど琉冬がそれを阻んだ。
「焦らす気?」
「そうじゃなくて」
 彼は苦笑いで首を振った。
「たぶん今日、俺のほうが持たないと思うから」
「え?」
「桂聖の色っぽい姿見てるだけで、――イキそうになる」

 耳元で琉冬はささやく。彼のほうこそやたらと色気が駄々洩れだ。
 うすく染まった頬、俺からひと時もそらさない視線。苦し気に寄せられた眉、そしてかすれたささやき声。こんなふうに望まれて、まともで居られるわけがないんだ。

「好き、琉冬」
 言葉も気持ちも、それ一色。
「いいから今すぐ入れて。欲しくてたまらないよ」
 そして、琉冬も俺で、気持ちよくなって。

 頭で考えただけなのか、うっかり口に出してしまったのかもわからない。俺はとにかくふわふわしてしまって、琉冬がくれるご褒美を待った。

 琉冬は音を立てて唾をのみ込み、乱雑に下着ごとズボンを下ろした。
 すっかり立ち上がった琉冬のものは、先走りでぬらりと濡れている。彼はそれを自分の手で支え、注意深く俺の体に押し当てた。
 俺の体は難なく彼を飲み込んだけど、琉冬は先っぽを入れただけで、動きを止めた。

 荒い呼吸を繰り返し、必死に快楽に抗う様子はヤバいくらい目の毒で、足で彼を挟んでしまった。
「あ、ちょっと、桂聖」
 焦った様子で俺を呼ぶから、俺は声を殺して笑ってしまう。

 琉冬はムッとしたようだが、同時にそのおかげで少し持ち直したらしい。ぐっと中に押し入ってきた。
 俺が声をあげると、心配そうにのぞき込む。平気だと告げて微笑むと、彼はゆっくりと腰を動かし始めた。
 控えめな抽挿に俺は焦らされ、彼のものがいいところを掠めるたび、もどかしくて悶えてしまう。

 もっととねだる代わりに、俺は琉冬に手を伸ばした。
「琉冬、顔、見せて」
 そしてますますドキドキした。

 俺が好きでたまらないって目で見てる。いつからだろう。琉冬がこんな顔するようになったの。初めての時は、まだ余裕があった気がする。だけど一緒にすごすうち、互いにかけがえのない存在になって、俺のことをこうして求めてくれる。

「桂聖……」

 琉冬が俺を呼ぶ。大切な宝物みたいに。
 そうか、こいつ、俺のこと好きなのか。知ってる。知ってた。

 それなのに幸せで、嬉しすぎて溶けてしまいそうだ。俺ももう我慢なんてできない。彼にゆすられるたび、体の中心にたまった熱が、うずいて、渦巻いて、おかしくなってしまいそうだ。

 苦しいほど呼吸が浅くなり、声を抑えられなくなる。それでも呼びたくて、何度も琉冬の名を呼ぶ。互いの息まで絡まり合うようで、瞑りそうになる目を無理やり開いて琉冬を見る。

「――んっ!」

 とうとうこらえ切れずに、白濁がパッと飛び散った。自分が先か、彼が先かもわからない。しびれるような余韻に身を浸し、俺はぼうっと呼吸を繰り返す。

 やがて琉冬は俺のとなりにごろりと転がった。視線は重なるが、互いに言葉を発することはない。
 気だるげなまばたきを繰り返していた琉冬が、ふっと微笑む。つられて笑みを返すと、琉冬は柔らかなキスをくれた。
 そのキスがふらちな熱を持つ前に、俺はもう一回と言いたそうな琉冬の口を指先でふさぐ。

 確かに今日、琉冬はいつもよりかなり早く達した。それでも俺は充分に満たされたし、琉冬だって、この顔はそこまで飢えてない。

「焦る必要なんてないだろ。この先何度でも、こうして二人の時間を過ごしていくんだから」
「約束ですよ?」

 そこでちょっと拗ねたような顔をしちゃうんだよね、琉冬は。
 まったく、愛おしくってたまらない。
「ああ、約束な」

 俺の嫁は鶴だけど、そのことに不満を感じたことはない。
 むしろ琉冬と二人だから、いつまでも仲良く暮らしていけるって思うんだ。





      おわり

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