ダンシング・オメガバース

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Bonus track

ピクニックキス

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 寒くなってきて、くちびるが荒れてきたけどまあいいや。
 放置しようとしたらミラロゥが目ざとく気づいて、僕のためにみつろうクリームみたいなヤツを用意してくれた。
 寝る前、ミラロゥはそれを指にとり、真剣な顔つきでやたらと丁寧に塗ってくれる。
 僕はちょっとどころじゃなく、ドキドキしてしまう。

 ミラロゥがついでのように自分にも塗る姿をまじまじ見つめちゃったけど、
「ヤバい、カッコイイ! 好き!」
 バンザイしてしまうほど色っぽかった。
「全部舐めとってやりたい」
 ハフハフ興奮する僕の額をそっと押しやって、ミラロゥは僕を寝かしつける。
「それはダメだよ。そうだな、その代わり舌を出して」
「こお?」
 速攻言われた通りにすると、ミラロゥは苦笑して僕に顔を近づけた。そして舌同士で挨拶するように、つついてきた。

 あ、これ知ってる。ピクニックキスってヤツ。
 外気に触れて渇いてしまいそうな舌先を、お互いに探り合って潤すみたいなキスだ。

 舌先がゆるゆると交わる様子はどこか動物めいて見えた。それにミラロゥがちらりと舌をのぞかせてるところって、なんかえっちなんだよな。
 キスに集中しろというように、ミラロゥの大きな手が僕の後頭部を撫でた。

 気持ちよくて、体が熱く火照ってくる。
 僕の状態に気づいたのかどうか、ミラロゥはそこでキスをやめて、僕の首筋に顔をうずめた。
「ルノン、甘くて良い匂いがしているよ」
「先生は……」
 僕も負けじと彼の首筋を嗅いだけど、ミラロゥは平静というか、眠そう。

 ダンスで求愛するこの国の人々が、情熱的に愛し合うのはもっぱら暖かい時期だけらしい。
 冬のあいだは無理せずゆったり過ごすという。
 夜になり急に冷え込んだので、ミラロゥもすでに半分寝ぼけたみたいになっている。
 ハグを通り越して抱き枕にされちゃった気分。

 眠そうなミラロゥも可愛いから、いいけどね。
 だけど、どうしても我慢できなくなったらそのときは、部屋中ポカポカにしてしまおう。
 僕はこっそり目論んだ。
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