上 下
15 / 23

15 幸せな日常

しおりを挟む
   

 昼間は大学に行って、同じ家に帰る。
 いままでと同じ生活のようで、夜になるとまるで違う。
 ルラの言ってた、タガが外れるっていうのを俺もようやく実感した。俺たちはお互いの体に溺れるように毎日求め合った。
 今日もどちらからともなくキスをして、もつれあいながらベッドに転がった。

 はじめは違和感しかなかったのに、ルラの指が俺の中を刺激すると、すごくへんな感じになる。背筋がゾワゾワするのは変わらないのに。ときどき、違う刺激が走る。
 へんだ。なんか、すごく。
 息が上手くできなくて、俺は喘いだ。自分の声じゃないみたいで、ひどく恥ずかしい。

「行久」
 ルラが俺を呼んだ。こんなときばかり、名前で呼ぶ。嬉しいと思えば、ますます体が昂った。
 ルラが下着をおろして、俺に許可を求める。頷けば、ルラのものが、俺の中に入ってくる。

 だめだこれ、きもちいい。
 認めてしまえば、漏れる声が、ますます淫らになっていく。
「行久、可愛い」
「や、やめっ。あ、そうじゃない止めんなっ」
 ルラが一瞬、ぎょっとした様子で俺の中から彼のものを引き抜こうとしたので、俺は慌てて引き留めた。

「……続けて、き、きもちいいから」
 ルラはそれを聞いてハッと一瞬息を止めた。
 耐えてる。ルラが俺の体に感じて、興奮して、いますごく耐えてる。そう思えば自然と口の端が上がる。
 ルラのものがゆっくりと、俺の中に入ってくる。ルラは荒く息を吐いた。

「ハニー、あんまり締めないで」
「んなもん、コントロールできるかよ」
 呼び方がハニーに戻って、俺も正気に戻った。ルラはムッと眉を寄せ、一度抜いてから、ずんとついた。
 俺は大きく喘いだ。痛かったわけじゃない。ただの生理的な反応だ。謝りかけたルラの口に指を伸ばして、続けてと囁いた。

 怖がる必要なんてない。俺も、ルラも。
 どんなみっともない姿を見せようが、きっと俺たちなら平気だ。

 くちびるが重なった。その柔らかさが、俺の体の緊張を少しずつほどいていった。
 熱くたぎる体のすべてをルラに預けて、俺は彼に導かれるまま精を放つ。
 なんどもなんども訪れる快感に、時に微笑み、時に苦しみ。
 交わった。



 どうやら俺は眠ってしまったらしい。うっすらとまぶたをあげると、ルラが俺を見てほほ笑んでいた。
 コイツ、また俺の寝顔を見てやがったな。
 つついてやりたいが、体が重かった。こんなに疲れ切ることって、普段ない。こんなに満たされることも。

「シャワー浴びてきましょうか」
「えー。めんどい」
 最後まで言わないうちに、ルラに抱え上げられてしまった。
「大丈夫、僕が全部やりますから」
「それはそれで、ヤダ」

 すこしの攻防のすえ、俺は頭のてっぺんから足の先までルラにキレイにされてしまった。
 まあ俺も、ルラの体を泡だらけにしてやったけど。ボディソープでヌルヌルする体で抱き合って、キスをして、ほんと、欲望ってキリがないんだなって思い知った。



   ◆
 ルラと一緒にスーパーへ向かう途中、俺はふと街路樹に目をやった。葉が少しずつ、黄色く染まり始めていた。
 涼しくなってきても、歩けばまだ暑いだろうと油断していた。
「あー、もう一枚着てくるんだった」
 二の腕をさする俺を見て、ルラがさっと上着を貸してくれた。
「寒くねえの?」
「あとで温めてください」
 詫びの代わりに手を繋ぐと、ルラは結構あったかい。
「必要あるかな?」
「ありますよ」

 ルラとあやかし方式の結婚式をあげてから、もう数か月経つというのに、ルラは相変わらず俺とスーパーへ行くとはしゃぐ。
 二人分の食料を買い込んで、分担して荷物を持つ、そんなことが楽しいらしい。
 店内に入る前にほどいた手を、出るときまた繋いでゆっくりと帰る。

 俺はむしろ、こっちの時間のほうが好きだ。ふたりで同じ巣に帰るってのは、すごく幸せな感じだ。
 ルラももう寂しそうな顔をしていない。俺といるからコイツが幸せなんだって思えば、俺はすこしばかり、誇らしい。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

年上の恋人は優しい上司

木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。 仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。 基本は受け視点(一人称)です。 一日一花BL企画 参加作品も含まれています。 表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!! 完結済みにいたしました。 6月13日、同人誌を発売しました。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

処理中です...