砂漠と鋼とおっさんと

ゴエモン

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ドブさらいの錫乃介漫遊記

副作用って言葉最近副反応って言葉に変わった?

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錫乃介 現状 
 

 愛車名称 
 ジャノピー 

 車種 
 HONDAジャイロキャノピー

 スペック 
 エンジンV型12気筒 馬力たぶん2,000くらいでめっちゃ凄い。ちゃんとしたオンロードなら時速120キロくらいまでだせるが、そんなオンロードこの世界にはほぼない。
 
 武装1 
 ADENリボルヴァーカノン、サカキチューンタイプ。30×113mm弾が300発収納可のリアボックス。現在残弾10発程。
 
 武装2 
 新型ブローニングM2032重機関銃。ボディが強化樹脂製のため軽い。残弾20発程
 
 オプション 
 操作用小型モニター ジョイスティック 有線リンク電脳自動操作システム マルチアイシステム
 弾薬とは別の収納用のリアボックス、容量300ℓ ヒビだらけ防弾ドア 調子悪い小型エアコン 心許ない予備燃料

 

 錫乃介装備
 アッシュの部屋から借りパクしたロング丈のデニムシャツ 永久に借りることにしたビリジアン色7分丈のワークパンツ ゴムが切れそうなボクサーブリーフ 穴だらけの黒い厚手のローファーソックス そろそろ限界なミリタリーブーツ 入院中にくすねた飲料水10リットル わがまま言っておかわりした病院食を溜め込んだ携帯食三日分


 白兵戦用武装 己の拳 自慢のローキック  拾った鉄パイプ



 残金0


 現状終わり

……………………



 はぁ、文無しで街を出る事になるとはねぇ。

 “あんな、頭の緩い連中ですからね、いつ自爆報復テロしてくるかわかったもんじゃないですから、さっさと出るに限りますよ”

 そんな気概があるとも思えないけど。でも支払い元が事実上無くなってる賞金目当てで狙ってくるかもしれないからな。

 “ありえますね”

 もうヤダ。あっ!

 “どうしました?”

 アッシュのやつにグロッグ貸したままだった!借りパクされた!

 “もう、どうしようも無いですね”

 ホンット能無しだわ俺。

 “ついでに弾も残り少ないので弾無しですね”

 男に向かって玉無し言うな!

 “これで文無し能無し玉無しの三無しですよ”

 『無三の錫乃介』とか『三無しの錫乃介』ってちょっと格好良さそうじゃね?主人のライバルポジで出てきそうだわ。

 “強キャラっぽいですね。ただの三重苦なだけですけど”

 な!笑


 “素で笑ってますけど崖っぷちなのわかってるんですかねこの人……”



 クーニャンのハンターユニオン併設の病院を退院後、報復行為を恐れてそそくさと町を出た錫乃介は次の目的地シャオプーに向かっていた。
 大河を遡る形で街道が通っているが、熱帯樹林が繁茂しているため道は荒い。クーニャンの街付近は焼畑で広げたのであろう耕作地が広がっている。
 焼畑農業は森林に火を放ち、草木を焼き払ってからその灰を肥料代わりに作物を作る。土地の養分が減ったら次の森林を焼き農地を広げて行く。土地の地力が戻った頃に再び前の土地を使用する。
 現代でも行われている農法で大気汚染や森林破壊など各種問題視されているが、歴史は古く繁栄した古代文明ではほぼ必ずといって良い程見られている原始的農法といえる。その一方滅亡の原因でもあり、ギリシャ、メソポタミア(シュメール)、マヤ、インダスなどの文明は焼畑で農地を広げてから、灌漑農業へと転換し国力を大きく上げ都市国家を形成したが、森林が減った土地は次第に痩せていき、それがゆくゆくは滅亡の一端を担ったと言われている。

 閑話休題。

 この街道はもともとサンドスチームが森林や藪を薙ぎ倒して通った道を数多の車が往来することで出来た街道らしい。当然舗装されているわけがない荒れた道を低速でガコガコ揺られながらジャノピーを走らせる。
 真っ直ぐと続く幅20メートルほどの街道は、もう既に植物の侵食が進んでおり、何処となく植物に支配された例の新宿を思わせる。



 あの医療技術にはびっくりしたな。ここまで俺の時代から進んでいるとは思わなかったぜ。

 “現代における最先端かどうかはわかりませんが、間違いなく宇宙人の謎技術が組み込まれたものでしたね”

 文字通りボロボロだった俺の身体が一週間で完治だもんな。

 “最初の『秒速止血薬アンブレラピッグ』ってあれ、元はウイルスらしいです”

 ウイルス?

 “インフルエンザウイルスとかに罹ると半日から1日で調子悪くなるじゃないですか。その速さを再生に回してるらしいです”
 
 確かに、あの威力を善の方向に向けたら凄いよな。発想の転換だわ。
 
 “傷口縫合してたの蟻だったの驚きました”

 あれな、大量の蟻が勝手にチャクチャク身体這いずり回って傷口ホッチキスみたいに止めてたらしいな。気絶しててその時気付かなかったけど、あとで映像見せてもらって寒気がしたぜ。

 “『オートスティッチ縫合タカモリ』って言う軍隊アリをバイオテクノロジーで改良した医療マシンとのことです”

 ぐ、ん、た、い、アリ。笑えるわ。森の死神が天使になったか。
 あと、なんかナノマシン注射したとか言ってたな。
 
 “『骨芽細胞高速再生ナノマシン 接骨嬢』です。体内でメイド服来た美少女萌えっ子が骨芽細胞の前でエイエイ!って応援して再生してくれてるしいですよ”

 え、なにその無駄な萌え。見れないじゃん。

 “でもそう聞いたら興奮するでしょ?”

 確か~に!俺の体内に美少女が無数にいるのね。

 “でも、本当は激痛が走るらしいので、麻酔かけたわけです”

 ああ、なんか針でプツっとやられてからの記憶が飛んだな。

 “あれが『少年探偵もビックリ麻酔針 アガサ』って言って某少年探偵漫画を参考に開発されたらしいですよ”

 まんまじゃねーか。いや、便利だけどさ。犯罪に使われねぇかドキドキだな。

 “そして最後に感染症予防として、『どんな感染症もドッキリ昇天宇宙抗生物質ドキドキトキシン』を飲んだわけです”

 あれだけ錠剤で地味だったな。でも、至れり尽くせりなのは嬉しいけど、なんでそんな予防薬までくれたんだ?

 “それなんですが錫乃介様、退院の時私聞こえてしまったんです”

 なにが?

 “医者達の会話がわずかに……”

 なんて?

 “「いや~今回は軍の金で色々試せたな~」、「動物実験すっ飛ばしていきなり人体はやり過ぎっすよ院長(笑)」って”
 

 は?括弧笑じゃねぇよ!!
 人の身体でなにしてくれてんのあいつら!!

 “でもどうやら副作用は無さそうで良かったですねぇ”

 良くねぇよ!この後でたらどーすんだよ!!!


 酷く荒れた街道をガコガコ言わせながら、それ以上の大声で叫ぶ錫乃介の声が辺りにこだまするのだった。
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