砂漠と鋼とおっさんと

ゴエモン

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ドブさらいの錫乃介漫遊記

海と言えばお色気水着回

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 機獣が多くなってきたな

 “今まで見なかったタイプも多いですね”

 風にのって潮の香りがするな。そろそろ海か、世紀末物にありがちな“汚染された海”とかじゃ無いことを祈るよ。

 “ご安心下さい。私の試算では人間がいかなる経済活動や戦争の上で海や大気を手酷く汚染したところで、5年も経済活動停止すれば9割方浄化されます”

 マジかよ。

 “よくある世紀末物で、核ミサイルによって世界中を放射性物質が覆って人が生きられなくなった、なんて設定ありますが、ほんの数年もあれば多少イレギュラー生物は増えるでしょうが動物と植物の楽園になりますよ。人間だって短命にはなりますが、経済活動や繁殖活動するくらいにはさして支障がないでしょう”

 って事はこの先の海に白い砂浜ビーチがあってビキニ美女がキャッキャウフフしてる可能性は大だな!

 “思考が場外ホームラン過ぎてコメントできません”

 
 港街マカゼンへ向かう一台の武装ジャイロキャノピーは、行手を阻む機獣を倒し、時には回避しながら、遂に錫乃介がこの世界に来て初めて海へと到達するのであった。
 錫乃介はマカゼンがある湾岸部を一望できる丘の上で、身体を潮風に預けながら感慨深くそして悲しみを背負いその景色を眺める。
 


 ビキニ美女……

 “これはこれは、ビキニ美女がいるワイキキビーチというより、まるで川崎・名古屋のコンテナターミナルですね。規模はだいぶと小さいですが。あ、反対側には魚市場らしものもありますよ”

 魚河岸なんざ料理屋時代に腐るほど見たわ!ビキニ美女はどこだ⁉︎

 “だいたい生きるか死ぬかの世の中なのに、白いビーチがあってキャッキャウフフしてるわけないでしょうが。海にも機獣出るでしょうし。
 あ、でも海そのものは綺麗ですよ。変に汚染されてもいませんし、珊瑚礁も見えますよ”

 はぁ、しゃあねぇ。とりあえず魚河岸行くか。

 “行くんかい”

 だって、久々に新鮮な海の魚食いたいし。


……………………



 お~凄いな、見たことない魚ばっかだな。サワラにスズキ、ボラ、タチウオくらいはわかるけど、これはハタ?あとライギョとかアロワナの淡水系もいるな。

 “バラクーダ、テラピア、イシガキダイ、色々いますが、私のデータにもないやついますね”

 新種?

 “変異体でしょう。スクラッチ後に環境が激変したせいで生態系もメチャクチャになり、僅か100年程で強制的に進化、適応せざるを得なかった魚達かと推測されます”

 お、機獣っぽいのもいるぞ。

 “今のところコレも私のデータにはないですね。用が済んだらマカゼンのハンターユニオンに行って、データを更新しましょう”

 そういやタルマックではユニオンに行ってる暇も無かったな。

 “あんなさまよう地雷原と関わるからですよ”

 望んだわけじゃねぇし。



……………………


 一方その頃、さまよう地雷原さんは。

 「ボスあの女がこれを」

 「ん?錫乃介からの紹介状?もう関わりたくないんだけど……」

 [よお、先日はどうも。この女な、手癖は悪いわマカゼンで他人の島を荒らすわタルマックのマフィアを敵に回すわでトラブルメーカーのとんでもない地雷女だが、女手一つで幼児連れて逞しく生きてるってわずかながら健気なところもある。娼婦くらいしか出来きないア~パ~だが本人は天職と思ってるみたいだから、ハサンのところで面倒見たってくれや。
 あ、別に手を出してくれても、そもそも俺の女じゃないし一向に構わないからな。ただ本当にさまよう地雷原みたいな女だから注意しろよ。それじゃ悪い事はほどほどにな。
君の親友 錫乃介より]

 誰が親友じゃ反吐がでるわ!にしてもボロカス書かれてるな……ただの照れ隠しといったところか……


 「……で、君は錫乃介君とどんな関係?」

 「え~とぉ、愛人でぇす」

 ……ふん。弱味をわざわざ私に寄越すとは馬鹿な男だ。アパッシュを舐めおってからに。

 「良いでしょう、親子共々丁重に扱いますよ。なんせあの錫乃介君のご紹介ですからね……」

 「ありがとうございますぅ」


 「良いんですか?ボス」ゴニョゴニヨ

 「んなこと言ったって、この前30分で壊滅寸前までされたんだぞ、断れねぇだろ。まぁ、恩を売っておいて損はなかろう。それにコレで奴も以前みたいにカチコミもすまいよ」ゴニョゴニヨ


 「早く娘のパンパンも一人前の娼婦になって稼げるようにきたえますねぇ」

 「そんな事せんで良い。部屋と食事を保証しよう。君はただここに居てくれるだけで良いのだよ。錫乃介君にそう頼まれている」

 「え~でもぉ。そんなの悪いですぅ。あ、もしかしてボス専属専用機ですかぁ?それはちょっと料金弾みますよぉ?」

 「いらんいらん。女は間に合っとるよ」

 「あ、そこの幹部さん用ですかぁ?なら月3回で20,000cで如何ですかぁ?」

 「俺も女は間に合ってる、ってかたけぇなおい。どんだけオメェ高級娼婦なんだよ」

 「私マカゼンでの相場それくらいでしたよぉ」

 「相場荒らすんじゃねぇよ!だから追い出されんだろ!」



……………………


 マカゼン漁港付近居酒屋
 
 おっ、久々に太刀魚の刺身なんて食ったけどやっぱうめぇなぁオイ!かーーっ!熱燗が進むぜ!
 それに見ろよ。ボラがいるだけあってカラスミも!かーーっ!焼酎が進むぜ!
 サワラはシンプルに塩焼きでうめぇなオイ!かーーっ!冷やが進むぜ!
 テラピアの天ぷらもイケるね!独特のクセを大葉で包む事で旨く逃してるね!かーーっ!ビールが進むぜ!
 アロワナは淡白な白身だな。だから姿揚げの甘酢餡掛けか。初めて食ったけど、かーーっ!紹興酒がすすぜ!
 この正体不明の変異魚?の干した奴うめぇな!あれだイタリアンのバッカラだな。かーーっ!ワインが進むぜ!
 いや~良かったなぁ魚河岸で買ってきた魚捌いて調理してくれる店があるなんてさ!いや~やっぱり海はいいねぇ。
 

 “もう白い砂浜ビーチもビキニ美女もいらないくらい楽しんでません?”

 いらねぇいらねぇ、そんな浮ついたもん男にゃいらねぇんだよ!
 やっぱり男は美味い肴と酒だよな!女子供の出番はねぇってことよ!


 “ハンターユニオン行くんじゃないんですか?”

 いいんだよそんなの明日で。

 
 “なんなんだこの人”


 残金15,550c
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