砂漠と鋼とおっさんと

ゴエモン

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アスファルト編

気分はもう戦争

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 ハンターユニオンは朝7:00に開く。
 “今日はハンター錫乃介だぜ!”と、意気込んでから、ヨッ!と2人の受付嬢に挨拶するとすぐさまリクエストカウンターへ向かった。

 「ね、ウララちゃん錫乃介よ!」
 「最近会えなくて寂しかったね!」
 「…ウララさん、そういうのホント止めてくれる?」
 「エミリンごめん!真顔でマジにならないで!」

 そんなディスられているのを知ってか知らずか、錫乃介はリクエストの壁を見ていた。既に他のハンター達も数人来ている。


 毎度お馴染みワイルドエシャロット 収穫 50c

 ランドマインアント 駆除1体50c
 (地雷機能生きたままなら200c)

 野良機獣犬 駆除 1体50c

 ウージー虫 ハント 1体150c

 カラシニャコフ ハント 1体200c

 ジャッカルカノ ハント 1体300c

 デミブル ハント 1体1,000c

 バルカンムリワシ ハント 1体2,000c

 ハイエナジーレーザー ハント 1体3000c

 ゴーストライダー ハント 1体5000c

 廃ビル13号棟 探査 地図20,000c

 暴走バギー ハント 150,000c

 キャタピラバッファロー 1,000,000c

 ワイルドタンク ハント 3,000,000c

 エレファンク討伐 10,000,000c

 駆除や討伐は行動不能もしくは討ち取ったあと、証明部位の提出。
 ハントは行動不能もしくは討ち取る等し、指定の素材や部位等を持ってくる事。素材の状態が重要である


 増えてる増えてるデザートスチームがいた時とはえらい差だな。ナビ、どれなら俺にできそう?

 “ほとんど無理ですね”

 そう来ると思ったよ。一応理由は?

 “ウージー虫を始めそれより高額の機獣は全て、小銃機関銃以上の兵器持ちなので、今の装備ではとてもかないません。弾を防げる防具なりを持たないとお話しになりませんね。兵器を持たないデミブルは火力が足りません。仮に討ち取っても素材を搭載する乗り物が必要でしょう。
 探索リクエストにしても、まずはそこまでいく移動手段が必要ですし、本来探索はチームを組んでやる物です”

 ですよね~。
 後は野良犬か蟻退治か。

 “はい、そらなら現在お持ちの装備で、かろうじて遂行出来る可能性があります”

 仕方ないっと、野良犬退治でも行きますか。
 んじゃこれもって、と。

 野良機獣犬駆除を受領した後、カフェバースペースで、ピタパンとシチューのモーニングを食べ、朝食をすました。

 アンシャンテに、“行ってくる!”と挨拶すると、“はい、お気をつけていってらっしゃいませ!”と素敵な笑顔で見送ってくれた。
 たぶん俺が好きなんだな、とポジティブに考えた。鬱陶しいのが居なくなるから、素敵な笑顔が出たとは考えない様にした。
 飲み水をマーケットで購入し街の外へ。


 残金1133c


 野良機獣犬が住み着いているのは北側にある廃墟ビル群らしい。南のエシャロット採取はついでにできない。
 2時間ほど歩くと廃墟にたどり着いた。これだけで、体力がごっそりともっていかれる。時刻はまだ11時前だ。これから日差しが強くなるだろう。
 半壊してる建物の陰に入り込み、休憩をとる。
 何のビルだろうか?砂に埋もれている様子から、少なくともここが一階ではない。普通のオフィスだったのかもしれないが、なんせ本来あったであろう、デスクやパソコン、壁紙から敷物に至るまで、盗掘され尽くしているのか、劣化して無くなったのかわからないが、剥き出しの打ちっぱなしコンクリートのみが残っている。
 小休憩を挟み探索すると、2階に上がれそうな階段を見つける。上がって見るがやはり何もない。それ以上、上の階は行けそうもない。


 “錫乃介様この辺りは街に近いので、めぼしい物は全て取り尽くされていると思って間違いないでしょう”

 そうだな、犬っころを探すか。


 此処よりも大きい別のビルに向かってみようと外に出れば、太陽はいよいよその本気を出してジリジリと辺りを焦がし始めるている。風が出てきて砂がフードにサラサラと当たる。
 

 “錫乃介様、感覚機能をアップさせます。警戒が必要です”

 いるのか?

 ナビの言葉に心臓が高鳴るが、すぐに落ちついて来た。これも電脳の機能だろう。

 “はい、風の音の中に異音がします。そのまま警戒を解かずにあのビルの右手前の建造物へ向かって下さい”

 了解。


 そろそろと足を進め、指示のあった建造物へ後数歩という所


 “伏せて!建造物まで転がる!”

 頭より早く身体が動く。伏せてすぐ鈍い銃声と後方部に着弾。伏せたそのまま身体を建造物に投げ出すと、足を付近に着弾。
 間違い無く正面のビルに、狙撃手がいる様だ。と、様子を伺っていると、ビルから獣の吠える声と共に、野良機獣犬が走り出てきた。

 
 “ショットガン”

 あいよ


 建造物から射線に入らない様に離れ、ショットガンをイヌが出てくるであろう付近に構える。


 “方角10時”


 狙いをスッと変える。


 “ショット!次弾、方角2時”


 ナビの声と共に発砲。
 標的に着弾。
 すぐ様狙いを変え。
 

 “ショット!リロードせずマチェット3時”


 発砲。着弾。
 ショットガンを片手にマチェットを引き抜き、全力で振りおろす。
 頭蓋を割られた標的は沈黙。

 “マチェットを戻しリロード”

 
 すぐ様マチェットを鞘に戻し、ショットガンの銃身の根元を開け弾を込める。


 “構えたまま、3歩前進” 

 前進すると2頭の野良犬は物陰から警戒しているのが見えた。


 “錫乃介様、後方7時にも1頭居ますので、ご注意を、こちらを警戒しています。合図をしたら、振り返って後ろの標的、次点正面11時、それからリロードして3時、向かって来たらマチェットで標的を倒すといきましょう”
 

 了解、狙撃手は?

 “わかりませんが、少なくともこの位置は正面からは狙撃できません。建物から出て回り込まないといけませので。それでは、ショット!”


 後方の7時の野良犬、前方11時をショットガンで仕留めると前方3時は飛びかかって来たため、マチェットで応戦、撃退した。


 ナビ、ウージーを使わないのはなぜ?

 “火力が弱いからです。野生動物もそうですが、あの手の機獣は一撃で倒せないにしても、行動不能に陥らせないとだめですから。
 ウージーですと、飛びかかって来た時のあの突進力を抑えられません。距離が有ればいいんですが、狙撃手がいますからね”

 成る程。狙撃手どうする?

 “このまま、大人しく帰してくれればいいんですが、どうでしょう。この建造物から出たら撃たれる可能性は充分ありますね。犬をけしかけた可能性も捨てきれません”

 自分の縄張りを守っているだけとも考えられるが、実際殺す気撃ってきてるしな。ヨシッ反撃しよう!

 “では、ウージーのご用意を。建造物から更に右に迂回して行きましょう。そうすれば狙撃されません”
 
 了解っと。


 建造物を盾に目的の廃ビルに近づけた錫乃介は窓から侵入した。


 “まだ狙撃手はいますね、聞こえます足音が”
 
 うん、気配みたいのを感じる。

 “狙撃は4階からされました。おそらくそのまま4階にいるでしょう”

 妙だな?狙撃してきたのに、バレバレのそのままの場所?誘いか?

 “そうかもしれませんね。しかしトラップがあっても、私なら気付けますよ”

 俺、ドンキーホームで落とし穴落ちたんだけどな。フラグじゃなければいいんだけど。


 と、密かに錫乃介は思った。
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