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四人と一匹には聞こえない声
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みなさん、いかがでしたか? 楽しんでいただけたでしょうか?
初めに申しましたように、この町にはまだまだ改善しなければならないところがございます。もし行き届かないところなどございましたら、どうかご勘弁を。私たちはこの町がさらに発展するようこれからも努力してまいります。がんばりますよ。
さて、これよりは私の感想です。
みなさん、みなさんは随分とわがままだ。私たちはみなさん一人一人が願っている世界を想像しているのですよ。一生懸命考えましたよ。寝ない日だってありました。そうですよ、寝ずに、皆さんが望む世界を作ってきたんです。みなさんのためにですよ。みなさんを笑顔にするために、私たちはがんばってきました。
それを何ですか! 私たちは不愉快だ。
(こだまが返ってこない?)マーキュリーさん、あなたは頂上から何を眺めたのですか?(素晴らしい)と言ったのはあなたですよ。これ以上何が必要だと言うのですか? それは欲張りと言うものです。欲を張るのは醜いですよ。
ビーナスさん、何ですって?(見たことがない花)それのどこがいけないのですか?(綺麗だ)と言ったのはあなたですよ。見たことのない花を私たちが作ったって、それは愛嬌というものです。大人ならその辺を察してくださいよ。
ジュピターさん、(味が同じだ)ですって? 私たちのパティシエだってまだ修行中なのです。顔に生クリームを付けながら必死にお菓子作りを学んでいるんです。そう言いながら、あなたはアイスクリームまでぺろりと食べた。本当にあなたは食いしん坊だ。
ビーナスさんとジュピターさん、あなた方にはおまけまでつけましたよ。私たちのオーケストラだってバッハの練習で大変だったんです。そんな私たちのがんばりも知らないくせに。
マーズさん、この町であなたに怪我などしてほしくないのですよ。だからわざわざ虫たちが、勝手にあなたの虫とり網に入るようにしたのです。(つまんない)なんて無礼です。無礼という言葉の意味が分からなかったら、マーキュリーさんかビーナスさんにお聞きなさい。
ムーンさん、あなたは時代を分かってらっしゃらない。今は積極的に女性が男性にアタックする時代なのですよ。(女の私が声をかけているのに)ですって? それが当たり前なのです。男だから女だからという時代は、もう終わっているんです。あなたは時代遅れだ。
でもね、私にはわかるんです。何がわかるのか? ですって? みなさんの事ですよ。マーキュリーさん、ビーナスさん、ジュピターさん、それにマーズさん、ムーンさん、あなた方のことがよくわかるんです。早ければ明日、遅くとも一週間後くらいには、あなた方はまた別のお願い事をする。ねぇ、するんでしょ?
あ―嫌だ嫌だ。私たちに感謝の言葉もなくて、次の願い事ですか? 自分勝手な人たちなんですね。
がっかりだ。みなさんには失望しましたよ。
清潔で、平等で、争いのない町を侮辱された気分ですよ?
ねぇ、私の声聞こえましたか? 聞こえない? わからない? それでいいのです。私に声は、もうみなさんには届きませんよ。
みなさんは、大事なことを忘れてらっしゃる。とても大切なこと。覚えていますか? 私はちゃんと注意しましたよ。まさか聞いていないなんてことはないでしょうね。思い出せなかったら、胸に手を当てて落ち着いて思い出してごらんなさい。
この町のルール、守りませんでしたね。あなた方は、私たちの秘密を知ってしまった。これはいけません。いけませんよ。決まりを守らなければならないなんて、あなた方が住んでいる町にもあるでしょ。ルールはとても大事だ。守らなければ町はめちゃくちゃになってしまう。めちゃくちゃな町は、私たちの町ではない。
おっと長く話しすぎてしまいましたね。私たちには次の仕事がございます。
今言うのは少しばかりずるい気がするんですが、私、声にも改善しなければならないことがあるようです。次からは看板の地図についても正確にお伝えしなければいけませんね。
えっ?「わざと大切なことを言わなかったんだろう! 隠していたんだな!」
その質問にはお答えしかねます。
それではこの辺で失礼しますよ。私たちは忙しい身なのです。
今度は誰に私に声が届くのか楽しみです。町の人口も徐々に増やさなければなりませんからね。
ふふふ。
初めに申しましたように、この町にはまだまだ改善しなければならないところがございます。もし行き届かないところなどございましたら、どうかご勘弁を。私たちはこの町がさらに発展するようこれからも努力してまいります。がんばりますよ。
さて、これよりは私の感想です。
みなさん、みなさんは随分とわがままだ。私たちはみなさん一人一人が願っている世界を想像しているのですよ。一生懸命考えましたよ。寝ない日だってありました。そうですよ、寝ずに、皆さんが望む世界を作ってきたんです。みなさんのためにですよ。みなさんを笑顔にするために、私たちはがんばってきました。
それを何ですか! 私たちは不愉快だ。
(こだまが返ってこない?)マーキュリーさん、あなたは頂上から何を眺めたのですか?(素晴らしい)と言ったのはあなたですよ。これ以上何が必要だと言うのですか? それは欲張りと言うものです。欲を張るのは醜いですよ。
ビーナスさん、何ですって?(見たことがない花)それのどこがいけないのですか?(綺麗だ)と言ったのはあなたですよ。見たことのない花を私たちが作ったって、それは愛嬌というものです。大人ならその辺を察してくださいよ。
ジュピターさん、(味が同じだ)ですって? 私たちのパティシエだってまだ修行中なのです。顔に生クリームを付けながら必死にお菓子作りを学んでいるんです。そう言いながら、あなたはアイスクリームまでぺろりと食べた。本当にあなたは食いしん坊だ。
ビーナスさんとジュピターさん、あなた方にはおまけまでつけましたよ。私たちのオーケストラだってバッハの練習で大変だったんです。そんな私たちのがんばりも知らないくせに。
マーズさん、この町であなたに怪我などしてほしくないのですよ。だからわざわざ虫たちが、勝手にあなたの虫とり網に入るようにしたのです。(つまんない)なんて無礼です。無礼という言葉の意味が分からなかったら、マーキュリーさんかビーナスさんにお聞きなさい。
ムーンさん、あなたは時代を分かってらっしゃらない。今は積極的に女性が男性にアタックする時代なのですよ。(女の私が声をかけているのに)ですって? それが当たり前なのです。男だから女だからという時代は、もう終わっているんです。あなたは時代遅れだ。
でもね、私にはわかるんです。何がわかるのか? ですって? みなさんの事ですよ。マーキュリーさん、ビーナスさん、ジュピターさん、それにマーズさん、ムーンさん、あなた方のことがよくわかるんです。早ければ明日、遅くとも一週間後くらいには、あなた方はまた別のお願い事をする。ねぇ、するんでしょ?
あ―嫌だ嫌だ。私たちに感謝の言葉もなくて、次の願い事ですか? 自分勝手な人たちなんですね。
がっかりだ。みなさんには失望しましたよ。
清潔で、平等で、争いのない町を侮辱された気分ですよ?
ねぇ、私の声聞こえましたか? 聞こえない? わからない? それでいいのです。私に声は、もうみなさんには届きませんよ。
みなさんは、大事なことを忘れてらっしゃる。とても大切なこと。覚えていますか? 私はちゃんと注意しましたよ。まさか聞いていないなんてことはないでしょうね。思い出せなかったら、胸に手を当てて落ち着いて思い出してごらんなさい。
この町のルール、守りませんでしたね。あなた方は、私たちの秘密を知ってしまった。これはいけません。いけませんよ。決まりを守らなければならないなんて、あなた方が住んでいる町にもあるでしょ。ルールはとても大事だ。守らなければ町はめちゃくちゃになってしまう。めちゃくちゃな町は、私たちの町ではない。
おっと長く話しすぎてしまいましたね。私たちには次の仕事がございます。
今言うのは少しばかりずるい気がするんですが、私、声にも改善しなければならないことがあるようです。次からは看板の地図についても正確にお伝えしなければいけませんね。
えっ?「わざと大切なことを言わなかったんだろう! 隠していたんだな!」
その質問にはお答えしかねます。
それではこの辺で失礼しますよ。私たちは忙しい身なのです。
今度は誰に私に声が届くのか楽しみです。町の人口も徐々に増やさなければなりませんからね。
ふふふ。
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