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始まり〜シイ村
お説教しないよ
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ソーマは捕まえた馬車の中ですんごい速さでお着替えして息を切らしている。
そんなに急ぐことでもないだろうに、わずか5秒の早着替えだった。
後ろめたさのなせる技なのか?
そのスーツを5秒で着るってすごい。
タイは今やってるけどね。
着いたよ超高級宿。宿じゃないな、ホテルだ。いやいや、最早お城!でか!
貴族街の中央付近に位置するこの城のようなホテルは、ゴロツキなんて近寄れない。
いや、近寄らせないんだろうね。
そもそも貴族街で汚い服着て歩いてたらそれだけで犯罪臭するよね
入り口前では貴族の人は家紋を見せて入場。入城?
冒険者はプレートを見せるのだそうだ。
屈強な男性がふたり両端に居て目を光らせていた。
屈強な警備員だ。
鑑定するとひとりは王宮騎士団のエリート、もうひとりは辺境騎士団のエリートだった。
顔もそこそこ良い。
この城は外国から来た貴族の宿泊にも使うから退団兵ではなくて、現役兵を派遣して警備しているんだって。
見た目子どもの私とエンのふたりだけだったら入城するのに時間がかかったかもしれないけど、大人のソーマが居たからなんとかスムーズに入れたよ。
といっても厳しい目でめちゃくちゃ見られた。
面倒くさくなってちょびっとばかし強い魔力を放出してやりました。
ちびりそうになってたのを必死で我慢していたエリートふたり。
早くこの場から居なくなってくれと言わんばかりに速攻でプレートを返却して通してくれた。
次また同じシチュエーションではもう少し魔力抑えて放出しよう。
同じシチュエーションはすぐに訪れた。
フロントだ。
さっきより抑えた魔力を放出したらカターン!カチャーン!と何かを落とした音でちょっと騒がしくなった。
慌てた紳士が来て「失礼しました」と言ってすぐに対応してくれたよ。
彼は責任者だった。
フロントの美人お姉さん達も警備の都合上なのか、騎士団所属の人たちだったよ。
倒れたりはしなかったけど、フリーズしちゃってる。
ゆるせ。
案内された部屋は最上階の角部屋だった。
Sランクの妖精とドラゴンに最上のおもてなしをしますって!
ご利用いただき誠にありがとうございますだって!
でもごめーん!
今は静かに過ごしたいから飲食サービス一切お断り。
必要な時に呼びますねー。
と伝えると、恭しく礼をして去っていった。
「ふう、3人きりになったね。
ソーマ、手を」
男性なのにキレイなソーマの手。
ちょっとドキドキするね。
隷属の指輪に手をかざして創造魔法。
「ちょっとの間だけ隷属機能停止!」
チカっと指輪全体が光って魔法が掛かった。
「はあ!あー!!!!ありがとう!シイ!ありがとー!!!」
ガクッと膝を折って叫ぶソーマは涙していた。
「まあ、座ろうよ。
何飲みたい?」
窓付近にある丸テーブルの椅子に腰掛けて、私とエンはいつものアールグレイを出した。
「ううーうーぐすぐす」
ソーマはまだ蹲って泣いていた。
よっぽどだったんだね、隷属って。
ま、人としての尊厳を奪われるって、死ぬより辛いだろうよ。
お説教なんかしなくても充分かな。
でもチクチク言いたい。言わせて。
「ソーマ!座んなよ!まずは落ち着いて。
日本酒出そうか?それともハーブティ飲んで心を落ち着かせる?
コーヒーでも良いけど」
返事が来ないから魔法で日本酒、ハーブティ、コーヒーを出しといた。
「ま、いいや、落ち着いたら座ってね。
ソーマが隷属の指輪をはめられた経緯を知ってるし、どんな組織が相手なのかも知ってる。
協力するから、安心して。
少なくとも、ソーマは死なないから。
商品奪われても私があげたヤツはまた補充すれば良いんだからね。
命以外は全部くれてやんな」
「・・・・・・ううう、シイ、ありがとう・・・・・・」
「デカパイが魅力的だった?
色気たっぷりのねーちゃんがスリスリしてきてサイコーだったでしょ?」
「・・・・・・うん」
正直でよろしい。
「まさかソーマがあんなのにひっかかるとは思わなかったよ。
でも良い思いはたくさんできたね」
「・・・・・・うん」
やっと立ち上がったソーマはまだぐすぐすしてたけど、ゆっくり座って、指輪を外した。
そんなに急ぐことでもないだろうに、わずか5秒の早着替えだった。
後ろめたさのなせる技なのか?
そのスーツを5秒で着るってすごい。
タイは今やってるけどね。
着いたよ超高級宿。宿じゃないな、ホテルだ。いやいや、最早お城!でか!
貴族街の中央付近に位置するこの城のようなホテルは、ゴロツキなんて近寄れない。
いや、近寄らせないんだろうね。
そもそも貴族街で汚い服着て歩いてたらそれだけで犯罪臭するよね
入り口前では貴族の人は家紋を見せて入場。入城?
冒険者はプレートを見せるのだそうだ。
屈強な男性がふたり両端に居て目を光らせていた。
屈強な警備員だ。
鑑定するとひとりは王宮騎士団のエリート、もうひとりは辺境騎士団のエリートだった。
顔もそこそこ良い。
この城は外国から来た貴族の宿泊にも使うから退団兵ではなくて、現役兵を派遣して警備しているんだって。
見た目子どもの私とエンのふたりだけだったら入城するのに時間がかかったかもしれないけど、大人のソーマが居たからなんとかスムーズに入れたよ。
といっても厳しい目でめちゃくちゃ見られた。
面倒くさくなってちょびっとばかし強い魔力を放出してやりました。
ちびりそうになってたのを必死で我慢していたエリートふたり。
早くこの場から居なくなってくれと言わんばかりに速攻でプレートを返却して通してくれた。
次また同じシチュエーションではもう少し魔力抑えて放出しよう。
同じシチュエーションはすぐに訪れた。
フロントだ。
さっきより抑えた魔力を放出したらカターン!カチャーン!と何かを落とした音でちょっと騒がしくなった。
慌てた紳士が来て「失礼しました」と言ってすぐに対応してくれたよ。
彼は責任者だった。
フロントの美人お姉さん達も警備の都合上なのか、騎士団所属の人たちだったよ。
倒れたりはしなかったけど、フリーズしちゃってる。
ゆるせ。
案内された部屋は最上階の角部屋だった。
Sランクの妖精とドラゴンに最上のおもてなしをしますって!
ご利用いただき誠にありがとうございますだって!
でもごめーん!
今は静かに過ごしたいから飲食サービス一切お断り。
必要な時に呼びますねー。
と伝えると、恭しく礼をして去っていった。
「ふう、3人きりになったね。
ソーマ、手を」
男性なのにキレイなソーマの手。
ちょっとドキドキするね。
隷属の指輪に手をかざして創造魔法。
「ちょっとの間だけ隷属機能停止!」
チカっと指輪全体が光って魔法が掛かった。
「はあ!あー!!!!ありがとう!シイ!ありがとー!!!」
ガクッと膝を折って叫ぶソーマは涙していた。
「まあ、座ろうよ。
何飲みたい?」
窓付近にある丸テーブルの椅子に腰掛けて、私とエンはいつものアールグレイを出した。
「ううーうーぐすぐす」
ソーマはまだ蹲って泣いていた。
よっぽどだったんだね、隷属って。
ま、人としての尊厳を奪われるって、死ぬより辛いだろうよ。
お説教なんかしなくても充分かな。
でもチクチク言いたい。言わせて。
「ソーマ!座んなよ!まずは落ち着いて。
日本酒出そうか?それともハーブティ飲んで心を落ち着かせる?
コーヒーでも良いけど」
返事が来ないから魔法で日本酒、ハーブティ、コーヒーを出しといた。
「ま、いいや、落ち着いたら座ってね。
ソーマが隷属の指輪をはめられた経緯を知ってるし、どんな組織が相手なのかも知ってる。
協力するから、安心して。
少なくとも、ソーマは死なないから。
商品奪われても私があげたヤツはまた補充すれば良いんだからね。
命以外は全部くれてやんな」
「・・・・・・ううう、シイ、ありがとう・・・・・・」
「デカパイが魅力的だった?
色気たっぷりのねーちゃんがスリスリしてきてサイコーだったでしょ?」
「・・・・・・うん」
正直でよろしい。
「まさかソーマがあんなのにひっかかるとは思わなかったよ。
でも良い思いはたくさんできたね」
「・・・・・・うん」
やっと立ち上がったソーマはまだぐすぐすしてたけど、ゆっくり座って、指輪を外した。
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