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始まり〜シイ村

また1人減った

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今日は行き残りレースの残り人数を聞きに街へ来た。

いつものルーティンをこなしたかったんだけど、最近は孤児が少ないし、彼らも駆け出し冒険者となって稼ぐようになったらしく、孤児に見えるような子はもうほとんど居なくて、露店で買ったものを彼らの数日分の食事を渡すだけ。
食費だけでも浮くようにね。
いつもだったら他の孤児にもわけてねってなるんだけど、他の孤児がいない。みんなシイ村に行ったって。
君たちもみんな来れば良いのに。

でも露店で買う量は減らないから私の収納魔法にどんどん収納されて結構な数になってしまったよ。
たまにおやつとして村人に出すんだけどね。

あ、そうそう、孤児の中でも年齢がある程度達していて、やる気のある子は毎日マルコに連れられて冒険者として働いているよ。
私としては子どもはたくさん遊んでたくさん食べてたくさん寝てくれた方が良いんだけど、この世界の子どもたちと足並みそろえた職業訓練をしないとよその街の子どもたちと比べられた時に「何もできないの?」なんて言われちゃうからね。そうならないように渋々だけど、やりたい子に限って、どっかの班に弟子入りを許可してるんだ。

それも遊びの一環として楽しく出来るように村の大人に通達してあるから、きっと大丈夫。
それは子どもたちの表情を見ればね!
すっごくイキイキしていて、体全身から楽しい!ってオーラを発してるんだ。
子どもはかわいいね!



辛そうな子どもが居なくなった街の隅を横目に、私は神殿に入っていった。

祭典などのイベントがあるときはパンクするんじゃないかってくらい人がたくさんいるんだけど、平時はほんっと少ない。
一般市民に敬虔な信者は少ないみたいだ。
こういう平時こそ熱心にお祈りしないと肝心な時に神様は助けてくれないわよ。
・・・・・・うーん、いやいや、あの神様は、助けてくれなさそうだな。

私が神と話をするポーズをとるとエンは肩から後頭部へ移動した。
なぜそこ?
小猫だから重くはないけども。



おーい!もしもーし!
かーみーさーまー!
わたしわたし!来たよー!

『は!新手のわたしわたし詐欺ですか!?』

なに言ってんのよ。
まぁ新手ではあるよね。前世にわたしわたし詐欺ってなかったわ。
あれってやっぱり孫は孫でも男の子の方が可愛いという心理もうまく利用してると思うよ。
なんだろうね!?
後継になるからかわいいの?
旦那に似てるから好きなの?
若かりし頃の旦那を思い出して恋人気分を味わってるの?
前世男の子に恵まれなかった私には気持ちがわからんわ!

『でもシイさん、前世では兄弟の中で1番お父様に可愛がられていましたよね』

・・・・・・あー、そうだったかも。
父と私って似た者同士だったんだよね。
だからかな。

『現在の生存者数は8人です』

急にお仕事モードになってびっくりだよ。
え!8人!?
また減ったね!

『あまり干渉しちゃだめなんですよ、もう』

もう8人って、早くない?

『今回は遅い方ですよ。
 いつもだったら序盤でばんばん死んでますから』

うわぁ

『今回は長期戦になりそうですね!覚悟よろしくです!』

いや、私死ぬ予定が全くないから覚悟も何もないんだけど?
選ばれし10人で殺し合いをしてはいけないとか、自死を許さないとか、結構ハードな長期戦になると思ってるよ。
せめて殺し合い可能だったら退屈しないんだろうけど、それを禁止にしたってことは以前に不具合があったんだろうと察しますよ。

『私たちにとってはハードではなくソフトゆるゆるですけどね』

はぁ

そんなことよりさ、死んだ過程を聞かせてよ!
ひとり減ったでしょ。
2人目。
なんで死んだの?
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