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始まり〜シイ村

土産という名の

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昼食はシイ村特製のうどん。
ソーマにたくさん作ってあげた後、また大量に小麦粉を入手してきてみんなでたくさん作っといたんだ。
汁さえ出来ればすぐに食べられる。

うまい!はやい!やすい!

次は牛丼を作るか。うひひ。

いや、無理かな。
食用牛って多分この世界は前世世界より少ない。
美味しいものって魔物や魔獣に食べられてしまうから、口に入るのは王侯貴族だけなんだよね。

それじゃあ、魔物で牛に近い味の肉があるか?
あるにはあるけど、個体数が少ないので安定して供給できないからダメ。

となると、牛丼は諦めて豚丼にシフト!
豚といったら豚の代わりとなるオークですよねー!
オークなら体が大きくて一体から取れる肉が半端じゃない。
そして結構繁殖しやすいから、いくら狩っても大丈夫!
あとは玉ねぎがあれば良いから、オークを手に入れたら試作しよう。

私が落ちたあの森を出る時にたくさん魔物を狩ったけど、その中にはオークはいなかった。
まだ出会っていないのだ。残念。

さてさて、ギルマス御一行様には昼食を摂っていただいて、その後自由行動。
入浴してもよし、卓球場で遊んでもよし、ふかふかベッドで寝てもよし。
この後の予定としては、15時のおやつをいただいたら帰る人はおやつ後に帰る。泊まる人は、その後は基本自由行動で、18時頃夕食、就寝、翌朝7時頃朝食。無償はここまで。
チェックアウトは10時頃で、ずっと村をぶらぶらしていても帰りはちゃんと街まで送るよ。
でも食事、入浴はお金とるから、また入浴したい人はチェックアウトまでに入浴していってね。

ってことで、私は多分きっと案内役の彼も他の村人達も粗相はしない、大丈夫だろうと思って後を任せた。

増えた子ども達が食卓につく前に捕まえて、子ども部屋改造をしたかったんだ。
意見を取り入れながらにしたかったけど、他にもしたいことがあったから前回の子ども部屋と同じ内装にして、要望は後ほど村人の誰かに言っておいてくれ。

子どもを捕まえたのは同室が良いのか、男女別がいいのか、兄弟姉妹なのか確認したかったから。
しばらくはみんな同室が良いってさー。

改造されたお部屋に嬉しくなっちゃって騒いでいる子どもたちをまた捕まえて、食堂へ送った。
昼食摂ったらすぐお部屋に行きそうだな。
うんうん、お昼寝もするといいよ。
年齢不相応にちっちゃい体をよく休めてよく食べて、心身共に元気になってくれ。

私はギルマス御一行の皆様にお土産を作りたかったんだ!
お持ち帰りしやすいようなバッグに入れてあげたいなって思ってたんだけど、どんなタイプがいいのか全然思いつかなくて今になってしまったんだ。

ギルマスは帯剣して手ぶらで来るし、ハンドバッグの人もいるし、ショルダーバッグの人もいて、様々な格好を見て、やっと思いついたんだ。

多機能バッグ。
リュック、ショルダー、ハンドの3つの持ち方ができる多機能バッグだよ!

リュックとして使う時は、ショルダーバッグ、ハンドバッグとして使う肩掛け部分と持ち手部分をリュックの隠しポケットにしまっちゃう。

ショルダーバッグとして使う時、ハンドバッグとして使う時も、使わない部分は隠しポケットにしまうことができちゃうんだ!
これならどんな人でも使えるよね。

生地はキャンパス地でランドセルのように四角く作る。
蛇腹のようなマチを作って、たくさん入れる時はベルトを外し、少量の時はベルトを締めて内容量に合わせてサイズ変更可能なバッグだよ。

その中に、魔素タオルや魔素ラーメン、魔素スープ、うどん(早く食べてね)6食ぶんくらい、プチケーキ50個(背中で潰さないようにね)あと、工作班が頑張って作ってた木の食器。
木の食器はグレードが上がってたよ。すごい。頑張ってるじゃん。
持ってきた工作班のみんなをたくさん褒めて、食器類を詰めていった。街の人が気に入って買いに来てくれたらいいな!

ついでに多機能バッグをもうひとつ、布製だから小さく折り畳んでバッグの中に入れてお土産にした。

もっと持たせたいけど、こんなもんでいいかな?

「シイ」

「ん?」

自己満足している私にエンが声をかけてきた。

「それがお土産なのか?」

「うん」

「いいのか?」

エンがいいのか?と聞いてくる時って大抵「王侯貴族に目をつけられるけど、いいのか?」という意味だ。

魔素タオルなんてこの世界にない技術で作られているふわふわタオルだし、多機能バッグもこの世界にはまだなかった。
もちろんインスタントの魔素ラーメンや魔素スープも。

でももう目をつけられてもいいと思ってる。
開き直ったよ!
妖精とはどういう存在なのか、ギルマス達をみてなんとなくわかったんだよね。
いろんな妖精がいるけど、強大な力を持った妖精には逆らってはいけないって思っているみたい。

だからシイという妖精が興したとされるこのシイ村について、無闇矢鱈と口にする人はいないと思うんだ。
シイ村はいいところだと広める人がいても、この不思議な食べ物や超高級なタオルの出所を広める人はいない。
みんな自分の身が大事だから、ね。

いやいやいや、私が何か恐ろしいことをするなんて!
まさか、そんなことしないよぉー


多分ね。



「エン、これはね?
 お土産という名の、賄賂なんだよ? ふふふ」
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