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始まり〜シイ村
桃源郷か遊園地
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ギルマス御一行は村の入り口に呆然と立ち尽くしていた。
「いったいここは・・・・・・」
王都でしかみたことないような高い聳え立つ建物。
敷き詰められた石畳と芝。そして噴水。
どこからでも村を一望できるような理路整然と配置された全ての建造物、植物。
果たしてこれらを村と言って良いのか判断がつかない。
人口としては村と言える少人数ではあるのだが、村と言ったら見窄らしい様子で小汚い印象があるのが普通なのだ。しかしこの村は何もかもが綺麗で、どこかの貴族の避暑地。もしくは隠れ家。といっても過言ではない、綺麗すぎる村だった。
更には見たことがないカラフルな鉄の建造物。
あれは一体何なのか。説明がなければ彼らにはわからない。
辛うじてブランコは知っていた。
さてさてシイ村のおもてなし。
村人みんなー!頑張ってー!
私も頑張って口出しあまりしないように黙って見守ってるー!
「ギルマス殿、私が長老のシイ村にようこそ。本日はお越しくださいまして有難うございます。
存分に楽しんでいってください。
お時間がございましたら是非お泊まりも体験ください」
待機していた長老ジョルドがちゃんと挨拶できました!
さすが長老。
いや、お飾りの長老だったんだけど、役職与えたらしっかりするタイプだったのか、敬語もうまく使いこなして働いていて、ジョルド偉い。
今すぐ褒めてあげたいけど客の前ではダメ!とガマン。
その代わり、ニコニコ笑顔と首を縦に振ることで合格であることを伝えるということになっている。
ついつい口を出したくなっちゃう私、妖精シイちゃん。
「黙る」ことを頑張ります。
最後まで頑張れたら褒めて欲しいです。
さて、まずは噴水広場でちょっと休憩していただいて、一服。
「なんでこんな村で貴族が飲むお紅茶が出てくるんだー!」
おもてなしされている誰かが絶叫して、誰かは青ざめ、誰かは幸せそうな表情をしていた。
「美味しい!」
「甘い!」
「柔らかい!」
「初めて食べた・・・・・・」
「パン?」
「・・・・・・」
お茶菓子は一口サイズのプチケーキ。
3センチX3センチの大きさのスーパーでよく売ってるアレ。
旅立ってしまったソーマからもらったレシピにマフィンがあったので、それを一口サイズに作ってもらったよ。
確か、柔らかいパンがやっと貴族で浸透して、そろそろ市井にもおりてきそうなんだったよね。
この一口サイズの柔らかパン、みたいなプチケーキならそろそろ出しても大丈夫かな?と思って出すことにしたよ。
「レシピは・・・・・・」
「考案者は・・・・・・」
全員がニコニコ顔のシイを凝視した。
シイは頑張って黙ってるから、喋らないよ!
みなさんご満足いただいているようで、嬉しい限りですよ!
「はぁ~・・・・・・」
ギルマスが大きなため息をついた。
吐いた息と共に魂が抜けてしまいそうな大きなため息でしたが、良かった、ギルマスの魂は体に留まっていた。
ギルマス御一行みなさんは想像していなかった村訪問に、もう疲れていた。
驚き疲れ、みたいな。
「それでは皆様、本日の皆様のお部屋にご案内いたしますので、大きなお荷物はお部屋に置き、ロックをかけてください。
ご案内いたします。こちらです」
案内役の彼がちょっとギクシャクした所作で案内を始める。
「おお、わざわざ部屋を用意してくれたのか。すまんな。
大きな荷物は俺は無いのだが・・・・・・みんなで行くとするか」
ギルマスは手ぶらだったけど、商会長さんたちは何かしら荷物を持っていたのでみんなで大人しくついていくことにする。
来客用の宿泊施設。
さすがに貴族のようなお部屋ではなかったけれど、街の宿より綺麗で置かれていた家具がちょっと高級そうな感じがした。
部屋の窓際にはロッキングチェアがあり、疲れを癒せそうだった。
ギルマス御一行は話し合ってなどいないのだけれど、「村じゃない」とみんなの思考が一致していた。
「お荷物をお部屋に置きましたらドアの前に立ち、ドアノブに手をかざしてください」
廊下に出てドアを閉めて手をかざすと、ガチャリ・・・・・・カチ!と音がした。
部屋の中では開いていた窓が魔法で閉まり、ドアのロックがされたのだった。
「これは魔道具か・・・・・・!!!」
(村じゃない。秘密結社か何かの隠れ家なのか?)
ギルマス達がシイを凝視する。
シイは何も喋らない。
ニコニコ顔で視線を受け止めた。
「ロックされましたので、同一の魔力をお持ちのご本人でないとロックは解除されませんので盗難のご心配は無用です。
では、一通り施設のご案内をしてからまた外をご案内いたします。
質問等ありましたがお気軽にどうぞ。
では出発します」
ギルマス御一行はみんな同じことを考えていた。
ここは村だけど村じゃない。
シイという妖精が作った村だから、村っぽい何かなんだろう。
秘密結社か隠れ里か・・・・・・
そうでないなら桃源郷か?遊園地か?はたまた、夢の国なのか?
桃源郷
遊園地
夢の国
そんな言葉がこの異世界に存在するのかどうかわからない。
きっとうまい具合に都合よく翻訳されるだろう。
「いったいここは・・・・・・」
王都でしかみたことないような高い聳え立つ建物。
敷き詰められた石畳と芝。そして噴水。
どこからでも村を一望できるような理路整然と配置された全ての建造物、植物。
果たしてこれらを村と言って良いのか判断がつかない。
人口としては村と言える少人数ではあるのだが、村と言ったら見窄らしい様子で小汚い印象があるのが普通なのだ。しかしこの村は何もかもが綺麗で、どこかの貴族の避暑地。もしくは隠れ家。といっても過言ではない、綺麗すぎる村だった。
更には見たことがないカラフルな鉄の建造物。
あれは一体何なのか。説明がなければ彼らにはわからない。
辛うじてブランコは知っていた。
さてさてシイ村のおもてなし。
村人みんなー!頑張ってー!
私も頑張って口出しあまりしないように黙って見守ってるー!
「ギルマス殿、私が長老のシイ村にようこそ。本日はお越しくださいまして有難うございます。
存分に楽しんでいってください。
お時間がございましたら是非お泊まりも体験ください」
待機していた長老ジョルドがちゃんと挨拶できました!
さすが長老。
いや、お飾りの長老だったんだけど、役職与えたらしっかりするタイプだったのか、敬語もうまく使いこなして働いていて、ジョルド偉い。
今すぐ褒めてあげたいけど客の前ではダメ!とガマン。
その代わり、ニコニコ笑顔と首を縦に振ることで合格であることを伝えるということになっている。
ついつい口を出したくなっちゃう私、妖精シイちゃん。
「黙る」ことを頑張ります。
最後まで頑張れたら褒めて欲しいです。
さて、まずは噴水広場でちょっと休憩していただいて、一服。
「なんでこんな村で貴族が飲むお紅茶が出てくるんだー!」
おもてなしされている誰かが絶叫して、誰かは青ざめ、誰かは幸せそうな表情をしていた。
「美味しい!」
「甘い!」
「柔らかい!」
「初めて食べた・・・・・・」
「パン?」
「・・・・・・」
お茶菓子は一口サイズのプチケーキ。
3センチX3センチの大きさのスーパーでよく売ってるアレ。
旅立ってしまったソーマからもらったレシピにマフィンがあったので、それを一口サイズに作ってもらったよ。
確か、柔らかいパンがやっと貴族で浸透して、そろそろ市井にもおりてきそうなんだったよね。
この一口サイズの柔らかパン、みたいなプチケーキならそろそろ出しても大丈夫かな?と思って出すことにしたよ。
「レシピは・・・・・・」
「考案者は・・・・・・」
全員がニコニコ顔のシイを凝視した。
シイは頑張って黙ってるから、喋らないよ!
みなさんご満足いただいているようで、嬉しい限りですよ!
「はぁ~・・・・・・」
ギルマスが大きなため息をついた。
吐いた息と共に魂が抜けてしまいそうな大きなため息でしたが、良かった、ギルマスの魂は体に留まっていた。
ギルマス御一行みなさんは想像していなかった村訪問に、もう疲れていた。
驚き疲れ、みたいな。
「それでは皆様、本日の皆様のお部屋にご案内いたしますので、大きなお荷物はお部屋に置き、ロックをかけてください。
ご案内いたします。こちらです」
案内役の彼がちょっとギクシャクした所作で案内を始める。
「おお、わざわざ部屋を用意してくれたのか。すまんな。
大きな荷物は俺は無いのだが・・・・・・みんなで行くとするか」
ギルマスは手ぶらだったけど、商会長さんたちは何かしら荷物を持っていたのでみんなで大人しくついていくことにする。
来客用の宿泊施設。
さすがに貴族のようなお部屋ではなかったけれど、街の宿より綺麗で置かれていた家具がちょっと高級そうな感じがした。
部屋の窓際にはロッキングチェアがあり、疲れを癒せそうだった。
ギルマス御一行は話し合ってなどいないのだけれど、「村じゃない」とみんなの思考が一致していた。
「お荷物をお部屋に置きましたらドアの前に立ち、ドアノブに手をかざしてください」
廊下に出てドアを閉めて手をかざすと、ガチャリ・・・・・・カチ!と音がした。
部屋の中では開いていた窓が魔法で閉まり、ドアのロックがされたのだった。
「これは魔道具か・・・・・・!!!」
(村じゃない。秘密結社か何かの隠れ家なのか?)
ギルマス達がシイを凝視する。
シイは何も喋らない。
ニコニコ顔で視線を受け止めた。
「ロックされましたので、同一の魔力をお持ちのご本人でないとロックは解除されませんので盗難のご心配は無用です。
では、一通り施設のご案内をしてからまた外をご案内いたします。
質問等ありましたがお気軽にどうぞ。
では出発します」
ギルマス御一行はみんな同じことを考えていた。
ここは村だけど村じゃない。
シイという妖精が作った村だから、村っぽい何かなんだろう。
秘密結社か隠れ里か・・・・・・
そうでないなら桃源郷か?遊園地か?はたまた、夢の国なのか?
桃源郷
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そんな言葉がこの異世界に存在するのかどうかわからない。
きっとうまい具合に都合よく翻訳されるだろう。
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