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始まり〜シイ村

家畜が欲しい!

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馬車をひく馬。

馬が欲しい!

この世界で馬を手に入れるには、大金で買うか、野生の馬を捕まえて調教する。

私なら、野生の馬を捕まえられるよね!


今日も街で孤児に露店の食べ物を押し付けて、ソーマに会って村に公園を作った話をした。
最後にギルドへ行って、シイ村に面白い鍛錬場を作ったから遊びに来てよ!と大いに宣伝した。
ついでに住み込みと通いで仕事をしてくれる人を数名募集かけるようお願いしていった。


今、私達はグランドグラス平原に来ている。
平原。
辺り一面緑で、ちょっと起伏があるけど、地平線が見えちゃうくらい広い。
民家も何もないから静かだ。

前日にマルコに馬を手に入れてくるって話をしたら、トーマスを連れて行けって言われて、トーマスとエンと3人だ。
エンはイヤイヤだったけど、トーマスも背に乗せて平原にひとっ走り。
トーマスはものすごいスピードに振り落とされないようずっとしがみついていたよ。
そんなに緊張しなくても魔法で落ちないようにしてるんだけど、怖いものは怖いよね。

休憩してから捕獲しに行く!
気配を消していかないと弱い生き物はすぐに逃げて隠れてしまうからね。
2キロ先に馬の群れがあるから、ここからは歩きだ。
といっても、私はエンに座っている。
歩いているのはエンとトーマス。
トーマスは気配遮断ができないので訓練しながらだ。

エンは考えてちょっと小高いところを歩き、馬の群れを見下ろす位置に来ていた。
群れは30頭くらいで草を食んでいた。
その向こうには水辺があり、水を飲んでいる馬も居た。

何頭欲しいですか?

馬車は2頭でひく。
繁盛してきたら馬車が2台になるかもしれないと考えると、馬車用に4頭だな。

交代要員であと4頭。

予備2頭追加して、合計10頭でいっかな!

馬が驚いて怪我しないようにデバフをかけて体を重くする。
そして10頭を囲む結界を張る。
あれ!
結界に12頭入ってる。
予定してなかったけど、12頭捕まえることにする。

徐々に結界を狭くしていくと馬も異変に気づいて嘶く。
囲まれていない馬たちは一斉に逃げ出した。

ドドドドドド

すごい地響きだった。
馬の群れなんて初めてだからね、すごいよ。
大迫力!

結界の中の馬はデバフで元気がない。
威圧をかけたら全てひれ伏した。
全ての馬の頭と体をなでなでしても馬はおとなしい。

「みんなには悪いんだけどさ、私の村に移住して欲しいんだ。
 そんで、お仕事を手伝って欲しい」

魔法で出したブラシでなでなで。
もう一個のブラシをトーマスに渡して、12頭全てをブラッシングした。
魔法で馬具を取り付け、デバフを解除。
ステータスを見るとシイに絶対服従になっていた。
やはり簡単だったな!

念のため、手綱をひいて広くした結界の中でぐるぐる回ってみた。
暴れるやつはいなかった。

「よし!シイ村に行こう!」

帰りはトーマスは馬に乗る。
乗ったことあるらしい。

「馬だと時間かかるから馬にバフかけて早く走れるようにする?」

トーマスは行きのスピードを思い出して顔を青くした。

「いやいやいやいやいや!馬は俺が責任持って連れ行くんで、バフはやめてください!」

ちょっと半ベソで拒否したけど、本当にいいの?

「えー、トーマスがそれで良いなら私は良いと思うんだけどさー、トーマスは何のために私についてきたの?
 ほら、私ってば気まぐれな妖精だからさ、ちょっと寄り道なんかしちゃって、トーマスと馬が村に着くのが早いかもしれないよね」

トーマスは青い顔を白くして言った。

「そうでした。
 俺は、シイ様の、護衛でした。
 馬にバフをお願いします」

「はーい!」

可哀想なトーマス。

「トーマス、手を離しても落ちない魔法をかけるから、心配しなくていいよ!
 なんなら、寝てても大丈夫だけど。
 あ、魔法で寝かせてあげようか?」

「・・・・・・」

返事がない。
無言は肯定ってことで、寝かしてやろう。

バタ

「シイ・・・・・・容赦ねえなぁ」

エンが呆れていた。

先頭の馬にトーマスを乗せて落ちない魔法をかけ、馬にバフをかけた。
身体強化。
強い脚に、強い心臓。速い脚。
夜はヒールかけて寝かせてあげるから、頑張ってくれ!

エンに乗って先頭と行くとみんなついてくるので徐々にスピードを上げて走った。

ドドドドド

すごい音と、土煙を立ち上げて走る集団。

周辺の動物や魔物は逃げ去っていった。

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