上 下
38 / 78
始まり〜シイ村

設計図は不要だ

しおりを挟む
村は無事だった。

まぁ、私の結界があるから当たり前なんだけど。
狩り班が出かけたままで村人全員が村を出ちゃったから本当に村が空っぽで私の心も空っぽだよ。
普通に防犯を考えてくれよって思う。

でも道中ずっとお説教してきたんだから、これ以上はもう言わないでおこう。
みんなお腹がぐうぐうなって可哀想になってきた。

着いてすぐに昼食。
新メニューうどんを召し上がれ!


彼らが食べている間、私は思い立ったが吉日で、早速ソリみたいなのを作ろうと思い、ひとりで庭に居た。
私が彼らから見える窓の向こうの位置にわざといるのは、一緒に昼食を摂ろうとしない私を泣いて引き留めようとしたからだった。
でも私はしたいことがあるので、食堂から見えるところに居るから!と言って無理やり離れた。
エンは今私が座っているソファの横に出したローテーブルの上でうどんを食べている。
やっと静かになった。

創造魔法で作るといっても自分が思う理想のカタチをしっかり想像しないとトンデモナイ物が出て来てしまう。
だから、土魔法であれやこれや考えながら形を作ることにしてみた。

まず、向かい風の抵抗が少なくなるように、新幹線や飛行機の頭部分のように丸く尖らせる。
乗る部分は大の大人が足を開いて立てるくらいの横幅。
とりあえず立って乗る設計にしよう。
長距離なら座席があると楽だけどね。

バランスを取るための手摺りがないとね。
底の部分から手摺りをのばすと障害物にぶつかりそうだから、頭部分から手摺りをのばして、前に掴まる感じにしよう。
ハンドルだ。
そうだ、ハンドルだよ。
方向転換とかするのに体重移動できると負荷が少ないよね。
自転車みたいに前輪でコントロールするとかまではしなくていいや。

ひっくり返して、底の部分は滑りやすいように鉄が良いだろうか?
縦に2本、少し山にして細長い鉄を装着。
今は土で作ってるけど、工作班に土の部分は木で作ってもらうつもりだ。

帆を立てて風力で進ませようかと思ったけど、風魔法が使えるなら丸く尖らせた頭の部分、操縦者からみると窪んでいるのでそこに風魔法を当てるつもり。

そうすると体が後ろに持っていかれそうだから腰をささえるベルトでも装着するかな。

とりあえず、シンプルなのが完成。
1号だ!

保護魔法をかけてエンと試乗してみた。

「おっと!」

初めてだからどれくらいの強さで進むかわからず少しずつ力を強めていったら進み始め、ゆっくり進んだけど驚いてバランスを崩しそうになってしまった。

これは腰ベルトがあってよかった。

ずるして魔法でバランスを保ちつつ、なかなかのスピードで広場を数周した。

「いいねー!いいねー!」

「シイ、なかなか快適であったな」

エンも満足してくれたみたい。



2号を考えよう。

狩り班が使うなら、荷物が乗せられると良いよね。
でもあんまり前後に長くできないよね。
横幅をもう少し広げてみる?気持ち広げてみた。

「あ、収納スツール」

腰掛けだけど、収納でき蓋付きの箱を思い出した。
後ろ半分を座れる高さの箱にしてみた。
乗る時は箱に腰掛ける。
そしたらベルトは要らないかな。
あ、座る部分だけ板を張って、あとの部分は蓋がなくてもいっか。
そうすればもっと荷物を載せられるだろうな。
あと、軽量化を考えるなら、箱を格子状にしてみようかな。

また試乗。
ちょっと重くなったけど、いいと思う!
2周目はエンに大型になってもらって箱に入ってもらった。
格子の隙間から毛が飛び出ていて可愛かった。
飛び出ている毛をなでなで。

もっと重くなって風魔法をもっと強くしなくちゃいけなくなった。
私は魔力無限大だからへっちゃらだけど、普通の人は大丈夫かな?
やっぱ、タイヤつけた方がいい?

3号はタイヤをつけることにした。
耐久性を考えて小さい鉄のタイヤにしてみた。
前に1個、車体の中央あたりの操縦者の足下に2個。
試乗してみたら、スタートは風魔法を強くしなくちゃいけないけど、スピードに乗ったら魔法を弱くしても大丈夫そうだった。
タイヤの装着の部品にいくつか鉄を使わなきゃいけないから、木も多少頑丈なものじゃないとダメそうだな。
また重くなるかな?
ま、その辺はもう工作班に考えて改良して貰えばいっか。

それから、大人数が乗れる馬車のかわりはどうしようかな?
さすがにそれは風魔法での操作は危ないな。
やっぱり家畜か。
時間を考えないなら牛でもいいよね。
でも街と村を繋ぐ定期便を運行するならやっぱり馬か。

ん?
トロッコ?
路面電車?
森を抜ける道はそれでもいいなぁ。
動力は人力か、家畜か。
魔道具でできるならそれでもいいけど。
でも結局街から森までは馬車しかないなぁ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

処理中です...