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始まり〜シイ村

設計図は不要だ

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村は無事だった。

まぁ、私の結界があるから当たり前なんだけど。
狩り班が出かけたままで村人全員が村を出ちゃったから本当に村が空っぽで私の心も空っぽだよ。
普通に防犯を考えてくれよって思う。

でも道中ずっとお説教してきたんだから、これ以上はもう言わないでおこう。
みんなお腹がぐうぐうなって可哀想になってきた。

着いてすぐに昼食。
新メニューうどんを召し上がれ!


彼らが食べている間、私は思い立ったが吉日で、早速ソリみたいなのを作ろうと思い、ひとりで庭に居た。
私が彼らから見える窓の向こうの位置にわざといるのは、一緒に昼食を摂ろうとしない私を泣いて引き留めようとしたからだった。
でも私はしたいことがあるので、食堂から見えるところに居るから!と言って無理やり離れた。
エンは今私が座っているソファの横に出したローテーブルの上でうどんを食べている。
やっと静かになった。

創造魔法で作るといっても自分が思う理想のカタチをしっかり想像しないとトンデモナイ物が出て来てしまう。
だから、土魔法であれやこれや考えながら形を作ることにしてみた。

まず、向かい風の抵抗が少なくなるように、新幹線や飛行機の頭部分のように丸く尖らせる。
乗る部分は大の大人が足を開いて立てるくらいの横幅。
とりあえず立って乗る設計にしよう。
長距離なら座席があると楽だけどね。

バランスを取るための手摺りがないとね。
底の部分から手摺りをのばすと障害物にぶつかりそうだから、頭部分から手摺りをのばして、前に掴まる感じにしよう。
ハンドルだ。
そうだ、ハンドルだよ。
方向転換とかするのに体重移動できると負荷が少ないよね。
自転車みたいに前輪でコントロールするとかまではしなくていいや。

ひっくり返して、底の部分は滑りやすいように鉄が良いだろうか?
縦に2本、少し山にして細長い鉄を装着。
今は土で作ってるけど、工作班に土の部分は木で作ってもらうつもりだ。

帆を立てて風力で進ませようかと思ったけど、風魔法が使えるなら丸く尖らせた頭の部分、操縦者からみると窪んでいるのでそこに風魔法を当てるつもり。

そうすると体が後ろに持っていかれそうだから腰をささえるベルトでも装着するかな。

とりあえず、シンプルなのが完成。
1号だ!

保護魔法をかけてエンと試乗してみた。

「おっと!」

初めてだからどれくらいの強さで進むかわからず少しずつ力を強めていったら進み始め、ゆっくり進んだけど驚いてバランスを崩しそうになってしまった。

これは腰ベルトがあってよかった。

ずるして魔法でバランスを保ちつつ、なかなかのスピードで広場を数周した。

「いいねー!いいねー!」

「シイ、なかなか快適であったな」

エンも満足してくれたみたい。



2号を考えよう。

狩り班が使うなら、荷物が乗せられると良いよね。
でもあんまり前後に長くできないよね。
横幅をもう少し広げてみる?気持ち広げてみた。

「あ、収納スツール」

腰掛けだけど、収納でき蓋付きの箱を思い出した。
後ろ半分を座れる高さの箱にしてみた。
乗る時は箱に腰掛ける。
そしたらベルトは要らないかな。
あ、座る部分だけ板を張って、あとの部分は蓋がなくてもいっか。
そうすればもっと荷物を載せられるだろうな。
あと、軽量化を考えるなら、箱を格子状にしてみようかな。

また試乗。
ちょっと重くなったけど、いいと思う!
2周目はエンに大型になってもらって箱に入ってもらった。
格子の隙間から毛が飛び出ていて可愛かった。
飛び出ている毛をなでなで。

もっと重くなって風魔法をもっと強くしなくちゃいけなくなった。
私は魔力無限大だからへっちゃらだけど、普通の人は大丈夫かな?
やっぱ、タイヤつけた方がいい?

3号はタイヤをつけることにした。
耐久性を考えて小さい鉄のタイヤにしてみた。
前に1個、車体の中央あたりの操縦者の足下に2個。
試乗してみたら、スタートは風魔法を強くしなくちゃいけないけど、スピードに乗ったら魔法を弱くしても大丈夫そうだった。
タイヤの装着の部品にいくつか鉄を使わなきゃいけないから、木も多少頑丈なものじゃないとダメそうだな。
また重くなるかな?
ま、その辺はもう工作班に考えて改良して貰えばいっか。

それから、大人数が乗れる馬車のかわりはどうしようかな?
さすがにそれは風魔法での操作は危ないな。
やっぱり家畜か。
時間を考えないなら牛でもいいよね。
でも街と村を繋ぐ定期便を運行するならやっぱり馬か。

ん?
トロッコ?
路面電車?
森を抜ける道はそれでもいいなぁ。
動力は人力か、家畜か。
魔道具でできるならそれでもいいけど。
でも結局街から森までは馬車しかないなぁ。
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