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始まり〜シイ村

神様、ふたたび

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から~んから~ん

この世界の神殿では朝6時、昼12時、夕6時の一日3回鐘を鳴らす習慣があるんだそうだ。

そう、この街にある神殿が昼の12時の鐘を鳴らしていた。



神が私を呼んでいる!



・・・・・・というのはウソです。
思い出しただけです。

神殿に行って神とお話しなきゃいけないことがあったんだよね。

私の体の死亡条件を教えてほしい。
魔素の体って、どうやったら死ぬわけ?
これ確認しておかないと、死にたくないときにいきなり死んじゃったらめちゃくちゃ後悔すると思う。



いつの間にかすっごい量の食事を村人は食べ終わっていて、のんびりお茶をすすっていた。
私の食事が終わるのを待ってる状態だ。
彼らはちゃんと味わって食べたのかな?
まぁ、楽しく食べてたみたいだからいっか。

「私、神殿に行ってお祈りしなきゃいけないんだよねー。
 みんなはどうする?」

まだたくさん残っている食べ物を収納して、クリーンを掛けた。

「お供します」

トーマスから速攻で返事が返ってきた。
お供します、だって!
かっこいい!

「んーと、じゃー、一緒にお祈りしよっか。
 そんで、街に来たら神殿にお祈りするっていうルール作っちゃおっか。
 きっと喜んでくれるよ、神様達」

「・・・・・・こんな俺たちがお祈りだなんて、柄じゃねーよなー」

カエル男が言った。
他の村人も賛同して頷いていた。

「お祈りするのに、柄とかカンケーねーし!
 お前らが生きてるのは神様のお陰なんだぞ?
 これからは神々に感謝して生きていけ!
 つーか!神々だけでなく自分ら取り巻く環境全てに感謝しやがれ!」

ちょっとキレ気味に言ったら村人たち、プルプル震えちゃった。

はい、気を取り直してみんなで神殿行きました。

遠くからでもよく見える大きな建物、たどり着くのに結構時間がかかってしまった。
青っぽい白を基調とした石造りの神殿は、尖った塔がいくつかあって、左右に聳え立った塔には銀色の大きな鐘が天辺にぶらさがっていた。
あれが時間を教えてくれるんだね。

礼拝堂は自由に出入りできる。
礼拝堂の奥にはパイプオルガンを思い出させる形状のものが大きな壁面に彫られ、中央には丸い光の形で神々を表現したものが舞い散っていた。
10個の大きな光と、小さい光がたくさん。
あれが神々の数ってことなのだろう。

1階には教会にあるようなベンチで埋め尽くされ、壁面の前にはお供えができる台座があった。
祈るものは椅子に座ってもいいし、台座まで出てきていい。

2階はボックス席なんかもあって、コンサート会場のような造りだった。
実際、イベントの時にはお説教や演奏などにも一般公開されるなど使われている。
だからさらに3階席もあるし、扉が大きいから収容できなかった一般人が外からでも参加できるようになっていた。

この神殿の奥の方には、神殿に仕える神官さん達の居住区や研究所、見習いさん達の学習施設があったりもする。

国や貴族から寄付を貰うこともあるけど、神殿は独立した機関で時々神託を民に告げたりはするけど、権力を持ったり政治に関わったりなどは一切しないのだ。

彼らは絶対神に己の全てを捧げているから。
跪くのは神のみ。
従うのは神のみ。
慕うのは神のみ。
求めるのは神のみ。

神殿にいるのはそういった人物のみ。

私はキリスト教ではないのでお祈りの仕方なんて知らないんだけど、きっと長話になるだろうから、疲れない姿勢をとろう。
台座の前に座り、台座に両肘を乗せて両手を組むと、そこに顎を乗せた。
顎を乗せると楽チンだったけど、結構不敬なことしてると思った。
でもいいんだ。
あの神様に物申したいからね!

おーい!もしもしー!!!!

かーみーさーまー!

『あ!かずささん!あ、今はシイさんですね!
 お久しぶりです!』

お久しぶりですー!
聞きたいことがたくさんあるんですけどー!!!!

『ぎく!嫌な予感!
 だ、ダメですよ、シイさん?
 要件は現在の生存者数の確認のみですって言いました!』

いいえ!
あなたは重大なことを私に伝えていませんよね?
ちゃんとしっかり聞かせて頂きますからね!

『現在の生存者数は9人です』

おい!無視するな!
っていうか、もう1人減ったん!?
びっくりなんだけど!
一体どうしちゃったの?
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