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始まり〜シイ村
褒めて伸ばそう
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「シイ様!猪を狩ってきたっす!」
「姐さん!運よく兎も獲れましたぜ!」
居残り組の狩り班が帰ってきて、私に見せてくれた。
うわぁ・・・・・・表現できないほどのグロい猪と兎だった。
今までエンと私で討伐した獲物は魔法で一撃必殺だからキレイだし、すぐに魔法収納しちゃうからマジマジと見なくて済んでいた。
前世で、お土産を私の目の前に持ってきて、褒めてと言わんばかりに目をキラキラさせお座りしていた愛猫のように、彼らもまた褒めてと目をキラキラさせていた。
おやじばっかりだからさ、可愛くないんだよ!
イケオジすら居ないメンツで、大好きな猫のようだと表現したくないわ。
それともあれか?犬か?
見えない尻尾をぶんぶん振ってる状態ってやつなのか?
彼らをよく観察してみると、気をつけピ!して背筋を伸ばして微動だにせず、キラキラした目を向けて私の言葉をじっと待っていた。
これは猫だな。
雰囲気が猫。
可愛くないけど、犬か猫か?と言われたらこれは猫だった。
こういうときは・・・・・・怒ってはいけない、褒めてあげなきゃ。
「おかえり。短時間で獲物獲ってきてすごいじゃん!
こんなに大きな猪、よく仕留められたね!
兎もいたんだね。ちょこまか動くから捕まえるの大変だったでしょ?」
「はい!」
すっごい嬉しそう。
「血抜きもしてきたの?」
「はい!血抜きして、食べない部位はちゃんと埋めてきました!」
「えー!偉いじゃーん!だから血が出てないんだね。
どうやって仕留めたの?」
「それはですね!足跡やフンをみつけて・・・・・・」
と、彼らは一所懸命に狩りを再現し始めた。
結構脚色されてそうな大袈裟な身振り手振りで、打ち合わせていたかのように息ぴったりの活劇を観た感じだった。
全然面白くなかったんだけど、ずっと微笑んでた私。
頑張ったと思う。
「と、まあ、こんな感じです!」
パチパチパチパチ
「うわぁ素晴らしい立ち回り。みんなかっこよかったよー!」
拍手をしてまた褒める。
そろそろ終わりにしたい。
「ほんとみんな頑張りました。
最終的には、一撃必殺で仕留められるよになったら一人前だよ!
みんななら出来る!
怪我しないように、精進してくださいね。
食材ありがとう!あそこでキレイに洗ってから厨房に持っていってね。
お疲れ様!」
「はい!ありがとうございます!
精進します!!!」
とても元気にお返事して、何度もペコペコしながら言われた通りに村はずれの水場へと去っていった。
やる気は良し!
私的にはイケメン求む!
風が吹いてちょっと獣臭かったのでクリーンした。
「姐御。お疲れ様っす」
次に来たのは工作班のようだ。
さっきのやつらも、今来ているこいつらも、敬語使い慣れてるみたいだね。
「ねーさん!俺たち、ねーさんに何かプレゼントしたくて、これを作ってきました!受け取ってください!」
4人のバンダナ男衆が腰を90度に折り曲げてプレゼントを突き出してきた。
木でできた皿
木でできたスプーン
木でできたフォーク
木でできたマグカップ
これ絶対皿が1番簡単そう。
そしてまた褒めなきゃいけない場面だな?
魔法を操作して彼らの手から私の手にプレゼントを収める。
「ありがとー!嬉しい!
私に作ってくれたの?」
なぜ食器を作った?
今朝ちゃんとした食器あったよね?
私の魔法で出した食器は見た目陶器だよ?
あるもの作ってどうすんのよ。
なんて思ったけど、私のために作ってくれたと思うと、なんか嬉しいなぁ
まず、皿、スプーン、フォークを順番に見てみた。
ちょっと分厚くて、ヤスリがけがちゃんと出来てない。
でもフォルムはまぁまぁ悪くないと思う。
褒めるところが少ないけど頑張って褒めなきゃ。
「すごーい!頑張ったねー!
この辺の窪みは難しそう」
「頑張りました!」
うんうん、頑張ってる。
好きこそものの上手なれ、だよ。
好きで工作班に入ったんだろうから、努力次第でもっと上手になるよね。
「これちょっと触ってごらん?
チクチクするでしょ?手が怪我しちゃうかも」
「は!す、すみません!!!」
「いいのいいの、仕上げは触ってみてね、ヤスリがけしっかりするといいよ」
「やり直してきます!」
って引っ込めちゃったけど、彼らの成長を見るのもまた楽しいかも。
「いいえ、これは私の部屋に記念に飾っておきます。
また次作ったら見せてね。
どれくらい上手になったか上達を楽しみにしてるよ」
「ねーさん!ありがとうございます!!!」
さて、マグカップはすごかった!
繊細な取手部分、縁は花びらのように波打って、とても薄くくり抜いていた。
こいつはプロじゃない?
「このマグカップはあなたが作ったの?」
ずっと直立不動で静かにしていたひとりに声をかけた。
「はい。昔・・・・・・作ったことがありまして」
「へぇ、さすが経験者ね!
売り物みたいに非のない作品だわ。
スバラシイ!」
「ありがとうございます」
彼は落ち着いた感じのおじさまだった。
「他のメンバーの指導も大変だと思うけど、あなたの作品は絶対売れるから、良いものをたくさん作ってね。
頼むよ」
満面の笑みを返すと、落ち着いた感じのおじさまも嬉しそうな感じで、一礼してみんな去っていった。
褒めて伸ばす教育方針で、私も頑張ろ。
「姐さん!運よく兎も獲れましたぜ!」
居残り組の狩り班が帰ってきて、私に見せてくれた。
うわぁ・・・・・・表現できないほどのグロい猪と兎だった。
今までエンと私で討伐した獲物は魔法で一撃必殺だからキレイだし、すぐに魔法収納しちゃうからマジマジと見なくて済んでいた。
前世で、お土産を私の目の前に持ってきて、褒めてと言わんばかりに目をキラキラさせお座りしていた愛猫のように、彼らもまた褒めてと目をキラキラさせていた。
おやじばっかりだからさ、可愛くないんだよ!
イケオジすら居ないメンツで、大好きな猫のようだと表現したくないわ。
それともあれか?犬か?
見えない尻尾をぶんぶん振ってる状態ってやつなのか?
彼らをよく観察してみると、気をつけピ!して背筋を伸ばして微動だにせず、キラキラした目を向けて私の言葉をじっと待っていた。
これは猫だな。
雰囲気が猫。
可愛くないけど、犬か猫か?と言われたらこれは猫だった。
こういうときは・・・・・・怒ってはいけない、褒めてあげなきゃ。
「おかえり。短時間で獲物獲ってきてすごいじゃん!
こんなに大きな猪、よく仕留められたね!
兎もいたんだね。ちょこまか動くから捕まえるの大変だったでしょ?」
「はい!」
すっごい嬉しそう。
「血抜きもしてきたの?」
「はい!血抜きして、食べない部位はちゃんと埋めてきました!」
「えー!偉いじゃーん!だから血が出てないんだね。
どうやって仕留めたの?」
「それはですね!足跡やフンをみつけて・・・・・・」
と、彼らは一所懸命に狩りを再現し始めた。
結構脚色されてそうな大袈裟な身振り手振りで、打ち合わせていたかのように息ぴったりの活劇を観た感じだった。
全然面白くなかったんだけど、ずっと微笑んでた私。
頑張ったと思う。
「と、まあ、こんな感じです!」
パチパチパチパチ
「うわぁ素晴らしい立ち回り。みんなかっこよかったよー!」
拍手をしてまた褒める。
そろそろ終わりにしたい。
「ほんとみんな頑張りました。
最終的には、一撃必殺で仕留められるよになったら一人前だよ!
みんななら出来る!
怪我しないように、精進してくださいね。
食材ありがとう!あそこでキレイに洗ってから厨房に持っていってね。
お疲れ様!」
「はい!ありがとうございます!
精進します!!!」
とても元気にお返事して、何度もペコペコしながら言われた通りに村はずれの水場へと去っていった。
やる気は良し!
私的にはイケメン求む!
風が吹いてちょっと獣臭かったのでクリーンした。
「姐御。お疲れ様っす」
次に来たのは工作班のようだ。
さっきのやつらも、今来ているこいつらも、敬語使い慣れてるみたいだね。
「ねーさん!俺たち、ねーさんに何かプレゼントしたくて、これを作ってきました!受け取ってください!」
4人のバンダナ男衆が腰を90度に折り曲げてプレゼントを突き出してきた。
木でできた皿
木でできたスプーン
木でできたフォーク
木でできたマグカップ
これ絶対皿が1番簡単そう。
そしてまた褒めなきゃいけない場面だな?
魔法を操作して彼らの手から私の手にプレゼントを収める。
「ありがとー!嬉しい!
私に作ってくれたの?」
なぜ食器を作った?
今朝ちゃんとした食器あったよね?
私の魔法で出した食器は見た目陶器だよ?
あるもの作ってどうすんのよ。
なんて思ったけど、私のために作ってくれたと思うと、なんか嬉しいなぁ
まず、皿、スプーン、フォークを順番に見てみた。
ちょっと分厚くて、ヤスリがけがちゃんと出来てない。
でもフォルムはまぁまぁ悪くないと思う。
褒めるところが少ないけど頑張って褒めなきゃ。
「すごーい!頑張ったねー!
この辺の窪みは難しそう」
「頑張りました!」
うんうん、頑張ってる。
好きこそものの上手なれ、だよ。
好きで工作班に入ったんだろうから、努力次第でもっと上手になるよね。
「これちょっと触ってごらん?
チクチクするでしょ?手が怪我しちゃうかも」
「は!す、すみません!!!」
「いいのいいの、仕上げは触ってみてね、ヤスリがけしっかりするといいよ」
「やり直してきます!」
って引っ込めちゃったけど、彼らの成長を見るのもまた楽しいかも。
「いいえ、これは私の部屋に記念に飾っておきます。
また次作ったら見せてね。
どれくらい上手になったか上達を楽しみにしてるよ」
「ねーさん!ありがとうございます!!!」
さて、マグカップはすごかった!
繊細な取手部分、縁は花びらのように波打って、とても薄くくり抜いていた。
こいつはプロじゃない?
「このマグカップはあなたが作ったの?」
ずっと直立不動で静かにしていたひとりに声をかけた。
「はい。昔・・・・・・作ったことがありまして」
「へぇ、さすが経験者ね!
売り物みたいに非のない作品だわ。
スバラシイ!」
「ありがとうございます」
彼は落ち着いた感じのおじさまだった。
「他のメンバーの指導も大変だと思うけど、あなたの作品は絶対売れるから、良いものをたくさん作ってね。
頼むよ」
満面の笑みを返すと、落ち着いた感じのおじさまも嬉しそうな感じで、一礼してみんな去っていった。
褒めて伸ばす教育方針で、私も頑張ろ。
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