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[完結]そして貴族に

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父親との再会は意外にもあっけなく幕を閉じてしまったことに、兄ズはとてもびっくりしていた。
お仕事から帰ってきたら終わったって言われたら、驚くよね。

父を組み伏せたのは領主がお願いして来てくれたSランクのパーティのみなさんだそうで。
貧民街出身の私たちなんかのために駆けつけてくれたなんて、恐縮です。
そんなこと言ったら自分の能力の価値を正しく知りなさいと怒られた。

それから、私と同じ色を持つお姉様とも少し話をして、遠い東の国のお守りをもらった。
いつでも力になるって、心強いお言葉もいただきました。
優しくてかっこいい冒険者だね。

父はというと、アクセサリーを取り返しに来て、あわよくば私達を奴隷にして売って金儲けを考えてたらしい。
やっぱりか。
貴族から盗んだアクセサリーの中には呪いのかかったものがあり、それに関してのみ犯人に対して賞金がかけられていたので、それはSランク冒険者のみなさんへ支払われた。

兄ズは自分達の親がクズで悲しいし悔しいけど、そんな大人には絶対ならないって。
このあと近い未来に父は処刑されるかもしれないけど、両親ともすでに死んでいるって事にしようと、3人で話し合った。



冒険者ギルドへお礼に行き、今、商業ギルドへ来ている。
Sランク冒険者を呼んでくれたのは領主だからお礼のために、領主の息子さんであるサミュエルに会いに来た。

「領主様に大変お世話になり、ありがとうございました。感謝の気持ちで一杯です。お礼はどうしたらいいか・・・・・・」

サミュエルは相変わらず胡散臭い笑顔で私達を見ている。

「父親が犯罪者として捕まってとても残念な結果となったが、君たち兄弟が無事でなによりだ。お礼なんて気にしなくていいんだよ。でもこの書類にサインをしてくれたらより安心できる」

何の書類にサインしろというのか、側近の男性が私達の前に書類を並べた。

「養子縁組をしてほしい。これはエラの安全を守るためだ。決してエラや君たちを利用するわけではない。エラは色々能力を隠しているね?どんなに上手に隠していても、目立つことをしたら世間に知られてしまうものなんだ。もう隠し切れないよ。父親問題が解決した今、あちこちから貴族が湧いて出てくる。悪い貴族もいるってことはよく知ってるはずだ。君たちを守らせてくれ」

私たちは顔を見合わせた。
まさかの貴族養子縁組。
貧民街で生まれた私たちが平民街に住んでること自体ありえないのに、貴族と養子縁組だなんて。貴族になるってことじゃん。
いつかのフラグをちらっと思い出した。

「できれば今サインしてくれたら1番ありがたいが、君たちの意志を尊重したいとも思う。よく考えてみてくれ。長男二男は冒険者として土台が出来上がってきているからな、生活は今と同じでどうだろうか。エラとルドは私たちの屋敷で、貴族としての教育も十分に受けられる。会いたい時はいつでも会えるよ」

「お、俺たちも養子縁組するのか?」

レオが恐る恐るきいた。

「そうだよ。エラの兄弟として世間に知られているからね、利用されないようにするためだよ」

そっか、能力を隠し持っている私を手に入れるために。兄ズを餌にしようと考える悪い貴族が来るっていうことか。

そうなる前にここでサミュエルの養子になっておいた方がとても良さそう。

「お兄ちゃんたち、貴族には逆らえないよ。でもサミュエルさんなら、信用できると思う」

兄ズは困惑していたし、離れて暮らすことになるのが寂しいといいながらも、しぶしぶ了承した。

私には屋敷内に工房の部屋を与えてくれるって。
今の私たちが住んでる家は家賃なしで使い続けていいと、追加でサミュエルさんが言ってくれた。

兄弟4人、離れ離れの生活になるけど、いつでも会えるし、兄弟である事実は決して変わらない。

私が考えていた未来予想図とは全く異なるが、なるようになれ、だ。
領主も悪い人ではないって知ってるし。
足枷もない。
おもちゃの売り上げはある。

きっと大丈夫。




==========

これで完結です。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
お気に入り34、ぽいんと最高1200くらい。
語彙力も才能もなくて恥ずかしいですが、数字が徐々に上がってきた時はとても嬉しかったです。
皆様に感謝!
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感想 1

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みんなの感想(1件)

とまとあん
2022.10.09 とまとあん

いやぁ面白かった

ぐるぐる
2022.10.09 ぐるぐる

とまとあん様
感想有難うございます!初めてです!嬉しいです!
モチベ上がります!
読んでくださり有難うございました!

解除

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