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誘拐された令嬢
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さて冬だ、の続き。
私が家に居ない時なんて滅多にないけど、ある程度は薪を用意しておかないとってことで、暖炉の横に積んである。
一度は暖炉を使って試しておかないと、何かの都合でいざ使うって時に問題が起きては困るのからということで、兄ズがお仕事お休みの日に使ってみた。
「今日はみんなでお風呂に入ろうか」
とレオが提案してきた。
4人で入れるくらいの大きな浴槽だったから大丈夫だろうな。
「うん。お水いれてくるね」
隣にいたユーリにルドを預けて風呂場へ行く。
クリーンで浴槽ごと浴室をきれいにして、魔法でたっぷりとお水を入れた。
いつもはちょうどいい温度に温めるけど、今回はお試しでもあるので、水は常温で入れてみた。
どれくらいでお湯が沸くのかわからないからちょくちょく確認しないとダメかもね。
その後、ルドと私の着替えも用意して準備はOK。
暖炉に戻るとルドが近寄らないように柵が置かれていた。
今日だけは朝から私の魔法の室温調整は切ってあるから、冷えた家の中は、暖炉の火が暖かい。
ゆらゆら揺れる炎をみていると眠くなってきた。
毛足の長い高そうなラグにみんなで寝そべる。
まだ夕方くらいの時間だけど、外はもう真っ暗だった。
このまま寝てしまいそう、と思ったらみんなして寝てしまっていた。
はっとしてお風呂を思い出して慌てて起きた。
どれくらい寝てたかわからないけど、暖炉の火が小さくなっている。
浴槽の湯の温度は・・・・・・ちょっとあったかいくらいかな。
この量の水だったらもっと火を入れないとダメそうだ。
居眠りなんかして薪を追加しなかったから、これは失敗だな。
今日はもういいや、魔法で適温に温めちゃえ。
「お兄ちゃん、お風呂のお湯は薪を足さなかったからかぬるかったよ。今日は魔法で温めたから、もうお風呂に入ろう?」
兄ズもごそごそ起き出して、薪を追加していた。
「エラ、すまん、みんなで気持ちよく寝ちゃってたね。すぐ入ろう」
「じゃーレオ兄、着替え用意していくから、3人で先に入っててよ」
まだ寝ているルドを不機嫌にさせないように静かに声をかけて起こしてからお風呂へ。
体はいつものようにクリーンできれいにしたから石鹸使わなくて良いよね。
かけ湯もしないでルドを抱っこして浴槽へ入ると、5年ぶりの入浴で体が喜んだのか、「はぁ~」なんて声が出てしまった。
「ルド、気持ちがいいね」
ルドも私も今世では初めての入浴だ。
両手で湯を叩いて水の不思議な感触を確かめているようだった。
「エラ、石鹸で体を洗うんだよ。ユーリも来たし、洗ってあげるから出ておいで」
「・・・・・・クリーンしたよ」
「おー!ふろー!家にふろー!なんて贅沢なんだー!」
ユーリの声が響いてうるさい。
「お待たせ!桶つかおーぜ!」
大小様々な桶が積まれているところから大きい桶を出してユーリが浴槽から湯を運び入れ出した。
「ルドを先にあらうよ」
レオは私からルドを取り上げ、ユーリが準備した桶に座らせてふたりでルドを洗った。
私はルドが石鹸の混じった水を口に入れないように、気を遣ってずっとクリーン発動しなくちゃならなかった。
「次はエラ、おいで」
私の番が来たらしい。
「クリーンしたから石鹸いらないよ」
ちょっと臭い匂いがする石鹸は気持ちが悪くなる。
「公衆浴場では石鹸で洗うんだ。エラも石鹸に慣れようね」
庶民のルール、常識を持ち出されては、もう抵抗は無駄のようだ、仕方ない。
自分で洗うと言ったのだけど、兄ズは私も桶に入れて、ふたりで洗い出してしまった。
また水が汚れないように常時クリーン発動。
ルドまで面白がって兄ズの真似をして手の届くところを洗ってくれた。
石鹸が臭いから、ちょっと高いけど良い匂いのする石鹸を入手しよっと。そんなことを思いながら4人分の石鹸の匂いもクリーンした。
別にお風呂が嫌いなわけではないのだよ。
4人で浴槽につかってほんの数分で茹で上がったのでそそくさと出た。
「え、エラ?早くない?」
翌朝、兄ズを送り出した後、ルドと遊びながらの日課の耳強化。
情報収集は以前より時間を少なくして続けている。
ここ平民街は貧民街と比べたら天国と地獄くらい犯罪数が多いからね。
でも平民街も貴族街と比べたら天国と地獄くらい犯罪数が多いんだよ。
まだまだ、いや、ずっと耳強化して情報収集しないと安全に暮らせないかも。
おや?
女の子が助けを求めて泣いているのが聞こえてきた。
これくらいならいつものあるある。
「おいガキ!騒いだら殺すぞ!」
という脅しをするゴロツキがいるようだと、誘拐事件確定。
貧民街にいた時の誘拐事件では、かくれんぼして遊んでたら偶然話をきいたと言い訳したんだけど、今回はどうしようかな。
私が家に居ない時なんて滅多にないけど、ある程度は薪を用意しておかないとってことで、暖炉の横に積んである。
一度は暖炉を使って試しておかないと、何かの都合でいざ使うって時に問題が起きては困るのからということで、兄ズがお仕事お休みの日に使ってみた。
「今日はみんなでお風呂に入ろうか」
とレオが提案してきた。
4人で入れるくらいの大きな浴槽だったから大丈夫だろうな。
「うん。お水いれてくるね」
隣にいたユーリにルドを預けて風呂場へ行く。
クリーンで浴槽ごと浴室をきれいにして、魔法でたっぷりとお水を入れた。
いつもはちょうどいい温度に温めるけど、今回はお試しでもあるので、水は常温で入れてみた。
どれくらいでお湯が沸くのかわからないからちょくちょく確認しないとダメかもね。
その後、ルドと私の着替えも用意して準備はOK。
暖炉に戻るとルドが近寄らないように柵が置かれていた。
今日だけは朝から私の魔法の室温調整は切ってあるから、冷えた家の中は、暖炉の火が暖かい。
ゆらゆら揺れる炎をみていると眠くなってきた。
毛足の長い高そうなラグにみんなで寝そべる。
まだ夕方くらいの時間だけど、外はもう真っ暗だった。
このまま寝てしまいそう、と思ったらみんなして寝てしまっていた。
はっとしてお風呂を思い出して慌てて起きた。
どれくらい寝てたかわからないけど、暖炉の火が小さくなっている。
浴槽の湯の温度は・・・・・・ちょっとあったかいくらいかな。
この量の水だったらもっと火を入れないとダメそうだ。
居眠りなんかして薪を追加しなかったから、これは失敗だな。
今日はもういいや、魔法で適温に温めちゃえ。
「お兄ちゃん、お風呂のお湯は薪を足さなかったからかぬるかったよ。今日は魔法で温めたから、もうお風呂に入ろう?」
兄ズもごそごそ起き出して、薪を追加していた。
「エラ、すまん、みんなで気持ちよく寝ちゃってたね。すぐ入ろう」
「じゃーレオ兄、着替え用意していくから、3人で先に入っててよ」
まだ寝ているルドを不機嫌にさせないように静かに声をかけて起こしてからお風呂へ。
体はいつものようにクリーンできれいにしたから石鹸使わなくて良いよね。
かけ湯もしないでルドを抱っこして浴槽へ入ると、5年ぶりの入浴で体が喜んだのか、「はぁ~」なんて声が出てしまった。
「ルド、気持ちがいいね」
ルドも私も今世では初めての入浴だ。
両手で湯を叩いて水の不思議な感触を確かめているようだった。
「エラ、石鹸で体を洗うんだよ。ユーリも来たし、洗ってあげるから出ておいで」
「・・・・・・クリーンしたよ」
「おー!ふろー!家にふろー!なんて贅沢なんだー!」
ユーリの声が響いてうるさい。
「お待たせ!桶つかおーぜ!」
大小様々な桶が積まれているところから大きい桶を出してユーリが浴槽から湯を運び入れ出した。
「ルドを先にあらうよ」
レオは私からルドを取り上げ、ユーリが準備した桶に座らせてふたりでルドを洗った。
私はルドが石鹸の混じった水を口に入れないように、気を遣ってずっとクリーン発動しなくちゃならなかった。
「次はエラ、おいで」
私の番が来たらしい。
「クリーンしたから石鹸いらないよ」
ちょっと臭い匂いがする石鹸は気持ちが悪くなる。
「公衆浴場では石鹸で洗うんだ。エラも石鹸に慣れようね」
庶民のルール、常識を持ち出されては、もう抵抗は無駄のようだ、仕方ない。
自分で洗うと言ったのだけど、兄ズは私も桶に入れて、ふたりで洗い出してしまった。
また水が汚れないように常時クリーン発動。
ルドまで面白がって兄ズの真似をして手の届くところを洗ってくれた。
石鹸が臭いから、ちょっと高いけど良い匂いのする石鹸を入手しよっと。そんなことを思いながら4人分の石鹸の匂いもクリーンした。
別にお風呂が嫌いなわけではないのだよ。
4人で浴槽につかってほんの数分で茹で上がったのでそそくさと出た。
「え、エラ?早くない?」
翌朝、兄ズを送り出した後、ルドと遊びながらの日課の耳強化。
情報収集は以前より時間を少なくして続けている。
ここ平民街は貧民街と比べたら天国と地獄くらい犯罪数が多いからね。
でも平民街も貴族街と比べたら天国と地獄くらい犯罪数が多いんだよ。
まだまだ、いや、ずっと耳強化して情報収集しないと安全に暮らせないかも。
おや?
女の子が助けを求めて泣いているのが聞こえてきた。
これくらいならいつものあるある。
「おいガキ!騒いだら殺すぞ!」
という脅しをするゴロツキがいるようだと、誘拐事件確定。
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