異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる

文字の大きさ
上 下
21 / 39

弟君を野に放つ

しおりを挟む
こないだの事件でギルド内に軟禁されてた時に、ギルドの図書館の本を全部読んだので、ルドの授乳が済んだらすぐに採取へ行けるようになった。
だから以前から行きたいと思っていた東へ。
マリー達の方にはもう行かないって言ったしね。

おばちゃんに授乳してもらったら、お礼を言ってカートにルドを乗せてひいていく。
ガタンガタンしてるけど、授乳直後でルドが気持ち悪くならないだろうか。

ルドは吊り下げた布おもちゃに夢中でご機嫌のまま良い場所に着いた。
ちょっと遠目だけど、こちらは子どもが少な目で、採取しているものも1種類だけのようだった。
私はいつもの薬草だけでなく、ちょっと買取額が上がる他の薬草も取るつもりだ。

先に来ていた子ども達の邪魔にならない場所にカートを停めて、2m四方くらいを全部採取しちゃう。
そこにシーツを敷いて、いざ、ルドを野に放つ。
カートを含めたシーツの周囲をシールド張ってルドがシーツより出ないように閉じ込めた。

ずりばいがハイハイに進化している最中で、動きたい盛りなのだ。
数時間もカートの中では絶対に飽きるよね。
ルドに布ボールを投げておもちゃ投入。
透明のシールドに頭突きしても問題ないように弾力性のあるシールドにしてみたよ。
魔力の暴力でね。

おもちゃを与えたら、外からも侵入できないように制限をつけてしまえば、集中して採取ができる。
ちょっとルドから離れても心配ない。

「ルド、お姉ちゃんはお仕事してくるから、ボールで遊んでてね」

わかってないだろうけど、言葉をかけてからその場を離れた。
徐々に遠くへ。

鑑定とサーチ魔法の組み合わせで、何がどこにあるのかわかるようになったので、採取の手が止まることなく摘んでいく。
もちろんナイフではなく、風魔法でブチっと。
基本、ダース単位での買い取りになるので、1ダース分まとまったら、収納魔法から糸を出して痛めないように結んで束ねる。

そして、なるべく鮮度を落とさないようにするために考えたのが、バケツ。
これは誰もやっていない。
初めてだから効果もわからないけど。
切花をバケツに入れて水に浸けて長持ちさせてたのを思い出して、薬草にも同じ効果があればと思って用意したバケツ。
中に入れたのは私の魔法で出した水。
今日一日やってみて、ギルドへ行く前に鑑定して状態を確認してみるんだ。

ちなみにバケツは以前兄ズとその仲間達に持ってきてもらったゴブリンの盾からとった木材を加工した物。
あと、棍棒もスライスしてバケツにしたよ。
まだ倒木の残りがあったけど、何に使うか決まっていなかった盾だ、今使わずしていつ使うのだ。
ここぞとばかりに盾と棍棒を消化した。

種類ごとにバケツに入れていく。
小さく作ったバケツ、4個を持ち運ぶのが精一杯な5才児の体。
バケツが一杯になったらカートへ置いて、また別のバケツを持って採取に行く。の繰り返し。

時々そうやってカートに戻るので、ルドのそばに来ては少し相手してるからか、ぐずることはなかった。

「でたぞ!」

誰かが叫んだ。
どうやらホーンラビットが出たらしい。
数人の男の子が集まって討伐していた。

この辺はホーンラビットが出るのか。
シールドを自分にもかけて不意打ち食らわないように気をつけよう。
ついでに魔物サーチもかけておこうかな。

お、さっそくサーチにひっかかったホーンラビットを発見。
ちょっとまだ離れた場所にいるけど、ずっと気にするのも採取の妨げになるのでやっちゃおう。

初めての魔法だけど、魔力の暴力でなんでもござれ。
ホーンラビットを一瞬で草の檻に閉じ込めた。
角だけが檻から飛び出して、キーキー鳴いている。
生捕りだ。
前世の私が無駄な殺生はするなと言っているので、帰る時にまた野に放つつもりだ。

そしてまた薬草採取を再開。
今日はいつもよりたくさん採取してるから良い稼ぎになりそうだ。

「おい!また出たぞ!3匹だ!」

さっきの男の子達が立ち向かっていく。
複数のホーンラビットでも連携をとって難なく討伐していた。
彼らはパーティなのかな。
仲が良い。

おっと、私のウサギちゃんの辺りにもまたホーンラビットが集団で現れた。

あれ?
なんか多くない?

男の子達も気づいてくれてこちらへ集まって迎撃してくれたんだけど、私も魔法で生捕りだ。

「なんだこれー!?」

男の子達が驚いているのは檻だ。

「キーキー鳴いてるのって、仲間呼んでるんじゃね?」

え。
それは知りませんでした。

「これって、もしかして君?」

ユーリと同じくらいの歳の男の子が私に話しかけてきた。

「うん・・・・・・」

「そっか。仲間呼んでるみたいだから殺しても良いかな?」

「うん・・・・・・やって・・・・・・」

お任せするとみんなで手早く殺してくれた。
ホーンラビットは討伐されて、野に放つことはなくなりました。

「ねーねー、角だけちょうだい」

「角だけ?肉は買い取ってもらえるぞ?」

「角だけ。肉は迷惑料でお兄さん達にあげる」

「なら、遠慮なくもらうか。おーい、草の檻に入ってるやつは角をこの子に渡してくれ。肉は貰ったから山分けだぞ!」

男の子みんな喜んですぐに角を回収してきてくれた。
そして草の檻を崩壊させた。

今日は肉食べ放題だな!なんて喜んでる男の子達、ホーンラビットを呼び寄せたことをなんとも思ってないのか、ありがとうと言ってくれた。

男の子って、優しいなぁ。
東側で平和に採取ができそうで良かった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

【完結】五度の人生を不幸な出来事で幕を閉じた転生少女は、六度目の転生で幸せを掴みたい!

アノマロカリス
ファンタジー
「ノワール・エルティナス! 貴様とは婚約破棄だ!」 ノワール・エルティナス伯爵令嬢は、アクード・ベリヤル第三王子に婚約破棄を言い渡される。 理由を聞いたら、真実の相手は私では無く妹のメルティだという。 すると、アクードの背後からメルティが現れて、アクードに肩を抱かれてメルティが不敵な笑みを浮かべた。 「お姉様ったら可哀想! まぁ、お姉様より私の方が王子に相応しいという事よ!」 ノワールは、アクードの婚約者に相応しくする為に、様々な事を犠牲にして尽くしたというのに、こんな形で裏切られるとは思っていなくて、ショックで立ち崩れていた。 その時、頭の中にビジョンが浮かんできた。 最初の人生では、日本という国で淵東 黒樹(えんどう くろき)という女子高生で、ゲームやアニメ、ファンタジー小説好きなオタクだったが、学校の帰り道にトラックに刎ねられて死んだ人生。 2度目の人生は、異世界に転生して日本の知識を駆使して…魔女となって魔法や薬学を発展させたが、最後は魔女狩りによって命を落とした。 3度目の人生は、王国に使える女騎士だった。 幾度も国を救い、活躍をして行ったが…最後は王族によって魔物侵攻の盾に使われて死亡した。 4度目の人生は、聖女として国を守る為に活動したが… 魔王の供物として生贄にされて命を落とした。 5度目の人生は、城で王族に使えるメイドだった。 炊事・洗濯などを完璧にこなして様々な能力を駆使して、更には貴族の妻に抜擢されそうになったのだが…同期のメイドの嫉妬により捏造の罪をなすりつけられて処刑された。 そして6度目の現在、全ての前世での記憶が甦り… 「そうですか、では婚約破棄を快く受け入れます!」 そう言って、ノワールは城から出て行った。 5度による浮いた話もなく死んでしまった人生… 6度目には絶対に幸せになってみせる! そう誓って、家に帰ったのだが…? 一応恋愛として話を完結する予定ですが… 作品の内容が、思いっ切りファンタジー路線に行ってしまったので、ジャンルを恋愛からファンタジーに変更します。 今回はHOTランキングは最高9位でした。 皆様、有り難う御座います!

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

処理中です...