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初めての平民街

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弟の名前は私がつけることになった。

一晩考えて、「ルド」に決めた。
エメラルドのルド。


翌朝は、兄ズと今後についていくつか話し合った。

まず、父をどうするか。
全員一致で縁を切ることに。
なので、出来るだけ早く違う家に引っ越しをする。
見つかったら何されるかわからない。
平気で子どもを売る親がいる世界だ。
逃げた方がいいだろう。
ギルドに兄ズが相談することになった。

あのへそくりの魔石をボスにアクセサリーと共に渡したから、もし父が帰ってきたら1番にボスが危険だけど、あのボスも結構なワルだしいいだろう。
へそくりの行方については私たちは子どもだからと、知らを切ればいい。
引越しの後にボスが見つけて手に入れたことにして。

いつもの季節に次も必ず来るかどうかはわからないけど、早く引っ越した方が安全だ。
今は秋。次に来るかもしれない春まであと半年だ。

へそくりのアクセサリーについてもギルドマスターに相談することにした。
鑑定した盗品アクセサリーに捜索届けが出ているかどうか。
父の人柄を知らないので、盗品だったら不安って話すつもり。
それで被害者が賞金をかけて父を賞金首にしてしまえば、私たちは平穏な生活が送れると思う。

他の物については引っ越し費用や何かの急な出費に充てて、いつか4等分にする。
日々の生活費はいつも通りクエストで稼ぐってことだね。
もちろん少ない収入からも貯蓄に少しずつ回そう。

今後についてはこんな感じで、今日一日の予定は、午前は近所の授乳中の人へ相談に行って、午後は私の希望で平民街の方へウィンドウショッピングに行くことになった。
前世の記憶を利用して、なにか商売ができないか思いついたらいいなと思って。

昨日の母を見て拳を握っていた兄も、今朝はいつもと変わらない様子で、兄ズが母の死をどのように捉えているのかわからなかった。

でも私たちは、母という枷が無くなって、ポジティブに生きていけそう。
感情のない私はというと、食い扶持が一人減ったくらいにしか思っていない。

引っ越しするまで安心はできないけど、自分たちの好きなように自由に生活していこう。



朝食を摂りながらの話し合いが終わった後、みんなで授乳中の人がいるお宅を訪ねた。
昨夜のことを知っていて快く迎え入れてくれて、早速弟に授乳をしてくれた。
連れてくれば分けてあげるし、ヤギミルクを代用してもいい。
6カ月なら離乳食をどんどん進めるように言われた。
遅いくらいだって。
昔の日本も離乳食早かったよね。
離乳食に適した野菜やメニューも教えてくれたが前世の知識でなんとかなりそう。

弟の授乳問題はこれで解決。
今日も治癒魔法の練習でお尻を癒しているからか、ルドはまだギャン泣きしていない。
夜は久しぶりに静かで、兄ズもぐっすり眠れたみたい。

前世の記憶があるから、体は5歳児だけど育児は私に任せろ!

ちょっと早めに市民街に行って、昼食はどこかで食べることにする。
ずっと抱っこだと疲れるだろうから、即席抱っこひもを考案した。
まぁ、シーツを切って使ってスリングのようにしたんだけど、弟を抱っこした反対側の肩の上で端を結んで、片手は絶対に弟から離さないように抱っこする兄に注意した。

初めての平民街。
貧民街より少しきれいで行き交う人の表情も柔らかい。
ベンチのある公園があったり、広場には噴水もあった。
そこには声をあげて楽しく遊んでいるたくさんの子どもたちがいた。

どんな建物があるのかも見ながら歩いた。
見た中に私たちが暮らせる家があるかもしれない。
庭付き一戸建ては家族で住んでて、庭がない建物は何かの仕事場だったり倉庫だったり。
お店もところどころにたくさんあった。
兄ズは私に歩調を合わせてくれて、私が止まったら待っていてくれた。
どんな商品や道具があるのか全部のお店を見て頭にいれたよ。
使い方のわからない謎の道具は兄ズが説明してくれた。

食料品店では日持ちのする干し肉や小麦粉、野菜も買った。
もちろん兄ちゃんが持ち運べる量ね!
そしてなんと、米を発見したのだ。
米があれば授乳も離乳食も問題ないし、腹持ちがいいから兄ズにおにぎり持たせても良いよね。
玄米だから栄養満点だ。
今日からわが家の主食は米にしましょう。
ああ、とぎ汁で髪の毛のトリートメントもできちゃうね。
髪を伸ばして売ればいい。
ということで、米を一俵買って早速夕飯にいただくことにした。





百聞は一見に如かず

耳強化して得る情報よりも多くの情報を得た一日だった。

あ、米は後で取りに行ったよ。
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