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【番外編】Happy Wedding!! 〜隻眼王子は新妻とイチャイチャしたい〜
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「そう!私が悪いの! クーデターの時にハルが私を庇ってくれた時の傷を確かめたくて。 だから、見せて欲しいって私が…!」
「違う!悪いのは俺だ! 傷を見せてくれと言われて拒みきれなくて!フレイアの可愛い指で傷をなぞられて、俺…!!」
「うわー!!もういい!」
思わず想像しそうになってしまい、サイラスは両手で自分の両耳を塞いだ。
ハロルドが命がけでフレイアを守った時に負った傷…。
拒むハロルドに、それでも見せて欲しいと懇願するフレイアの姿が容易に想像できる。
自分を守って出来たハロルドの傷に、フレイアは触れて…。
好きな女に触れられて、ハロルドは…。
「うわー!!!!!」
サイラスは耳を塞いだまま目をギュッと瞑った。
「…お兄様…」
「うるさい、うるさい!もう何も言うな!」
フレイアはそんな兄に近寄り、そっとその手に自分の手を重ねた。
「聞いてお兄様。私ね?嬉しかったのよ。今度こそちゃんと結婚するんだって、ちゃんと愛してもらえるんだって実感できて…」
「フレイア…」
思わず感動の声を上げたのは、振り回されてよれよれになっていたハロルドだ。
たしかに、フレイアの一度目の結婚は所謂『白い結婚』だった。
最後はお互い納得して別れたが、それでも新婚生活に夢見ていたフレイアが受けた心の傷は深かっただろうと推測できる。
でもその傷を癒すのは兄の自分ではなく、悔しいけれど夫になるハロルドしかいない。
「…それにね?この子、お兄様の甥っ子か姪っ子なのよ?祝福してくださらないの?」
頬を真っ赤に染めて涙目で見上げる妹を、サイラスは薄目を開けて見下ろす。
そしてその視線は自然とフレイアのお腹の方へ注がれた。
(俺の…、姪っ子…。可愛い妹にそっくりの姪っ子…。……いいかもしれない)
一瞬にしてフレイアのミニチュアを想像したサイラスは、思わず口元を緩めた。
「そうか…」
表情の柔らかくなった兄の顔を見て、フレイアはそっと自分のお腹に両手を添えた。
「そこに、フレイアのミニチュアが…」
サイラスも手を伸ばしたが、その手はペチンと振り払われた。
もちろんハロルドにだ。
ハロルドはフレイアの背中から抱きしめるように両手を回し、彼女の手に自分の手を添えた。
「婚姻前に懐妊させるようなことになって、フレイアの身内には本当に申し訳ないと思っている。でも、俺は後悔してないし、素直に、ものすごく嬉しいんだ。 フレイアが打ち明けてくれた時は、感動して涙が出たよ。 愛する彼女と結婚できるだけでも幸せなのに、こんな宝物を授かって、本当に今、世界中で一番幸せな男だと思う。 この先、文字通り俺の命をかけて、フレイアと子どもは守っていく。 どうか、あたたかく見守って欲しい…、義兄上」
そう言うとハロルドはサイラスに向かって深々と頭を下げた。
王族のくせにどうかとは思うが、ハロルドが誠実な男だということは、サイラスが一番よく知っている。
「…しょうがないヤツだな」
サイラスはため息をもらし、苦笑した。
認めてもらえたのかと、フレイアもホッとした笑顔を見せる。
だが、次のハロルドの言葉に二人は再び固まった。
「…はー、よかったな、フレイア。 まさかあの一回で出来ちゃうなんてな。 俺たちよっぽど相性がいいんだと思わない?」
「「ハル!!!」」
フレイアとサイラスの叫び声が、青い空に木霊した。
式直前の一波乱がやっと収まって。
ハロルドとフレイアは手を取り合って祭壇の前へ進む。
新郎新婦のごく近しい人たちと女領主を慕う領民たちに祝福され、二人は永遠の愛を誓うのだ。
「私ハロルドは、妻フレイアを生涯愛し抜きます。そしてこの可愛い新妻と過ごす週末のために、残りの日は全力で国を守ることを誓います」
ハロルドの可笑しな、でもごく真剣な誓いに笑いがおこる。
王族同士の結婚ではあるが、小さな教会の、身内だけの式だからこそ見逃してもらえる誓いだ。
この後タンタルでもハロルドの親族にお披露目する予定だが、流石にビスマス領のようにはいかないだろう。
「私フレイアは、夫ハロルドと共に歩み、共に走り、共に戦い、生涯愛し抜くことを誓います。そしてビスマス領、タンタル、アルゴンの民のために尽くすことを誓います」
「では、誓いの口付けを」
誓いのキスが長過ぎると、サイラスからブーイングが入る。
恥ずかしくなったフレイアもハロルドの胸を押すのだが、そんなことはハロルドの知ったことではない。
ハロルドは祝福してくれる人たちに見せつけるように、可愛い新妻との熱いキスを長々と味わった。
式を終えて教会を出ると、相変わらず抜けるような青空が広がっていた。
ビスマスは今実りの季節で、教会前の街路樹は黄金色に輝いている。
そんな中、領民たちは手に持ったカゴから花びらを撒いて祝福してくれる。
ハロルドは人々の輪の中に立つと、フレイアの背中と膝裏に腕を回し、軽々と抱き上げた。
「ちょっと…!ハル?!」
驚いたフレイアがハロルドの首にしがみつく。
「やったね!これで…、やっと、完全に俺のものだ!!」
ハロルドが満面の笑みを、そして蕩けるような眼差しをフレイアに向ける。
「もう…!バカハル!」
少し唇を尖らせながらも、でもとても幸せそうな顔で笑う妹を、サイラスは目を細めて見守る。
二人を囲む輪は笑いに包まれ、誰もが幸せそうな領主夫妻に祝福の言葉を投げかけた。
ーー因みに、今フレイアのお腹の中にいる第一子は男の子である。
女の子である第二子が生まれるのはそのおよそニ年後。
このフレイアの第二子である長女フローラをサイラスは文字通り溺愛するようになるが…、もちろんこの時はまだ誰も知らない。
そしてこのフローラの花婿を巡る闘いが勃発するとかしないとか…と、それはまた、別のおはなし。
Happy Wedding!!
※ハロルドとフレイアの結婚式におつきあいいただきありがとうございました。
なんだかただのバカップルになってしまったような…。
幸せ過ぎて浮かれているので、許してくださいませ(笑)。
「違う!悪いのは俺だ! 傷を見せてくれと言われて拒みきれなくて!フレイアの可愛い指で傷をなぞられて、俺…!!」
「うわー!!もういい!」
思わず想像しそうになってしまい、サイラスは両手で自分の両耳を塞いだ。
ハロルドが命がけでフレイアを守った時に負った傷…。
拒むハロルドに、それでも見せて欲しいと懇願するフレイアの姿が容易に想像できる。
自分を守って出来たハロルドの傷に、フレイアは触れて…。
好きな女に触れられて、ハロルドは…。
「うわー!!!!!」
サイラスは耳を塞いだまま目をギュッと瞑った。
「…お兄様…」
「うるさい、うるさい!もう何も言うな!」
フレイアはそんな兄に近寄り、そっとその手に自分の手を重ねた。
「聞いてお兄様。私ね?嬉しかったのよ。今度こそちゃんと結婚するんだって、ちゃんと愛してもらえるんだって実感できて…」
「フレイア…」
思わず感動の声を上げたのは、振り回されてよれよれになっていたハロルドだ。
たしかに、フレイアの一度目の結婚は所謂『白い結婚』だった。
最後はお互い納得して別れたが、それでも新婚生活に夢見ていたフレイアが受けた心の傷は深かっただろうと推測できる。
でもその傷を癒すのは兄の自分ではなく、悔しいけれど夫になるハロルドしかいない。
「…それにね?この子、お兄様の甥っ子か姪っ子なのよ?祝福してくださらないの?」
頬を真っ赤に染めて涙目で見上げる妹を、サイラスは薄目を開けて見下ろす。
そしてその視線は自然とフレイアのお腹の方へ注がれた。
(俺の…、姪っ子…。可愛い妹にそっくりの姪っ子…。……いいかもしれない)
一瞬にしてフレイアのミニチュアを想像したサイラスは、思わず口元を緩めた。
「そうか…」
表情の柔らかくなった兄の顔を見て、フレイアはそっと自分のお腹に両手を添えた。
「そこに、フレイアのミニチュアが…」
サイラスも手を伸ばしたが、その手はペチンと振り払われた。
もちろんハロルドにだ。
ハロルドはフレイアの背中から抱きしめるように両手を回し、彼女の手に自分の手を添えた。
「婚姻前に懐妊させるようなことになって、フレイアの身内には本当に申し訳ないと思っている。でも、俺は後悔してないし、素直に、ものすごく嬉しいんだ。 フレイアが打ち明けてくれた時は、感動して涙が出たよ。 愛する彼女と結婚できるだけでも幸せなのに、こんな宝物を授かって、本当に今、世界中で一番幸せな男だと思う。 この先、文字通り俺の命をかけて、フレイアと子どもは守っていく。 どうか、あたたかく見守って欲しい…、義兄上」
そう言うとハロルドはサイラスに向かって深々と頭を下げた。
王族のくせにどうかとは思うが、ハロルドが誠実な男だということは、サイラスが一番よく知っている。
「…しょうがないヤツだな」
サイラスはため息をもらし、苦笑した。
認めてもらえたのかと、フレイアもホッとした笑顔を見せる。
だが、次のハロルドの言葉に二人は再び固まった。
「…はー、よかったな、フレイア。 まさかあの一回で出来ちゃうなんてな。 俺たちよっぽど相性がいいんだと思わない?」
「「ハル!!!」」
フレイアとサイラスの叫び声が、青い空に木霊した。
式直前の一波乱がやっと収まって。
ハロルドとフレイアは手を取り合って祭壇の前へ進む。
新郎新婦のごく近しい人たちと女領主を慕う領民たちに祝福され、二人は永遠の愛を誓うのだ。
「私ハロルドは、妻フレイアを生涯愛し抜きます。そしてこの可愛い新妻と過ごす週末のために、残りの日は全力で国を守ることを誓います」
ハロルドの可笑しな、でもごく真剣な誓いに笑いがおこる。
王族同士の結婚ではあるが、小さな教会の、身内だけの式だからこそ見逃してもらえる誓いだ。
この後タンタルでもハロルドの親族にお披露目する予定だが、流石にビスマス領のようにはいかないだろう。
「私フレイアは、夫ハロルドと共に歩み、共に走り、共に戦い、生涯愛し抜くことを誓います。そしてビスマス領、タンタル、アルゴンの民のために尽くすことを誓います」
「では、誓いの口付けを」
誓いのキスが長過ぎると、サイラスからブーイングが入る。
恥ずかしくなったフレイアもハロルドの胸を押すのだが、そんなことはハロルドの知ったことではない。
ハロルドは祝福してくれる人たちに見せつけるように、可愛い新妻との熱いキスを長々と味わった。
式を終えて教会を出ると、相変わらず抜けるような青空が広がっていた。
ビスマスは今実りの季節で、教会前の街路樹は黄金色に輝いている。
そんな中、領民たちは手に持ったカゴから花びらを撒いて祝福してくれる。
ハロルドは人々の輪の中に立つと、フレイアの背中と膝裏に腕を回し、軽々と抱き上げた。
「ちょっと…!ハル?!」
驚いたフレイアがハロルドの首にしがみつく。
「やったね!これで…、やっと、完全に俺のものだ!!」
ハロルドが満面の笑みを、そして蕩けるような眼差しをフレイアに向ける。
「もう…!バカハル!」
少し唇を尖らせながらも、でもとても幸せそうな顔で笑う妹を、サイラスは目を細めて見守る。
二人を囲む輪は笑いに包まれ、誰もが幸せそうな領主夫妻に祝福の言葉を投げかけた。
ーー因みに、今フレイアのお腹の中にいる第一子は男の子である。
女の子である第二子が生まれるのはそのおよそニ年後。
このフレイアの第二子である長女フローラをサイラスは文字通り溺愛するようになるが…、もちろんこの時はまだ誰も知らない。
そしてこのフローラの花婿を巡る闘いが勃発するとかしないとか…と、それはまた、別のおはなし。
Happy Wedding!!
※ハロルドとフレイアの結婚式におつきあいいただきありがとうございました。
なんだかただのバカップルになってしまったような…。
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