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守りたいもの
やっと…
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「旦那様は馬鹿なんですか⁈こんな体で!」
クロードの変色した手首を見たアリスはわんわん泣き出した。
泣くやら怒るやら、本当に忙しい。
しかもこの怪我は、例の事件の折に落ちてきたアリスを受け止めた時に負ったものと知り、余計に涙が止まらなくなったのだ。
「だから言いたくなかったんだ…。貴女が気にするから…」
「当たり前でしょう⁈だってこんな腕で!私のせいで!」
「…見た目ほどは痛くないんですよ。だから試合だって出場したんだし」
「嘘ばっかり!」
アリスが変色した部分をペチンと叩くと、クロードは「痛てっ」と声を上げた。
「だって私、貴方の怪我なんて全然気がつかなくて…」
あの事件の後食事やお茶の時間で一緒に過ごすことも多かったが、クロードは手を庇うような姿を全く見せなかった。
「だから、それはバレないようにしてたから」
「そんな…、だって…。う…っ、ひっく…っ」
アリスがまたしゃくりあげて泣いている。
「頼むからもう泣かないでください。俺は貴女の涙を見る方が胸が痛いんだ」
クロードは眉尻を下げると、怪我をしていない方の腕でアリスの頭をそっと引き寄せた。
「…ごめんなさい、旦那様。怪我がなければ優勝できたのに…。ごめんなさい…」
「いや、ミハエルは強いから実力で優勝したんですよ。それに、来年は絶対に俺が優勝するから。だいたい何度も言っているけど、貴女のせいじゃないでしょう?貴女だって被害者なんだから」
「でも、あの時私があんなところから落ちなければ…」
「俺は嬉しかったですよ。貴女を受け止められたのが俺で」
アリスの頭の上に乗せられていたクロードの手が、優しく彼女の髪を撫でた。
(甘い…!砂を吐きそうだ!)
扉の外で入ろうかどうしようか躊躇していたフェリシーは、とうとうドアノブから手を外した。
ここは、アリスの部屋の前だ。
寝る前にクロードの腕の手当てをし直すとアリスが言うからフェリシーは簡易な医療用具を持って来たのだが、とにかく先ほどから入るに入れないのだ。
だって今入って行ったら、馬に蹴られて死んでしまう状況だ。
(今日は戻ろう。頑張って、お嬢様)
結局、フェリシーは箱だけ扉の前に置いて戻って行った。
ぐすぐすとクロードの胸の中で泣いていたアリスがようやく少し落ち着いてきた頃、クロードはぐいっと彼女の顔を覗き込んだ。
「いや、見ないで」
涙でぐちゃぐちゃの顔を見られたくなくて、アリスは余計にクロードの胸に顔を埋める。
「どうして?可愛いのに」
「可愛…っ⁈」
驚いた瞬間に顔を上げたアリスの頬を、クロードは両手で挟み込んだ。
「ほら、可愛い」
「な…っ!私は可愛くなんてないわ」
今まで美人とか綺麗とか言われてはきたが、可愛いなどと言われたことはない。
だいたい、女伯爵として多くの男性を従えている自分に可愛いなどという言葉は似合わないと思う。
しかしクロードは蕩けるような眼差しと笑顔で、これまた蕩けるような台詞を吐いた。
「可愛いですよ。泣いてても、怒ってても、もちろん笑ってても。貴女はいつも、本当に可愛い」
「貴方…、いつからそんなに口が上手くなったの?」
アリスが知っていた堅物で仏頂面の青年は一体どこへ行ってしまったのだろう。
「必死なんですよ。貴女に伝わって欲しくて」
「………もうっ」
トマトのように顔を真っ赤にしたアリスは、再びクロードの胸に顔を押し付けた。
「そのままでいいから聞いてください、アリス」
クロードがあやすような柔らかな声で囁いた。
「……なあに?」
「俺はずっと、あの初夜の晩に貴女に酷いことを言ったと後悔していました。傷つけたと…、ずっと謝りたいと思っていたのに、とうとう一年も経ってしまって…」
「そんなこと…。私だって酷い態度をとっていたから、お互い様だわ」
アリスはあの晩のことを思い出すと顔から火が出そうだ。
よくも、経験も無い自分があんな恥ずかしい誘い文句を吐いたものだと。
今ならわかる。
本当に好きな相手なら、あんな台詞は絶対に言えないと思う。
「だったら…、俺たち、やり直せますか?」
「……え……?」
アリスはクロードの胸から顔を上げた。
きょとんと、丸い目で彼を見上げる。
「これは、護衛騎士を解任されたからじゃない。その前からずっと考えていたんです。俺が本当に守りたいのは、いや、守るべき人は、王女様じゃなくて、アリス、貴女だって」
「それは…、どういう…」
「俺は近衛を辞めようと思います。俺は貴女を守りたい。貴女の護衛騎士になりたいんだ」
「…へ…?」
アリスは絶句したままクロードを見つめた。
だって騎士の仕事は、彼の夢だったはずなのに。
「好きです、アリス。俺は貴女が好きだ。だから、俺の本当の妻になって欲しい」
「本当の…?」
「ああ、本当の…」
『本当の妻』という意味を理解して、アリスは口元を綻ばせた。
「嬉しい…。好きよ、私も大好きよ、クロード」
クロードはそっとアリスから離れると、その前に跪いた。
「サンフォース伯爵であり、領主であり、事業主であるアリス。でもそれ以外の時間は、俺に独占させてください」
クロードは懐から小さな箱を取り出してアリスに差し出した。
訝しげに首を傾げるアリスの前で、その箱を開けて見せる。
それは、小さな石が付いた指輪だった。
石の色は美しい藍色だ。
クロードは指輪を箱から取り出すと、そっとアリスの細い指にはめた。
「綺麗…」
「…やっと、貴女にプレゼントができた」
「…やっと…?」
「実は避寒地で貴女に似合いそうな髪飾りを見つけたんだけど、王女に先に買われてしまって」
「王女様は自分で買われたの?」
「ん?ああ。何故か俺の視線の先にあるものをことごとく買っていたな」
「……そう」
アリスはホッと胸を撫で下ろした。
あれは、クロードが王女にプレゼントしたものじゃなかったのだ。
「クロード…」
アリスが両腕を広げ、クロードの首に回した。
クロードも固くアリスを抱きしめる。
「アリス…、愛してるよ…」
クロードは少しアリスを離すと、その唇に吸い寄せられるようにキスをした。
「ん…っ」
アリスがキュッとクロードの背中辺りを掴む。
その仕草がまた可愛くて、クロードは深く口づけた。
今までのキスとは違う、深く、互いを探り合うようなキスだ。
しばらくアリスの唇を堪能したクロードは、この後どうすべきなのか考えを巡らせた。
これ以上くっついていたら歯止めが効かなくなるのは必然だ。
しかし想いか通じ合ってすぐにがっつくのも男としてどうかと思う。
名残惜しくも唇を離せば、アリスはうっとりとクロードを見上げている。
(いいのか?このまま進んでも⁈)
両想いになったのだし元々夫婦なのだし、二人を隔てるものは何もない…はず。
(いざ、夫婦の寝室へ!)
やっとあの初夜のやり直しが出来るかと思った瞬間、クロードの目に、チラリと白いものが掠めた。
アリスの机の上に置いてある白い封筒だ。
こんな時にそんなものが気になるのもおかしな話だが、クロードは何故か気になった。
剣の才に恵まれているクロードは、やたらと動体視力も良いのだ。
「離縁…、申請…?」
クロードの変色した手首を見たアリスはわんわん泣き出した。
泣くやら怒るやら、本当に忙しい。
しかもこの怪我は、例の事件の折に落ちてきたアリスを受け止めた時に負ったものと知り、余計に涙が止まらなくなったのだ。
「だから言いたくなかったんだ…。貴女が気にするから…」
「当たり前でしょう⁈だってこんな腕で!私のせいで!」
「…見た目ほどは痛くないんですよ。だから試合だって出場したんだし」
「嘘ばっかり!」
アリスが変色した部分をペチンと叩くと、クロードは「痛てっ」と声を上げた。
「だって私、貴方の怪我なんて全然気がつかなくて…」
あの事件の後食事やお茶の時間で一緒に過ごすことも多かったが、クロードは手を庇うような姿を全く見せなかった。
「だから、それはバレないようにしてたから」
「そんな…、だって…。う…っ、ひっく…っ」
アリスがまたしゃくりあげて泣いている。
「頼むからもう泣かないでください。俺は貴女の涙を見る方が胸が痛いんだ」
クロードは眉尻を下げると、怪我をしていない方の腕でアリスの頭をそっと引き寄せた。
「…ごめんなさい、旦那様。怪我がなければ優勝できたのに…。ごめんなさい…」
「いや、ミハエルは強いから実力で優勝したんですよ。それに、来年は絶対に俺が優勝するから。だいたい何度も言っているけど、貴女のせいじゃないでしょう?貴女だって被害者なんだから」
「でも、あの時私があんなところから落ちなければ…」
「俺は嬉しかったですよ。貴女を受け止められたのが俺で」
アリスの頭の上に乗せられていたクロードの手が、優しく彼女の髪を撫でた。
(甘い…!砂を吐きそうだ!)
扉の外で入ろうかどうしようか躊躇していたフェリシーは、とうとうドアノブから手を外した。
ここは、アリスの部屋の前だ。
寝る前にクロードの腕の手当てをし直すとアリスが言うからフェリシーは簡易な医療用具を持って来たのだが、とにかく先ほどから入るに入れないのだ。
だって今入って行ったら、馬に蹴られて死んでしまう状況だ。
(今日は戻ろう。頑張って、お嬢様)
結局、フェリシーは箱だけ扉の前に置いて戻って行った。
ぐすぐすとクロードの胸の中で泣いていたアリスがようやく少し落ち着いてきた頃、クロードはぐいっと彼女の顔を覗き込んだ。
「いや、見ないで」
涙でぐちゃぐちゃの顔を見られたくなくて、アリスは余計にクロードの胸に顔を埋める。
「どうして?可愛いのに」
「可愛…っ⁈」
驚いた瞬間に顔を上げたアリスの頬を、クロードは両手で挟み込んだ。
「ほら、可愛い」
「な…っ!私は可愛くなんてないわ」
今まで美人とか綺麗とか言われてはきたが、可愛いなどと言われたことはない。
だいたい、女伯爵として多くの男性を従えている自分に可愛いなどという言葉は似合わないと思う。
しかしクロードは蕩けるような眼差しと笑顔で、これまた蕩けるような台詞を吐いた。
「可愛いですよ。泣いてても、怒ってても、もちろん笑ってても。貴女はいつも、本当に可愛い」
「貴方…、いつからそんなに口が上手くなったの?」
アリスが知っていた堅物で仏頂面の青年は一体どこへ行ってしまったのだろう。
「必死なんですよ。貴女に伝わって欲しくて」
「………もうっ」
トマトのように顔を真っ赤にしたアリスは、再びクロードの胸に顔を押し付けた。
「そのままでいいから聞いてください、アリス」
クロードがあやすような柔らかな声で囁いた。
「……なあに?」
「俺はずっと、あの初夜の晩に貴女に酷いことを言ったと後悔していました。傷つけたと…、ずっと謝りたいと思っていたのに、とうとう一年も経ってしまって…」
「そんなこと…。私だって酷い態度をとっていたから、お互い様だわ」
アリスはあの晩のことを思い出すと顔から火が出そうだ。
よくも、経験も無い自分があんな恥ずかしい誘い文句を吐いたものだと。
今ならわかる。
本当に好きな相手なら、あんな台詞は絶対に言えないと思う。
「だったら…、俺たち、やり直せますか?」
「……え……?」
アリスはクロードの胸から顔を上げた。
きょとんと、丸い目で彼を見上げる。
「これは、護衛騎士を解任されたからじゃない。その前からずっと考えていたんです。俺が本当に守りたいのは、いや、守るべき人は、王女様じゃなくて、アリス、貴女だって」
「それは…、どういう…」
「俺は近衛を辞めようと思います。俺は貴女を守りたい。貴女の護衛騎士になりたいんだ」
「…へ…?」
アリスは絶句したままクロードを見つめた。
だって騎士の仕事は、彼の夢だったはずなのに。
「好きです、アリス。俺は貴女が好きだ。だから、俺の本当の妻になって欲しい」
「本当の…?」
「ああ、本当の…」
『本当の妻』という意味を理解して、アリスは口元を綻ばせた。
「嬉しい…。好きよ、私も大好きよ、クロード」
クロードはそっとアリスから離れると、その前に跪いた。
「サンフォース伯爵であり、領主であり、事業主であるアリス。でもそれ以外の時間は、俺に独占させてください」
クロードは懐から小さな箱を取り出してアリスに差し出した。
訝しげに首を傾げるアリスの前で、その箱を開けて見せる。
それは、小さな石が付いた指輪だった。
石の色は美しい藍色だ。
クロードは指輪を箱から取り出すと、そっとアリスの細い指にはめた。
「綺麗…」
「…やっと、貴女にプレゼントができた」
「…やっと…?」
「実は避寒地で貴女に似合いそうな髪飾りを見つけたんだけど、王女に先に買われてしまって」
「王女様は自分で買われたの?」
「ん?ああ。何故か俺の視線の先にあるものをことごとく買っていたな」
「……そう」
アリスはホッと胸を撫で下ろした。
あれは、クロードが王女にプレゼントしたものじゃなかったのだ。
「クロード…」
アリスが両腕を広げ、クロードの首に回した。
クロードも固くアリスを抱きしめる。
「アリス…、愛してるよ…」
クロードは少しアリスを離すと、その唇に吸い寄せられるようにキスをした。
「ん…っ」
アリスがキュッとクロードの背中辺りを掴む。
その仕草がまた可愛くて、クロードは深く口づけた。
今までのキスとは違う、深く、互いを探り合うようなキスだ。
しばらくアリスの唇を堪能したクロードは、この後どうすべきなのか考えを巡らせた。
これ以上くっついていたら歯止めが効かなくなるのは必然だ。
しかし想いか通じ合ってすぐにがっつくのも男としてどうかと思う。
名残惜しくも唇を離せば、アリスはうっとりとクロードを見上げている。
(いいのか?このまま進んでも⁈)
両想いになったのだし元々夫婦なのだし、二人を隔てるものは何もない…はず。
(いざ、夫婦の寝室へ!)
やっとあの初夜のやり直しが出来るかと思った瞬間、クロードの目に、チラリと白いものが掠めた。
アリスの机の上に置いてある白い封筒だ。
こんな時にそんなものが気になるのもおかしな話だが、クロードは何故か気になった。
剣の才に恵まれているクロードは、やたらと動体視力も良いのだ。
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