英語どころか標準語さえちょうろくじゃない私が異国に住んでしまった件

病院にかかるのも一苦労です。

相変わらず私の英語は上達しませんでしたが、海外生活は順調に過ぎていきました。
標準語はもちろん頑張ってますよ。
語尾まで気を張って、丁寧に話しています。

さて、会社から言われている駐在の期限は二年間です。
私たち夫婦はその間、たくさんのものを見てたくさん遊ぼうと決めていました。
元々貯金なんてありませんでしたが、借金しない程度に給料全部使い切ってもたくさん旅行しようと話していました。
だって、きっとこんな機会は二度とありませんから。
私は海外行きをあんなに渋っていたことも忘れて、毎週のように外出の計画を立てていました。
夫は困らない程度に英語が話せたので、彼が一緒にいれば困ることはありませんでした。
夫がいない平日昼間に買い物に行く時も、カードの使い方とお金の数え方さえわかれば特に困りません。
心配だった美容院も、日本人の美容師さんを紹介してもらうことができました。
私はお洒落じゃないのであまりこだわりはなかったのですが、それでも言葉が通じる方に髪を切っていただけるのはとても安心感がありました。
とても素敵な方で、格好良く切っていただきました。
美容院に行く間は日本人のお友達と交代にお互いの子どもを見ていたので、四六時中息子とベッタリだった私には少し新鮮な時間でしたね。

一方夫の方は、理髪店に行ったのですが気に入らなかったようなんです。
夫の髪は日本人の中でも量が多くて剛毛な方だと思うので、柔らかな髪に慣れている理髪師さんにとっても難しかったのかもしれませんね。
そこで夫は、なんと私に切れと言い出したのです。
私は自慢じゃありませんが超絶不器用で美的センス皆無の人間です。
息子の髪だって夫に切ってもらってたくらいですから。
当然「絶対イヤ！」と逃げ回ったのですが、結局はやらされてしまいました。
多分すごく変だったけど、仕方ないですよね？私のせいじゃないです。
結局帰国するまで何度も切らされましたが、もう二度とやりたくないですね。

美容院はそういうわけで大丈夫だったのですが、すごく困ったのは病院に行かなければならなくなった時のことです。
絶対にお医者さんと話さなければなりませんもん。
あらかじめ夫に休んでついてきてもらえば安心ですが、そうそう簡単に仕事を休ませるわけにもいきません。
それに、特に子供は朝元気でも急に熱を出したりもします。
幸い息子は丈夫な子でしたが、それでも一度、どうしても夫無しで病院にかからなくちゃならない状態のことがありました。
その時は、行く前に話したいことを全部紙に書いて持って行きました。
辞書で調べて、熱が何度あるとか、食欲がないとか、いつからこの状態だとか。
書いて行ったことと違うことを聞かれたらもうOUTですから、思いつくもの全部書いて行きましたよ。
熱も、当然日本から持って行った体温計で計りましたが、日本の℃と違ってアメリカは℉なんですよね。
だから、計算し直して書きました。
今ならスマホですぐ調べたりできるんでしょうが、何せ携帯電話さえ持っていなかったので、全部英和辞書と、渡米マニュアル本（？）みたいなもので調べました。
どの程度お医者さんに伝わったか謎ですが、お医者さんも診断を紙に書いてくれましたよ。
健康で病院にかからないことがまずは大事だなぁと思うのと同時に、息子が丈夫であることをつくづくありがたく思いました。