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どこまで停電なのかわかりません。
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私たちが住んでいた州は四季があり、冬はそれなりに寒い地域でした。
雪が降り積もることもあったのですが、日本ではわりと暖かい地域に住んでいた私にとっては雪かきが一苦労でした。
公道は除雪機が通ってくれますが、それ以外は自分で除雪しなければなりません。
家の前の歩道は敷地と見なすらしく、歩道を除雪しないせいで歩いている人が転んで怪我をしたら、責任を負わなくてはならないそうなんです。
嘘かホントか訴訟されたりするとも聞かされて、私は必死で雪かきしました。
家はアメリカでは一般的な一戸建てを借りていたのですが、多分敷地は300坪以上あったと思います。
うちは角地だったので、やたらと歩道も長かったんですよ。
それに、ガレージから公道までの距離もかなりあったので、車を出すために除雪しなければなりませんでした。
息子が寝ている合間にスコップを振るう毎日でしたが、それも期限付きだったからいい思い出として話せるんですよね。
雪国に暮らしている方、本当に頭が下がります。
そんなわけで結構寒い地域に住んでいたのですが、ある昼間のこと、家の電気が止まっていることに気づきました。
寒いな、と思ったら暖房が止まっていたのです。
家はセントラルヒーティングになっていて、スイッチ一つで全部の部屋が温まるようになっています。
オール電化だからもちろん家中の電気が止まっていたのですが、昼間だから照明もつけておらず、寒くなるまで停電に気づかなかったのです。
懐中電灯を持って地下室にあるブレイカーを上げに行こうと思ったのですが、息子が泣くため、仕方なく片手で息子を抱いて、地下室に降りました。
今思うと危ないですよね。
でも、ブレイカーを上げても電気はつきませんでした。
さて、どうしましょうか。
当時はすでに携帯電話が普及していましたが、私は持っていなかったので唯一頼りになる夫に連絡できません。
電気が通っていないので固定電話も通じません。
ガレージのシャッターも電動なので、車で外出することもできません。
巨大な住宅街の中なので、一番近い店へ行くにも何Kmも歩かなくてはなりません。
オール電化なのでお湯を沸かすことさえできません。
私は外に出てみました。
この停電が自分の家だけなのか、他のお宅もなのかわからなかったからです。
でも、これが夜なら灯りの有無でわかったでしょうが、昼間だったため結局わかりませんでした。
そして、ここでも私の英語力の無さが災いしました。
言葉さえ出来たら近所の方にたずねることも出来たでしょうに、私はどうたずねていいかさえわからなかったのです。
結局、私は息子と二人、厚着をして毛布にくるまることしか出来ませんでした。
わけもわからず寒い思いをしている息子が可哀想です。
あと何時間かかるかわかりませんが、夫が帰ってくるまで待つしかないと思ったのです。
どのくらい経ったでしょうか。
玄関のチャイムが鳴りました。
出てみると、訪ねてきたのは日本人会の中で一番近くに住んでいるご夫婦でした。
ご夫婦の話ではこの地域全体が停電になっていて、もうしばらく待てば復旧するとのことです。
私がわけもわからず不安になっていると思って、駆けつけてくれたそうなのです。
そちらの奥様は携帯電話を持っていて、停電になってすぐ仕事中のご主人に連絡しました。
ご主人はすぐに帰宅して周囲と連絡を取り、地域全体の停電を知ったそうです。
そして、すぐにうちに駆けつけてくれたのです。
有り難くて、泣きそうになりました。
その後間もなく電気が復旧し、ご主人が連絡をとってくれたので夫も早めに帰ってきました。
自分の不甲斐なさを思い知った出来事でもありましたが、人の心のあたたかさを知った出来事でもありました。
雪が降り積もることもあったのですが、日本ではわりと暖かい地域に住んでいた私にとっては雪かきが一苦労でした。
公道は除雪機が通ってくれますが、それ以外は自分で除雪しなければなりません。
家の前の歩道は敷地と見なすらしく、歩道を除雪しないせいで歩いている人が転んで怪我をしたら、責任を負わなくてはならないそうなんです。
嘘かホントか訴訟されたりするとも聞かされて、私は必死で雪かきしました。
家はアメリカでは一般的な一戸建てを借りていたのですが、多分敷地は300坪以上あったと思います。
うちは角地だったので、やたらと歩道も長かったんですよ。
それに、ガレージから公道までの距離もかなりあったので、車を出すために除雪しなければなりませんでした。
息子が寝ている合間にスコップを振るう毎日でしたが、それも期限付きだったからいい思い出として話せるんですよね。
雪国に暮らしている方、本当に頭が下がります。
そんなわけで結構寒い地域に住んでいたのですが、ある昼間のこと、家の電気が止まっていることに気づきました。
寒いな、と思ったら暖房が止まっていたのです。
家はセントラルヒーティングになっていて、スイッチ一つで全部の部屋が温まるようになっています。
オール電化だからもちろん家中の電気が止まっていたのですが、昼間だから照明もつけておらず、寒くなるまで停電に気づかなかったのです。
懐中電灯を持って地下室にあるブレイカーを上げに行こうと思ったのですが、息子が泣くため、仕方なく片手で息子を抱いて、地下室に降りました。
今思うと危ないですよね。
でも、ブレイカーを上げても電気はつきませんでした。
さて、どうしましょうか。
当時はすでに携帯電話が普及していましたが、私は持っていなかったので唯一頼りになる夫に連絡できません。
電気が通っていないので固定電話も通じません。
ガレージのシャッターも電動なので、車で外出することもできません。
巨大な住宅街の中なので、一番近い店へ行くにも何Kmも歩かなくてはなりません。
オール電化なのでお湯を沸かすことさえできません。
私は外に出てみました。
この停電が自分の家だけなのか、他のお宅もなのかわからなかったからです。
でも、これが夜なら灯りの有無でわかったでしょうが、昼間だったため結局わかりませんでした。
そして、ここでも私の英語力の無さが災いしました。
言葉さえ出来たら近所の方にたずねることも出来たでしょうに、私はどうたずねていいかさえわからなかったのです。
結局、私は息子と二人、厚着をして毛布にくるまることしか出来ませんでした。
わけもわからず寒い思いをしている息子が可哀想です。
あと何時間かかるかわかりませんが、夫が帰ってくるまで待つしかないと思ったのです。
どのくらい経ったでしょうか。
玄関のチャイムが鳴りました。
出てみると、訪ねてきたのは日本人会の中で一番近くに住んでいるご夫婦でした。
ご夫婦の話ではこの地域全体が停電になっていて、もうしばらく待てば復旧するとのことです。
私がわけもわからず不安になっていると思って、駆けつけてくれたそうなのです。
そちらの奥様は携帯電話を持っていて、停電になってすぐ仕事中のご主人に連絡しました。
ご主人はすぐに帰宅して周囲と連絡を取り、地域全体の停電を知ったそうです。
そして、すぐにうちに駆けつけてくれたのです。
有り難くて、泣きそうになりました。
その後間もなく電気が復旧し、ご主人が連絡をとってくれたので夫も早めに帰ってきました。
自分の不甲斐なさを思い知った出来事でもありましたが、人の心のあたたかさを知った出来事でもありました。
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