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宿場町はアンビリーバボー2
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スイートルームは空室ではない。
それは受付の時に確認済みだ。みんなが私をこの部屋に泊めようとして、運良く先客有りだった。おかげで私はボッチを逃れた。
「どうやらオカルト的な物じゃなかったみたいだね」
これで怖がるマリッカも安心するだろうし、私もぐっすり眠れるね。
「戻ろっかーー」
ペトロネラとロルフに言った時、ペトロネラに腕をグイッと引かれ、そのまま背後に押しやられる。
ガガッ! ドカッ、ドザザッ!
何かがぶつかり合う鈍い音。
暗いのと、ペトロネラの背中で私には何も見えない。
でも、これはーーーー。
ロルフが誰かと戦っているんだ。
(何? 戦うって誰と? 盗賊とか?)
驚きの方が大きいからか、自分の目で見えていないからか、頭は冷静だ。
ロルフが戦っているなら、私が取り乱して、叫んではいけない。
ガガッ!!
鈍い音が止まって、少しの静寂。
その後、低い知らない男の声がした。
「やるな」
「そちらも」
ロルフの受け答えを聞いて、私はペトロネラの背中からヒョイと覗いて見た。
ちょうど雲の隙間から月が出て、窓から月明かりが入る。
月明かりに照らされて見えた顔は、全く知らない男だ。
ガッシリした体格や堂々とした態度。騎士や傭兵のような、戦いを生業にしている人だろう。
その人と目が合ってしまった。
目を反らすのもおかしいし、とりあえず刺激しないようにニコリと笑っておく。
「お前達は……見たところ、賊や過激派ではないな。どこの者だ」
男の問いは私に向けられた物だ。今もバッチリと目が合ったままなのだから。
こんなにジッと見られていたら目を反らしたくなるよ。頑張るけど。
警戒しているロルフとペトロネラを片手をあげて下がらせた。
たぶんこの人は、スイートルームにいる人の護衛だ。怪しいと判断した私達を警戒するのは当たり前。だけど、いきなり襲いかかるのはどうかと思う。
「どこの者も何も、王都に行く途中の、ただの観光客ですが」
「なぜこんな時間に彷徨いている」
「シクシクシク泣き声が響いて、安眠妨害もいいところ。苦情の一つも言いたくなって当たり前じゃない? それなのに、いきなり襲いかかるとか、理解に苦しむわ」
このスイートルームに泊まっている人が、どんな身分なのか知らないけど、人の安眠を妨害しておいて、この態度ってね。さすがに抗議していいでしょう。
「ここは宿でしょう? 夜中に宿泊客が、宿の廊下を歩いたら駄目なの? 誰かに迷惑かけたかな? むしろ迷惑かけてるのって、そちらでしょうに」
久しぶりにイライラする。やっぱり睡眠って大事だな。
「……悪かった。少し神経質になっていたようだ」
男が頭をかきながら謝った。
意外だな。もっと血気盛んに噛みついて来ると思ったのに。だからって、そうだったのねアハハで済まさないけどね。
マリッカの安眠を妨害した罪は重いのだ。
知らないうちに私の頬はプクリと膨らんでいたようで、ロルフに頬をつつかれた。
ロルフが軽く肩をすくめる。
分かったよ。許しますよ……。
私は大袈裟にため息をついた。
「もういいよ。ロルフ、ペトロネラ、戻って寝るよ」
「「はい」」
プイッと男を見ないようにして、私達の部屋に戻ろうとした。
ガチャリ。
スイートルームの扉が開いた。
「どうしました? マシュー」
長い金髪の少女だった。
この世界に来て様々な髪色があることを知ったけど、ここまで混じりッけなしの金髪は初めて見た。
マルファンは茶色系のオンパレードだからね。王都はもっとカラフルらしいから、金髪も普通に多いのかもしれない。
このマシューとかいう男は茶色だけど。
なかなか可愛いらしい少女だった。まだ高校生くらいだと思う。綺麗な緑の瞳の目の回りが赤く腫れぼったいのは泣いていたからだろう。
泣いて可哀想? いやいや、それとこれとは話は別だ。
「どうかしましたよ。その男が急に襲いかかって来たんです。
……それから夜間は音が響きますので、お静かに」
少女はハッとして両手で口を押さえる。
顔が赤くなっているところを見ると、言いたいことは伝わったみたいだ。
「まぁ! 大変失礼をいたしました! お詫びいたします」
おそらく身分の高い少女だと思う。
高級宿の方ではなく、身を隠すようにこの宿に宿泊しているのは、身分を知られたくないのだろう。
別に詮索するつもりはないけどね。
ただ、素直に謝るところは好感度高い。
「いえ、分かっていただけたらそれで十分です。では、私はこれで失礼します。もう寝ますので」
「あ……すみません。静かにしますので、ゆっくりお休みください。
マシュー、送って差し上げて」
「いえ、結構です。貴方の護衛が貴方から離れるなんて、あってはいけないことです。
……おやすみなさい」
少女がどんなご令嬢であっても、名前も名乗ってないし、お忍びだろうし、キッパリ断っても問題ないはず。
だいいち、このマシューとかいう男に、私達の泊まっている部屋を知られるのも嫌だし。
結局少し寝不足で朝を迎えた。
朝食の時、金髪のお嬢様と護衛のマシューが食堂にやって来た。よほど顔が知れている人なのか、二人共フードをしっかり被って顔を隠している。
二人は私に気が付くと、近付いて来る。顔を隠しているのに、10人の団体客に近付くなんて、世間知らずなのかチャレンジャーなのか……。
「おはようございます」
少女の挨拶に、昨夜の出来事を知っているみんなは軽く頭を下げる程度。思い切り当事者だった私まで同じ対応をするわけにもいかず、無難におはようございますと返した。
「昨夜は申し訳ございません。その後、よく眠れましたか?」
「そこそこです」
我ながら素っ気なかったかなと思って、慌ててニコリと笑顔を付けると、お嬢様も少しだけ微笑んだ。
「………………」
「………………」
いやいや、気まずい。
早く朝食食べに行けばいいのに……。
こういう時、護衛のマシューが話を切り上げるべきなのに、ロルフと雑談なんてしている。
昨夜ガツガツやり合った二人なのに、こんなにわだかまりがないなんて……男って分からないな。
その気まずい沈黙を破ったのは、意外にもマリッカだった。
「あ、あの……昨日は……どうして泣いてたんですか」
「マリッカ……」
私は深入りするつもりはない。
人差し指を口に付けてシィッとすると、マリッカは慌てて両手で口を覆った。
「マイカさん」
マシューと話していたロルフが、熟女キラーの笑顔を振り撒きながら、私のところへ来た。
「昨夜はいざこざがありましたが、彼らは悪い人物ではないようです。話だけでも聞いてあげてくれませんか?」
「え……」
メイド達がウズウズしている。
護衛一人を連れてお忍びで出かけるご令嬢。しかも夜中シクシク泣いていた……なんて女子の好奇心擽りまくりだもんね。
うう……聞くつもりはないのに、聞いた方がいいんだろうな。
「…………何があったんですか?」
「はい。実は…………身内が病気で、珍しい薬が必要なんです。マルファンの商会が買い付けたという話を聞いて、藁にもすがる思いで行ってみたのですが……すでに品切れで……悲しくて悲しくて」
肩を落とすお嬢様に、マシューがグッと拳を握りしめる。
「お嬢様、あきらめてはいけません!
薬が品切れなら、自ら狩ってくればいいんです! 珍しい獣でも、国中の森を探せば、きっと! まさか一匹もいないなんてことはないでしょう。
やれることをすべてやって、あきらめるのも、泣くのも、その後にしましょう!!」
「…………そうね」
ん? 森で狩る? 珍しい獣?
なんだかおかしな事を言っているな、マシュー。薬って、薬草とかじゃないの?
「ええと、つかぬことをお聞きしますが……。その薬って何?」
「それは……。
非常に狂暴で、個体数も少なく、今や幻の珍獣と呼ばれるーーーー」
マシューの説明に、お嬢様の表情が沈んでいく。
「黒大熊の肝です」
沈黙が流れた。
みんなの顔を見ると表情が暗い。
え? なんで? なんでそんなに絶望感漂ってるの?
黒大熊の肝ならーーーー。
「私、それ持ってるんだけど」
全員の顔が一斉に私を見た。
ちょっと怖いな。
「「「「えええ~~~~っ!!??」」」」
全員の声が食堂中に響き渡った。
それは受付の時に確認済みだ。みんなが私をこの部屋に泊めようとして、運良く先客有りだった。おかげで私はボッチを逃れた。
「どうやらオカルト的な物じゃなかったみたいだね」
これで怖がるマリッカも安心するだろうし、私もぐっすり眠れるね。
「戻ろっかーー」
ペトロネラとロルフに言った時、ペトロネラに腕をグイッと引かれ、そのまま背後に押しやられる。
ガガッ! ドカッ、ドザザッ!
何かがぶつかり合う鈍い音。
暗いのと、ペトロネラの背中で私には何も見えない。
でも、これはーーーー。
ロルフが誰かと戦っているんだ。
(何? 戦うって誰と? 盗賊とか?)
驚きの方が大きいからか、自分の目で見えていないからか、頭は冷静だ。
ロルフが戦っているなら、私が取り乱して、叫んではいけない。
ガガッ!!
鈍い音が止まって、少しの静寂。
その後、低い知らない男の声がした。
「やるな」
「そちらも」
ロルフの受け答えを聞いて、私はペトロネラの背中からヒョイと覗いて見た。
ちょうど雲の隙間から月が出て、窓から月明かりが入る。
月明かりに照らされて見えた顔は、全く知らない男だ。
ガッシリした体格や堂々とした態度。騎士や傭兵のような、戦いを生業にしている人だろう。
その人と目が合ってしまった。
目を反らすのもおかしいし、とりあえず刺激しないようにニコリと笑っておく。
「お前達は……見たところ、賊や過激派ではないな。どこの者だ」
男の問いは私に向けられた物だ。今もバッチリと目が合ったままなのだから。
こんなにジッと見られていたら目を反らしたくなるよ。頑張るけど。
警戒しているロルフとペトロネラを片手をあげて下がらせた。
たぶんこの人は、スイートルームにいる人の護衛だ。怪しいと判断した私達を警戒するのは当たり前。だけど、いきなり襲いかかるのはどうかと思う。
「どこの者も何も、王都に行く途中の、ただの観光客ですが」
「なぜこんな時間に彷徨いている」
「シクシクシク泣き声が響いて、安眠妨害もいいところ。苦情の一つも言いたくなって当たり前じゃない? それなのに、いきなり襲いかかるとか、理解に苦しむわ」
このスイートルームに泊まっている人が、どんな身分なのか知らないけど、人の安眠を妨害しておいて、この態度ってね。さすがに抗議していいでしょう。
「ここは宿でしょう? 夜中に宿泊客が、宿の廊下を歩いたら駄目なの? 誰かに迷惑かけたかな? むしろ迷惑かけてるのって、そちらでしょうに」
久しぶりにイライラする。やっぱり睡眠って大事だな。
「……悪かった。少し神経質になっていたようだ」
男が頭をかきながら謝った。
意外だな。もっと血気盛んに噛みついて来ると思ったのに。だからって、そうだったのねアハハで済まさないけどね。
マリッカの安眠を妨害した罪は重いのだ。
知らないうちに私の頬はプクリと膨らんでいたようで、ロルフに頬をつつかれた。
ロルフが軽く肩をすくめる。
分かったよ。許しますよ……。
私は大袈裟にため息をついた。
「もういいよ。ロルフ、ペトロネラ、戻って寝るよ」
「「はい」」
プイッと男を見ないようにして、私達の部屋に戻ろうとした。
ガチャリ。
スイートルームの扉が開いた。
「どうしました? マシュー」
長い金髪の少女だった。
この世界に来て様々な髪色があることを知ったけど、ここまで混じりッけなしの金髪は初めて見た。
マルファンは茶色系のオンパレードだからね。王都はもっとカラフルらしいから、金髪も普通に多いのかもしれない。
このマシューとかいう男は茶色だけど。
なかなか可愛いらしい少女だった。まだ高校生くらいだと思う。綺麗な緑の瞳の目の回りが赤く腫れぼったいのは泣いていたからだろう。
泣いて可哀想? いやいや、それとこれとは話は別だ。
「どうかしましたよ。その男が急に襲いかかって来たんです。
……それから夜間は音が響きますので、お静かに」
少女はハッとして両手で口を押さえる。
顔が赤くなっているところを見ると、言いたいことは伝わったみたいだ。
「まぁ! 大変失礼をいたしました! お詫びいたします」
おそらく身分の高い少女だと思う。
高級宿の方ではなく、身を隠すようにこの宿に宿泊しているのは、身分を知られたくないのだろう。
別に詮索するつもりはないけどね。
ただ、素直に謝るところは好感度高い。
「いえ、分かっていただけたらそれで十分です。では、私はこれで失礼します。もう寝ますので」
「あ……すみません。静かにしますので、ゆっくりお休みください。
マシュー、送って差し上げて」
「いえ、結構です。貴方の護衛が貴方から離れるなんて、あってはいけないことです。
……おやすみなさい」
少女がどんなご令嬢であっても、名前も名乗ってないし、お忍びだろうし、キッパリ断っても問題ないはず。
だいいち、このマシューとかいう男に、私達の泊まっている部屋を知られるのも嫌だし。
結局少し寝不足で朝を迎えた。
朝食の時、金髪のお嬢様と護衛のマシューが食堂にやって来た。よほど顔が知れている人なのか、二人共フードをしっかり被って顔を隠している。
二人は私に気が付くと、近付いて来る。顔を隠しているのに、10人の団体客に近付くなんて、世間知らずなのかチャレンジャーなのか……。
「おはようございます」
少女の挨拶に、昨夜の出来事を知っているみんなは軽く頭を下げる程度。思い切り当事者だった私まで同じ対応をするわけにもいかず、無難におはようございますと返した。
「昨夜は申し訳ございません。その後、よく眠れましたか?」
「そこそこです」
我ながら素っ気なかったかなと思って、慌ててニコリと笑顔を付けると、お嬢様も少しだけ微笑んだ。
「………………」
「………………」
いやいや、気まずい。
早く朝食食べに行けばいいのに……。
こういう時、護衛のマシューが話を切り上げるべきなのに、ロルフと雑談なんてしている。
昨夜ガツガツやり合った二人なのに、こんなにわだかまりがないなんて……男って分からないな。
その気まずい沈黙を破ったのは、意外にもマリッカだった。
「あ、あの……昨日は……どうして泣いてたんですか」
「マリッカ……」
私は深入りするつもりはない。
人差し指を口に付けてシィッとすると、マリッカは慌てて両手で口を覆った。
「マイカさん」
マシューと話していたロルフが、熟女キラーの笑顔を振り撒きながら、私のところへ来た。
「昨夜はいざこざがありましたが、彼らは悪い人物ではないようです。話だけでも聞いてあげてくれませんか?」
「え……」
メイド達がウズウズしている。
護衛一人を連れてお忍びで出かけるご令嬢。しかも夜中シクシク泣いていた……なんて女子の好奇心擽りまくりだもんね。
うう……聞くつもりはないのに、聞いた方がいいんだろうな。
「…………何があったんですか?」
「はい。実は…………身内が病気で、珍しい薬が必要なんです。マルファンの商会が買い付けたという話を聞いて、藁にもすがる思いで行ってみたのですが……すでに品切れで……悲しくて悲しくて」
肩を落とすお嬢様に、マシューがグッと拳を握りしめる。
「お嬢様、あきらめてはいけません!
薬が品切れなら、自ら狩ってくればいいんです! 珍しい獣でも、国中の森を探せば、きっと! まさか一匹もいないなんてことはないでしょう。
やれることをすべてやって、あきらめるのも、泣くのも、その後にしましょう!!」
「…………そうね」
ん? 森で狩る? 珍しい獣?
なんだかおかしな事を言っているな、マシュー。薬って、薬草とかじゃないの?
「ええと、つかぬことをお聞きしますが……。その薬って何?」
「それは……。
非常に狂暴で、個体数も少なく、今や幻の珍獣と呼ばれるーーーー」
マシューの説明に、お嬢様の表情が沈んでいく。
「黒大熊の肝です」
沈黙が流れた。
みんなの顔を見ると表情が暗い。
え? なんで? なんでそんなに絶望感漂ってるの?
黒大熊の肝ならーーーー。
「私、それ持ってるんだけど」
全員の顔が一斉に私を見た。
ちょっと怖いな。
「「「「えええ~~~~っ!!??」」」」
全員の声が食堂中に響き渡った。
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