鑑定や亜空間倉庫がチートと言われてるけど、それだけで異世界は生きていけるのか

はがき

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第六章

過ぎた力の処遇

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ケツアルとの会談からまた日にちが開く。

早いもので、俺がこの異世界に来てからもう3年が過ぎようとしている。

俺も24、モーラは26だ。メイ?どうでもいいだろう、どうせ千年生きるのだ。
システィーナは出会った時は9歳だったが、誕生日がすぐだったからか、今では11歳だ。
まだまだ抱けるほどの年ではないが、すでにアリサと身長は一緒、胸はアリサを追い抜いてCもある。この世界の巨乳になりやすい遺伝子を持っているからだろう。
むしろ、アリサは転生なのだから、その遺伝子を持ってるはずなのに・・・・・・。

だが、今ではアリサも日本基準の巨乳の仲間入りだ。何故?妊娠6ヶ月だからだ。
妊娠初期の辛い時期を乗り越え、今は巨乳、巨乳と喜んでいる。

半年も経てば、当然もう龍神王の件はカタがついている。

いや、ついてない・・・・・・。



当然龍の居城ドラゴンパレスには行った。だが、何か強力な結界が張られていて、入ることが出来なかった。
仕方なしに手を付けてない雑務をこなした。

まずはフリーポートに挨拶に行き、ビューゼルドにモーラが引導を渡した。
ビューゼルドは泣きながら俺に斬りかかってきたが、俺は軽くいなしてやった。流石にリモアなしでもこの程度は出来るようになった。

次に偽女神の件を片付けた。
これはリモアが任せてくれと言うので任せた。
2人きりで部屋に閉じこもり、30分もしないうちに、リモアは銀色に輝く金属製の表裏表紙の30cmぐらいの本を持って、一人で部屋から出てきた。
これが魔導書グリモアだと言う。召喚のグリモアだ。
誰も召喚するつもりはないので、俺は亜空間倉庫に保管した。

次にエルダイトだ。
エルダイトは治世者が不在のままだ。
これを早急に解決しなければならない。
旧王族のエリックたちの処刑の時に、俺は1人の男に目をつけていた。それはまだ11歳の男の子で、エルダイトのエリック王の弟だ。そいつは憎しみの業火を瞳に宿し、俺を睨んでいた。

「そいつ、こっちに連れてきてくれ」
「はっ」

サザーランドに頼み、そいつと話をする。

「名前は?」
「貴様に名乗る名はない」
「ならちょうどいいな、お前は今日からエリクソンだ」
「・・・・・・は?」

男の子は素っ頓狂な声を出した。

俺はエルダイトにいる、今一番階級が高い貴族、ガニメデ子爵を呼ぶ。

「ガニメデ子爵、こいつを王として国を立て直せ」
「・・・よろしいので?」
「お前はエルダイトの上層部を捕縛することを先陣を切ってやった。それの褒美だ」
「・・・・・・ヨシト様の言いたいことはわかります。幼い王を支えて国を立て直せと。ですが、私はそんな出来た人族ではありませんよ?」

俺は軽く笑う。

「好きにしろよ。星が怖くないなら何してもいいぞ」
「・・・・・・ケイノスの属国になれと?」
「違う。別に俺はケイノスの所属じゃない。それに敗戦国ならそれが当たり前だ。そうならないように言ってるんだよ」
「ケイノスが許すはずありません」
「それは俺が抑える」
「・・・私腹を肥やしますよ?」

俺は笑ったままガニメデ子爵に言う。

「いくらでも肥やせ。ただ、民を裕福にすることと人族至上主義を廃止しろ。あとは好きにしたらいい。あまりに酷ければ星が降るだけだ」
「なんで助ける?」

エリクソンと命名した子供が俺に食ってかかる。

「助けてねーよ。面倒だからだ」
「俺はお前に復讐するぞ!」
「したければしろ。だけど覚えとけ。因果応報、人に向ける気持ち、行動は必ず自分に返ってくる。あとは自分で考えろ」
「ならお前もだな!」

俺は笑って答える。

「もちろんだ」

俺が立ち去ろうとすると、

「ヨシト様」

俺は振り返る。

「なんだ、ガニメデ子爵」
「私はヨシト様に忠誠を誓います」
「そんなのいらねーよ」
「そのうちわかります」
「は?」

ガニメデ子爵は何かを含んでそう言った。だが、顔はいやらしい笑いではなかった。







次にフェイダーに行き、事の顛末の説明をした。ところが雲行きが怪しくなる。
なんとフェイダー共和国は3つの国に分裂するようだ。
1つはフェル王国、1つはアース国、もう一つは少数派なようだ。
何故分裂したかと言うと、アース国は、聖龍教信者主体の国で、《自然と共に》と言うのを掲げ、俗世と関わらずに生きていくと言う。
少数派のエルフたちは、アース国みたいなものはないが、フェル王国ともアース国にも属したくないと言う者たちが、フェイダーの周りの少数民族たちと共存して暮らしていくそうだ。

問題はフェル王国だ。
フェル王国、メイの家族や聖龍教のガラテア、現国王などが居る国だが、フェル王国からの提案により、大陸を一つの国としてまとめたいと言う。そして各国は都市として残し、種族の分け隔てなく暮らしたいと言う。

「それ、意味ある?」
「あります。第一に戦争がなくなります」
「どうせ都市間でするんじゃねーの?」
「王家が巨大な力を持てば、それは不可能です」

俺の問いかけに、ガラテアが答える。現国王もこの場にいる。

「そんな巨大な王家があったら、ただの独裁政治だろ」

ガラテアはにまりとした。

「それがそうならない王家があるのです。誰も太刀打ち出来ない力を持ち、政治が嫌いで権力にも興味がなく、そして有事の際には民を助けるほど心優しい。更に全ての種族の架け橋もしております。完璧な人材でしょう」
「そんなスーパー・・・」

ガラテアはニコニコしている。
俺は嫌な予感がする。
ガラテアは更に話を進める。

「通常ですと、そうなると王に取り入るような輩が湧くものですが、なんとその王家は、ほとんどの種族を既に嫁にしています。既に種族の代表が嫁いでいるのです」

俺は頭を抱える。

「あのな・・・」
「既に各国への打診は済んでおります」
「はあ?!!」

俺は椅子から立ち上がる。

「各国の為政者は、そのまま都市の為政者となり生活はなんら変わりありません。ただ、忠誠を誓う相手が出来るだけです」
「バカな、誰も賛成などするわけない」

フェル王国の現王が答える。

「そうでもありません」
「ねーよ」
「よくお考えを。ヨシト様、貴方はどこの所属なのですか?」
「どこでもねーよ」
「ではお住まいは?」
「そりゃケイノスだけど」
「そしてケイノスを守るためにヨシト様は立ち上がった。ご自身が住まわれる場所です、守るのは当然でしょう。そして龍をも壊滅する力がケイノスにある。それは各国から見たら危険極まりない」
「・・・・・・そんなつもりはないし、そんなことに協力しない」

俺は椅子に座りなおす。

「ですが懸念は消えません。なら、消してしまえばいい。全てがヨシト様の国なら、全ての国がヨシト様に守られます」
「極端すぎる」
「ヨシト様の存在が極端なのです。最悪なのは、今の状態でヨシト様が死ぬ事です」
「・・・」
「巨大な力を持つ女たちを、各種族は取り合うでしょう。一気に戦乱の世になります。それも特大の。それこそが龍神王の狙いではないでしょうか」
「・・・」

一理なくはない。特にアリサの流星雨は全人類にとって驚異だろう。アリサは人族だ、なら亜人たちはアリサを恐れる。そしてその対抗を求める。エルフならメイ、バセアーはメリッサ、カラディンは葉っぱ?いや、巨人族と交流があるモーラ?考えただけでも恐ろしい。
それを纏め上げてるのは俺。

(普通、エルフに俺を取り込もうとするよな。でもそれをしないだけマシなのか?)

「そのご様子だと、まだバセアーにも行ってないのでしょう。まずは回ってみてはいかがでしょう」
「・・・」

俺とリモアはとりあえずバセアーに行ってみることにした。
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