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第五章

演説

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俺たちは次の日、ギルドの女職員に言った通りに、首都エルダイトのステージで女神を待った。そこには女神の話を聞こう、女神を見たいと言う人で溢れ返っていた。

一番前に行き、話をしてみようとも思ったが、リモアと女神はこのくらいの近距離になれば、お互いの場所が分かると言う。ここはあえて一番後ろで女神が何を話すのか、聞いてみることにした。

すると、テレポートだろうか、リモアのような幼女と黒目黒髪の四人がいきなり現れた。
 
「「「「「うおおおおおおお!」」」」」

それを発端に一気に大歓声が起こり、更に黄色い声援や野太い声援が飛び交う。

女神さまあああああ!!!!!
ハルミさまあああああ!!!!!
キャー~~!タケルさまあああああ!!!!!
ケイコ様!、アキナ様!!!!

俺は鑑定をする。


【ラステル】

名前 ラステル
年齢 ー
性別 女
種族 人族
称号 女神

レベル ー

STR C    VIT C
DEX C   AGI C
INT C  MEN C

スキル



【タケル=スズキ】

名前 タケル=スズキ
年齢 16
性別 男
種族 人族
称号 勇者

レベル 52

STR B    VIT B
DEX A   AGI A+
INT B+  MEN B

スキル
聖剣技(lv5)
剣術(lv6)
聖魔法(lv5)
亜空間倉庫
言語理解

熾天使セラフ降臨


【熾天使降臨】
熾天使をその身に降臨させ
莫大な力を得る。


【ケイコ=ヨシオカ】

名前 ケイコ=ヨシオカ
年齢 16
性別 女
種族 人族
称号 勇者

レベル 48

STR D    VIT D
DEX C   AGI B
INT A  MEN B

スキル
火魔法(lv4)
風魔法(lv6)
水魔法(lv5)
土魔法(lv5)
雷魔法(lv6)
空間魔法(lv7)
言語理解
亜空間倉庫

賢者の知恵


【賢者の知恵】
5属性が行使可能になる。
火、水、風、土、雷



女神は本当にラステルと言う名前のようだ。
リモアはヴァンパイアがベースだったからか、魔物のような鑑定結果だが、女神は人族ベースだからか、人間のような鑑定結果だった。詳細はわからないが。

勇者はこの二人が多少まともなだけで、あとは普通の銀級~金級の冒険者と変わらなかった。
この二人がユニークスキル、すなわち龍の紋章持ちなのだろう。
だが、熾天使降臨がどのくらいの強さかわからないが、どうにも紋章の力にしては弱いとも思える。

(はっきり言って余裕だな。紋章ガチャとでも言えばいいか?引きが弱かったのかな・・・・・・いや、その人に合わせた力になるって話だな、じゃあモーラたちは潜在的に元々強かったってことか)

勇者たちは民衆にアイドルのように手を振り、女神はあざとい可愛さで、演説を行っている。

女神はまるで、リモアと白と黒のようだ。
見た目はリモアくらいの幼女、金髪を縦ドリルにし、リモアとそっくりのドレスを着ている。
ただし、黒と赤を基調としているリモアに対し、白と黄色を基調としたドレスを着ている。

勇者たちは、
タケルは絵にかいたようなイケメン、ツーブロックの黒髪を前髪だけ垂らし、事あるごとに首を回し前髪をあげる。
一番美人はハルミだ。清楚と言う言葉がよく似合う。
メイが聖女の称号をはじめは持っていたが、ハルミのが聖女にぴったりだ。
正直、俺が日本で見たどの芸能人よりも可愛い。スタイルもよく、異世界に来るより日本に居たほうが幸せだったろうなと思える。

「ヨシト様、何かヨシト様から不穏な雰囲気を感じます」
「気のせいだろ」


もちろん、俺の女たちが負けてるわけではない。

(まあ、うちの面子には叶わないがな!こちとら異世界種族だ、そんじょそこらの女には負けねーよ!・・・負け惜しみじゃないんだからね!)


その他の女二人も、充分可愛い。
空間魔法持ちのケイコは、高校の制服のままだ。
それに黒ぶちメガネをかけ、今時三つ編みで少しおどおどしている。

「あのメガネが一番計算高いわ・・・、絶対狙ってるわよ」
「アリサもそんな僻んだようなこと言うんだな」
「あれは仕方ないでしょ?!狙いすぎよ!」


メインの演説内容は、
龍はこの世界の転覆を図っている。今は友好な関係を築いている亜人も、龍が亜人や魔物をまとめ、襲ってくるかもしれない。
いつ攻めて来られても良いように、人族は一つにまとまる必要がある。

これをもっと柔らかく、諭すように説明しているような感じだ。

「こうやってしょっちゅう演説することで、民衆を戦争に感情を傾けているのね」
「なんか意外と緩いわね、もっと洗脳とかすれば良いのに。お兄ちゃんならどうする?」
「どうするって言われてもな・・・」


「そして!本日はこの私を解放してくださった勇者様がこのエルダイトに来ております!」

女神は俺たちを指差し、民衆の目をこちらに注目させる。
一斉に一番後ろの俺たちを、民衆が見つめる。
数秒で、

「「「「「うおおおおおお!!!」」」」」

大歓声が巻き起こり、あわやもみくちゃにされそうになったが、モーラとリモアが咄嗟に剣を抜き、民衆をせき止めた。

民衆はふたりの剣を見て、足が止まりざわざわとし始める。
俺はわざとらしく女神に話しかける。

「女神様、僕らちょっと忙しくてね、こんなところじゃなく、落ち着いた場所で話せませんか?」

女神は幼女に似合わない、妖しい目つきで俺に言う。

「意外とノリが悪いのです。良いのです、私の部屋まで案内するのです。ハルミ、よろしくなのです。ケイコ、行きますなのです」
「わかりました、女神様」「はい・・・」

すると女神はケイコの空間魔法により、消えてしまった。辺りはざわざわとしだすが、残ったハルミが仕切りだす。

「静かに!、皆さま本日の女神さまのご教義は終了です。また来週開催いたしますのでよろしくお願い致します」

民衆はまだざわざわとしていたが、しばらくして民衆は去っていった。
その際、俺たちに握手を求めるもの、俺たちのせいで女神が帰ったことにより、俺たちを睨むもの、対応は様々だった。

「では行きましょうか、初代勇者様」

ハルミはニッコリと微笑むと、俺たちを城に案内し始めた。




歩きながら、俺はハルミに質問をする。

「一体どういうつもりだ?」
「・・・・・・」
「名前からして、やっぱり日本人か?」
「・・・・・・」
「ちょっと、お兄ちゃんが質問してるじゃない!なんとか言いなさいよ!」
「・・・・・・」

ハルミの顔を観ると、俺に目線を合わせて、ニッコリと微笑んだ。
どうやら答える気がないようだ。

(良いだろう、答える気がないなら、それはそれで構わない。女神からたっぷり聞き出してやる。力ずくでもな・・・)
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