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第五章
挨拶回り
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銀の鐘亭に行き、長い間世話になった挨拶をして、その日から俺たちは拠点に移動した。
豪邸だ。日本でこれを買ったら、過疎地の片田舎でも億は確定と思える豪邸だ。
多分俺は異世界転移してなかったら、こんな豪邸には住めなかったろう。そう考えると異世界も悪くないかもしれない。
まずは風呂だ。
雑貨屋で新しいタオルをたくさん買い込んで、脱衣室にセットする。
その時に気づく。家、風呂、トイレ、キッチンとほぼ全て揃ったが、洗濯機がない。
今までおざなりな洗濯で済ませて来たが、これからは考えないといけないだろう。
アリサとメイが風呂に湯を張る。全員を呼んできて一緒に風呂に入ることにした。
皆、警戒心なしに全裸になるが、アリサだけはタオルで体を隠す。
全員で湯を体にかけ、風呂に浸かる。湯船だけで6畳だ、風呂が広いから余裕で全員入れる。
「あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁぁ」
「・・・お兄ちゃん、おっさんくさ」
「・・・・・・気持ちいい~・・・」
「これはくせになりそうだね」
「この程度でしたら、お湯を張る魔力も気になりませんね」
「・・・・・・」
俺が湯船の一番奥の縁に頭を乗せ、足を伸ばして風呂につかると、右隣にメイ、左隣にメリッサがぴったりとくっつき俺の真似をしている。俺の正面にはモーラがいて、モーラも同じような体制なので、俺とモーラの脚は自然と絡み合う。リモアは俺の腹をベッドにするように、湯船に横になっている。
おかしなやつが二人いる。いや、一人か。
全裸になり、湯船には浸かっているのだが、俺の対角にアリサを抱き抱えながら湯船の中に小さくなってるやつがいる。
この状況に対して、アリサが物申してくる。
「血、吸わないでよね?」
「・・・アレはお前らの責任でもある」
葉っぱは、迷宮での獣タイムがかなり怖かったらしく、トラウマになりかけてる。
「ちっ、お前、全裸を俺に洗わせたくせに・・・」
「アレは私でも怖いわよ!」
「・・・もう葉っぱはアリサと仲良くしたら良いんじゃないか?」
メリッサが俺の左腕を掴みながら、
「それが良いわ!これで私も・・・・・」
それを聞いたアリサはザバッと湯船から立ち上がり、
「あんたねぇ・・・、あんただって散々━━━」
「アリサッ!」
メリッサは顔を真っ赤にして、立ち上がる。
「俺は気にしないぞ。仲良くしてくれたら」
メリッサはキッと俺を睨む。
「私たちはマッサージしてるだけよ!やましいことはしてないわっ!」
「・・・俺、何も言ってないけど」
「っ!!!」
メリッサは顔を真っ赤にして湯船に潜った。
「アリサ、隠さないのか?」
「っ!!!」
Bくらいはあるアリサの胸を堪能したあとに、アリサに一言言うと、アリサは胸を隠して湯船に浸かった。
(騒がしくて仕方ない・・・)
湯船から出て、お湯を抜き、お湯が抜けきる間に体を洗う。
俺はご機嫌取りにメリッサの体を洗ってやって、メイとモーラに体を洗ってもらった。
そしてまたアリサとメイが湯船にお湯を張り、再度湯船に浸かる。
(お湯魔法便利だ・・・、お湯を釜で沸かしてたらこうはいかない。きれいなお湯に2回入れるからな・・・)
風呂からあがり、2階の大寝室のバルコニーへの出口を開放し、大寝室とバルコニーをセットでリビング代わりにする。
すると、メイと葉っぱが何やら持ってきた。
「ヨシト様、どうぞ」
「っお、ありがとう」
それはアイスと氷入りのオレンジジュースだった。
「メイが作ったのか?」
「はい、氷魔法を使うとすぐできますので」
「なるほど」
前にアイスを見たときは、俺は丸太にくくられていたし、それに手を出す余裕もなかった。
俺はスプーンでアイスを口にする。
「うまっ!!!バニラかよ!」
「お口にあって良かったです」
メイはにっこりと微笑む。
(マジでメイ万能すぎるだろ。どっかのぶっぱなすだけの妹に見習いさせたい・・・・・・)
「わ、私だって、やれば出来るんだから!・・・夕飯は見てなさいよ!」
「・・・期待しとくよ」
飯はほとんど俺の担当だったが、出来るだけで好きな訳じゃない。アリサも米くらいは炊けるのは知ってる。今までアリサが飯を作ると、毎回おにぎりと味噌汁だった。
お手並みを拝見いたしましょう。
この日は、メイがまだ大丈夫と言うので、モーラと一緒に寝た。モーラは癒される。
夕飯?・・・・・・言う必要ないと思うが、焼おにぎりと焼肉だった。
◇◇◇◇◇◇◇
夜が明ける。
さて、武闘大会までしばらく時間がある。あと1ヶ月だそうだ。その間にやらなきゃいけないことは、
・キャサリンに挨拶
・アンジェラに報告
・辺境伯の相談を聞きに行く
・冒険者ギルドに迷宮の売上を貰いにいく
ことぐらいだ。あとは少しゆっくりしたい。
「という事で、俺はキャサリンに挨拶にいく。お前らはどうする?」
「私は拠点も出来ましたので、必要なものの買い出しに行きたいと思います。メリッサとソフィアを連れていきたいのですが」
「わかったわ」
葉っぱは俺を見ている。
(おお!まさか奴隷だから俺の許可をとか?!こいつにこんな気遣い出来るのか!)
「葉っぱ、メイを手伝ってくれ」
「わかった」
「モーラとアリサはどうする?」
モーラとアリサは顔を見合わせて、
「私たちも買い物に行くわ。服とか見てくる」
「途中でメイ子に合流するよ」
「了解。メリッサ、金は足りるか?」
「大丈夫よ」
「使いきっても良いからな」
俺は白金貨と金貨を少し、それ以外の小銭を残して全部メリッサに渡す。
「モーラとアリサもメリッサから金をもらってくれ」
「わかったわ」
◇◇◇◇◇◇◇
リモアと二人でキャサリンの店に向かう。
「いらっし━━━━、あらっ、お久しぶりね♪」
筋肉隆々のオカマ、キャサリンだ。
情報屋の元締め?なら、もう葉っぱがうちに入ったのは知ってるはずだが、キャサリンは悪びれもしていない。
「よお、元気そうだな」
「お陰さまで♪」
何がお陰さまなのか。
「その子も新しい子なのね?」
「葉っぱはうちに入れたぞ?ついでに奴隷にした」
「そう、良かったわ♪」
「・・・・・・」
(良かった?良かったってなんだよ!)
キャサリンはカウンターに片ひじをつき、余裕の表情で俺を見ている。
「・・・・・・俺が何しに来たか聞かないのか?」
「お客様にそれを聞くの?どんだけぇ~~♪」
「・・・・・・」
(こいつ・・・)
俺が少しイラッとすると、キャサリンから切り出してくる。
「挨拶はこのくらいね♪、アタシはハルート様の隠密よ」
「は?・・・情報屋じゃないのか?」
「もちろんっ、ハルート様への情報を集めるために、そういう手段も使うわ♪、でも本職はハルート様付きの隠密なの♪」
「・・・」
俺が考えこんでると、
「そう♪、その隠密に貴方が飛び込んできただけ♪アタシは困っていた貴方を助けた。アタシはその情報を調べあげてからハルート様に報告する。たったこれだけよ?普通じゃない?♪」
「・・・・・・」
「これでも、貴方が困らないようなタイミングで報告するぐらいはしたわよっ?感謝してほしいわ♪」
「・・・・・・」
(内情はわからないが、確かに困るようなことはなかった。俺の情報がもっと早く流れてれば、俺は早くから貴族に目をつけられたりしてたはず。でも実際は、桜花乱舞を仲間にしてからだ。そのせいで初の辺境伯の対談の時も強気に出れた)
「・・・・・・なら、葉っぱは?何故葉っぱを俺に食い込ませようとした」
「もちろんっ、情報が欲しいからよ。でもハルート様は貴方を守るために情報を欲っしたの。知らず知らずのうちに貴方と敵対してたなんて、笑えないもの♪ハルート様は先見の明があるわ。ちょっと太りすぎだけど♪」
「・・・・・・」
(何でも思い通りかよ!・・・でも事実、結果は間違ってない。何も言い返せねーな)
「葉っぱを俺は取り込んだぞ?構わないのか?」
「あの子も若いときから苦労してるもの。これからは貴方が幸せにしてくれるんでしょ?願ったり叶ったりよ♪」
「・・・・・・」
(何故こうも俺は、色んなやつの思惑通りに動いてるのか・・・。普通、ラノベの主人公ってもっと自分の思い通りに世界を動かす!みたいなやつじゃないのか?!・・・・・・くそが、それだけが納得いかない!)
転生して2倍の人生経験があるわけでもなく、ただの成人したての若造だ、それも日本のぬるま湯生活をしてただけなら、当然と言えば当然かもしれない。
「わかったよ、帰るよ」
俺とリモアが店を出ようとすると、
「ハルート様のお願いを聞いてあげて」
俺は振り返り、視線だけキャサリンに向けて店を出た。
◇◇◇◇◇◇◇
アンジェラの所に向かおうとしたが、ふと思い付いてザルバの店に向かう。
「何か用か」
ザルバはいつもの調子だった。
これでも怒ってるわけではない。
「あの鎧を着た女な、あれ、うちで面倒見ることになった。それだけ言っておこうと思って」
すると珍しくザルバは大きく反応する。
「そうか、ならここへ連れてこい」
「いや、悪かったよ。1週間で逃げ出したんだろ?迷惑かけたかも━━━━」
「そんなことはどうでもいい!」
ダン!
ザルバはカウンターを叩いた。
「あいつには素質がある。戦いには不向きだろう。鍛冶を教えてやる。その方があいつにも、お前の為にもなるはずだ」
これは渡りに船だった。
この可能性をすっかり忘れていた。
「いいのか?」
「それがモーラの為にもなる」
「・・・・・・」
(モーラとどんな関係なんだ?、すげえモーラを気にするよな)
「あー、ザルバ、モーラとは━━━━」
「モーラから聞け。モーラが話さないなら言わん」
「・・・・・・」
(まあ、いいか)
「明日からでいいか?」
「待つ」
「じゃあ明日からここに通わせるよ、葉っぱを頼むな」
さて、次はアンジェラだ。
豪邸だ。日本でこれを買ったら、過疎地の片田舎でも億は確定と思える豪邸だ。
多分俺は異世界転移してなかったら、こんな豪邸には住めなかったろう。そう考えると異世界も悪くないかもしれない。
まずは風呂だ。
雑貨屋で新しいタオルをたくさん買い込んで、脱衣室にセットする。
その時に気づく。家、風呂、トイレ、キッチンとほぼ全て揃ったが、洗濯機がない。
今までおざなりな洗濯で済ませて来たが、これからは考えないといけないだろう。
アリサとメイが風呂に湯を張る。全員を呼んできて一緒に風呂に入ることにした。
皆、警戒心なしに全裸になるが、アリサだけはタオルで体を隠す。
全員で湯を体にかけ、風呂に浸かる。湯船だけで6畳だ、風呂が広いから余裕で全員入れる。
「あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁぁ」
「・・・お兄ちゃん、おっさんくさ」
「・・・・・・気持ちいい~・・・」
「これはくせになりそうだね」
「この程度でしたら、お湯を張る魔力も気になりませんね」
「・・・・・・」
俺が湯船の一番奥の縁に頭を乗せ、足を伸ばして風呂につかると、右隣にメイ、左隣にメリッサがぴったりとくっつき俺の真似をしている。俺の正面にはモーラがいて、モーラも同じような体制なので、俺とモーラの脚は自然と絡み合う。リモアは俺の腹をベッドにするように、湯船に横になっている。
おかしなやつが二人いる。いや、一人か。
全裸になり、湯船には浸かっているのだが、俺の対角にアリサを抱き抱えながら湯船の中に小さくなってるやつがいる。
この状況に対して、アリサが物申してくる。
「血、吸わないでよね?」
「・・・アレはお前らの責任でもある」
葉っぱは、迷宮での獣タイムがかなり怖かったらしく、トラウマになりかけてる。
「ちっ、お前、全裸を俺に洗わせたくせに・・・」
「アレは私でも怖いわよ!」
「・・・もう葉っぱはアリサと仲良くしたら良いんじゃないか?」
メリッサが俺の左腕を掴みながら、
「それが良いわ!これで私も・・・・・」
それを聞いたアリサはザバッと湯船から立ち上がり、
「あんたねぇ・・・、あんただって散々━━━」
「アリサッ!」
メリッサは顔を真っ赤にして、立ち上がる。
「俺は気にしないぞ。仲良くしてくれたら」
メリッサはキッと俺を睨む。
「私たちはマッサージしてるだけよ!やましいことはしてないわっ!」
「・・・俺、何も言ってないけど」
「っ!!!」
メリッサは顔を真っ赤にして湯船に潜った。
「アリサ、隠さないのか?」
「っ!!!」
Bくらいはあるアリサの胸を堪能したあとに、アリサに一言言うと、アリサは胸を隠して湯船に浸かった。
(騒がしくて仕方ない・・・)
湯船から出て、お湯を抜き、お湯が抜けきる間に体を洗う。
俺はご機嫌取りにメリッサの体を洗ってやって、メイとモーラに体を洗ってもらった。
そしてまたアリサとメイが湯船にお湯を張り、再度湯船に浸かる。
(お湯魔法便利だ・・・、お湯を釜で沸かしてたらこうはいかない。きれいなお湯に2回入れるからな・・・)
風呂からあがり、2階の大寝室のバルコニーへの出口を開放し、大寝室とバルコニーをセットでリビング代わりにする。
すると、メイと葉っぱが何やら持ってきた。
「ヨシト様、どうぞ」
「っお、ありがとう」
それはアイスと氷入りのオレンジジュースだった。
「メイが作ったのか?」
「はい、氷魔法を使うとすぐできますので」
「なるほど」
前にアイスを見たときは、俺は丸太にくくられていたし、それに手を出す余裕もなかった。
俺はスプーンでアイスを口にする。
「うまっ!!!バニラかよ!」
「お口にあって良かったです」
メイはにっこりと微笑む。
(マジでメイ万能すぎるだろ。どっかのぶっぱなすだけの妹に見習いさせたい・・・・・・)
「わ、私だって、やれば出来るんだから!・・・夕飯は見てなさいよ!」
「・・・期待しとくよ」
飯はほとんど俺の担当だったが、出来るだけで好きな訳じゃない。アリサも米くらいは炊けるのは知ってる。今までアリサが飯を作ると、毎回おにぎりと味噌汁だった。
お手並みを拝見いたしましょう。
この日は、メイがまだ大丈夫と言うので、モーラと一緒に寝た。モーラは癒される。
夕飯?・・・・・・言う必要ないと思うが、焼おにぎりと焼肉だった。
◇◇◇◇◇◇◇
夜が明ける。
さて、武闘大会までしばらく時間がある。あと1ヶ月だそうだ。その間にやらなきゃいけないことは、
・キャサリンに挨拶
・アンジェラに報告
・辺境伯の相談を聞きに行く
・冒険者ギルドに迷宮の売上を貰いにいく
ことぐらいだ。あとは少しゆっくりしたい。
「という事で、俺はキャサリンに挨拶にいく。お前らはどうする?」
「私は拠点も出来ましたので、必要なものの買い出しに行きたいと思います。メリッサとソフィアを連れていきたいのですが」
「わかったわ」
葉っぱは俺を見ている。
(おお!まさか奴隷だから俺の許可をとか?!こいつにこんな気遣い出来るのか!)
「葉っぱ、メイを手伝ってくれ」
「わかった」
「モーラとアリサはどうする?」
モーラとアリサは顔を見合わせて、
「私たちも買い物に行くわ。服とか見てくる」
「途中でメイ子に合流するよ」
「了解。メリッサ、金は足りるか?」
「大丈夫よ」
「使いきっても良いからな」
俺は白金貨と金貨を少し、それ以外の小銭を残して全部メリッサに渡す。
「モーラとアリサもメリッサから金をもらってくれ」
「わかったわ」
◇◇◇◇◇◇◇
リモアと二人でキャサリンの店に向かう。
「いらっし━━━━、あらっ、お久しぶりね♪」
筋肉隆々のオカマ、キャサリンだ。
情報屋の元締め?なら、もう葉っぱがうちに入ったのは知ってるはずだが、キャサリンは悪びれもしていない。
「よお、元気そうだな」
「お陰さまで♪」
何がお陰さまなのか。
「その子も新しい子なのね?」
「葉っぱはうちに入れたぞ?ついでに奴隷にした」
「そう、良かったわ♪」
「・・・・・・」
(良かった?良かったってなんだよ!)
キャサリンはカウンターに片ひじをつき、余裕の表情で俺を見ている。
「・・・・・・俺が何しに来たか聞かないのか?」
「お客様にそれを聞くの?どんだけぇ~~♪」
「・・・・・・」
(こいつ・・・)
俺が少しイラッとすると、キャサリンから切り出してくる。
「挨拶はこのくらいね♪、アタシはハルート様の隠密よ」
「は?・・・情報屋じゃないのか?」
「もちろんっ、ハルート様への情報を集めるために、そういう手段も使うわ♪、でも本職はハルート様付きの隠密なの♪」
「・・・」
俺が考えこんでると、
「そう♪、その隠密に貴方が飛び込んできただけ♪アタシは困っていた貴方を助けた。アタシはその情報を調べあげてからハルート様に報告する。たったこれだけよ?普通じゃない?♪」
「・・・・・・」
「これでも、貴方が困らないようなタイミングで報告するぐらいはしたわよっ?感謝してほしいわ♪」
「・・・・・・」
(内情はわからないが、確かに困るようなことはなかった。俺の情報がもっと早く流れてれば、俺は早くから貴族に目をつけられたりしてたはず。でも実際は、桜花乱舞を仲間にしてからだ。そのせいで初の辺境伯の対談の時も強気に出れた)
「・・・・・・なら、葉っぱは?何故葉っぱを俺に食い込ませようとした」
「もちろんっ、情報が欲しいからよ。でもハルート様は貴方を守るために情報を欲っしたの。知らず知らずのうちに貴方と敵対してたなんて、笑えないもの♪ハルート様は先見の明があるわ。ちょっと太りすぎだけど♪」
「・・・・・・」
(何でも思い通りかよ!・・・でも事実、結果は間違ってない。何も言い返せねーな)
「葉っぱを俺は取り込んだぞ?構わないのか?」
「あの子も若いときから苦労してるもの。これからは貴方が幸せにしてくれるんでしょ?願ったり叶ったりよ♪」
「・・・・・・」
(何故こうも俺は、色んなやつの思惑通りに動いてるのか・・・。普通、ラノベの主人公ってもっと自分の思い通りに世界を動かす!みたいなやつじゃないのか?!・・・・・・くそが、それだけが納得いかない!)
転生して2倍の人生経験があるわけでもなく、ただの成人したての若造だ、それも日本のぬるま湯生活をしてただけなら、当然と言えば当然かもしれない。
「わかったよ、帰るよ」
俺とリモアが店を出ようとすると、
「ハルート様のお願いを聞いてあげて」
俺は振り返り、視線だけキャサリンに向けて店を出た。
◇◇◇◇◇◇◇
アンジェラの所に向かおうとしたが、ふと思い付いてザルバの店に向かう。
「何か用か」
ザルバはいつもの調子だった。
これでも怒ってるわけではない。
「あの鎧を着た女な、あれ、うちで面倒見ることになった。それだけ言っておこうと思って」
すると珍しくザルバは大きく反応する。
「そうか、ならここへ連れてこい」
「いや、悪かったよ。1週間で逃げ出したんだろ?迷惑かけたかも━━━━」
「そんなことはどうでもいい!」
ダン!
ザルバはカウンターを叩いた。
「あいつには素質がある。戦いには不向きだろう。鍛冶を教えてやる。その方があいつにも、お前の為にもなるはずだ」
これは渡りに船だった。
この可能性をすっかり忘れていた。
「いいのか?」
「それがモーラの為にもなる」
「・・・・・・」
(モーラとどんな関係なんだ?、すげえモーラを気にするよな)
「あー、ザルバ、モーラとは━━━━」
「モーラから聞け。モーラが話さないなら言わん」
「・・・・・・」
(まあ、いいか)
「明日からでいいか?」
「待つ」
「じゃあ明日からここに通わせるよ、葉っぱを頼むな」
さて、次はアンジェラだ。
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