俺の知っている異世界はどこにある

はがき

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友軍

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セイコが識別信号を確認し、レッドではない部隊を発見した。恐らくダサイタ軍かそれにまつわる軍隊だろう。

俺たちはそこに向かってゴッドライガーで走る。
四つ足だから悪路でも関係ないのが良い。

そこは駐屯地だった。案の定ダサイタ軍の駐屯地だった。
俺たちは識別信号を出していないので、安全のためゴッドライガーから降りずに話しかける。

『俺たちはタテハマシティから来た傭兵だ。わけあって識別信号が出せない。誰か話を出来るやつはいるか?』

当然魔鋼機で囲まれ、銃口を向けられているが、水と食料を確保すべくおとなしくしている。

周囲からの怒号が飛び交うなか、一人の男が生身で現れた。拡声器のようなもので俺に話しかけてくる。

『奇っ怪な魔鋼機を乗るものよ、私はトッキョ軍、傭兵中隊のクランガン少佐だ。敵でないと言うならば認識番号は持ってるか?』

そうだ、それを忘れていた。それならば話は早かった。

『認識番号09196897、ジンだ。今から魔鋼機を降りる』

俺はハッチを開き、ゴッドライガーの上に立つ。
すぐさま銃口を向けられる。その後にセイコも出てきた。

すると駐屯地のテントの中から兵士が一人走って出て来て、少佐に耳打ちをする。

「お前が、あの『勇者』ジンか。そっちの女は?」
「魔鋼機の操縦士だ。この魔鋼機は二人乗りでな」
「識別信号はどうした?」
「ここに来たときの魔鋼機は撃墜された。これは予備だ」
「貴様の部隊は壊滅している。何用でここに来た?」
「水と食料を分けてほしい。手土産になる情報もある」
「・・・よかろう。付いてこい」

俺とセイコはハッチを閉じ、ゴッドライガーから飛び降りて少佐に着いていった。


◇◇◇◇◇◇◇◇


「して、情報とはなんだ?」

俺は飯と水、ワインも出してもらい、椅子に座ってそれを食いながら少佐と話す。セイコは俺の後ろに立っている。

「連合軍が大群で攻めてくることは?」
「・・・なぜそれを知っている?」
「だけど、敵の到着がないから、困ってるんだろ?」
「・・・・・・」

少佐は机の下に手を入れた。
銃口が俺に向いているようだ。

「大体100くらいか?倒したぞ」
「何を言ってる」

少佐は理解が出来ないのだろう、驚きもしていない。

「俺が一人で倒した。ここから北に20km北ぐらいだ。行って確認してくるといい。残骸ぐらいは残ってるだろ」

少佐は眉を寄せるが、すぐさま部下を呼び偵察を出した。

「仮にだ、仮に貴様の言うことが本当ならば、どうやってやった?」
「もちろん、あの魔鋼機でだ」
「笑うところか?」
「嘘は言ってない」
「・・・・・・」
「試すか?魔鋼機1台ダメにしていいなら、見せてもいいが?」
「・・・そこまで言うならやってみろ」


俺とセイコはゴッドライガーに乗り込み、ゴッドライガーを起動する。
少し離れた場所に移動し、少佐もジープで着いてくる。

『魔鋼機から降りてくれ』
『何故だ?』
『死にたいのか?』
『こちらは最新鋭だ。弾丸も通さない』

現地に着いたので、そう説明したのだが自信満々のようで降りてくれない。流石に友軍を殺すわけにはいかない。

『なら、そっちから壊すつもりで攻撃してくれ。俺は動かない』
『・・・正気か?』

魔鋼機乗りは、躊躇しているようだ。当たり前か。だが、少佐が、

『やれ』
『はっ!』

魔鋼機は魔鋼機用の機関銃を構え、ゴッドライガーにフルオートでぶっぱなす。

キンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!

『やめええええええええ!』

掃射が止まる。
それはそうだ、少佐は跳弾で死にかけた。

『ならばこっちから』

俺は四つ足で魔鋼機に向かって走り、右の前足の爪を伸ばして、魔鋼機の肩を垂直に振り下ろした。
魔鋼機の右腕は、四つに輪切りにされてゴドン!と地面に落下する。

『こんなもんでいいか?』
『『・・・・・・』』

魔鋼機乗りも、少佐も、他に観戦していた傭兵たちも誰一人例外なく言葉を失った。



◇◇◇◇◇◇◇



もう一度、少佐のテントに戻ってきた。

「アレはなんだ?」
「魔鋼機だ」
「そんなものはわかっている!!!」

ダン!

少佐は机を思いっきり叩く。

「貴様が壊したものは、トッキョ軍の最新鋭魔鋼機だ!!現在配備されているものであれより高性能の魔鋼機は存在しない!」
「それは悪かったな。修理代で家でも建つか?」
「何故それが存在していると言っている!」
「そう言われてもな」
「少佐!!!!!」

兵士がテントに走り込んできた。

「敵が・・・敵が消えました!跡形もありません!!!」
「こいつがやったと言っている、残骸があるだろうが!」
「有ったのは、溶解した装甲の一部と焼けただれた土地だけです!」
「・・・・・・」

少佐は俺を睨んできたので頷いてやった。

ピギー、ガガガ・・・

無線機のような音がする。

『こちら哨戒ヘリMK0535、応答ねがいます』
「クランガンだ」
『少佐、敵の全線基地がもぬけの殻です!撤退をしています!』
「何故だ!」
『不明です!ですが、辺りに敵は見当たりません!!!完全に撤退しています!!!』

少佐は大きく目を見開いて俺を見てくる。
当然だ。あの魔鋼機の数なら大隊クラスだろう。それに従軍歩兵なども居たはずだ。それが一瞬で消えた・・・ともなれば、戦争にはならない。

「まさか・・・」
「ああ、俺が燃やした。それも見たいのか?だが、それをすると駐屯地が消えることになっちまうな」
「・・・・・・」

少佐の目は、目が落ちるほど開きっぱなしだ。
だが、1分ほど黙りこくったあと、

「アレは軍で接収する」
「は?」
「貴様には代替の魔鋼機を用意する。それに乗ってタテハマに帰れ」
「本気で言ってるのか?」

一気に状態が傾いた。

「私も軍人だ。情報を精査した結果、信じられないことに貴様の言葉は真実のようだ。ならばそれは個人が所有して良い戦力を超えている。軍の管理下に置くために接収する」

カチャリ

テントには10人ほどの兵士が入ってきて、全員銃で武装している。
もちろん、銃口は俺とセイコに向いている。

「嫌だと言ったら?」
「これは命令だ。嫌とは言わせない」
「抵抗するぞ?」
「この状況で出来るなら、やってみるがい━━━」

少佐が言葉を言い終わる前に、俺とセイコは動き出していた。俺は椅子から立ち上がり、一人一発ずつで伸していく。顔をなぐられ吹っ飛ぶ者、腹を殴られうずくまる者、こんな狭い場所では銃はぶっぱなせない。
5秒もかからずに、少佐以外を全員戦闘不能にした。

「・・・・・・」

少佐はまた目を見開いて、固まっている。

「やってみろと言われたからやってみたぞ?」
「・・・化け物か・・・」
「酷い言いぐさだな。俺は敵を倒し、その情報を持ってきた。それに対する褒美がこれか?」
「・・・・・・・・・軍法会議にかけるぞ」

俺は両手を拡げ、肩をくいっとすくめる。
そして、椅子に座ったままの少佐の太ももを右足で踏みつける。

「なら、ここも灰にしていくか。俺は全く悪いことはしてないんだけどな。適当な罪でも着せられて罪人にでもされそうだ」
「・・・・・・」

流石少佐ってところだろう。ガタガタ震えたりビビったりする様子はない。

「私も間違ったことは言ってない。アレは危険だ、軍の管理下に置くことは必須だ」
「・・・」

今度は俺が黙るターンだ。
友軍殺しをしたくはない。だが、接収もいやだ。でもここで暴れて罪人として追われたくもない。

するとセイコが無線機を弄り出した。
1分ほどで俺に報告してくる。

「タテハマシティの王宮とつながりました」
「お前、グッジョブすぎるだろ」

少佐をセイコに任せて、王宮と会話する。しばらくしてからレイア姫と繋がり、事の顛末をすべて話す。

「わかったわ、ジン。タテハマシティに戻ってきて。私が全面的にバックアップするわ」
「お前の魔鋼機を壊したぞ」
「そんなのはいいわ。(ジンが生きてるなら)」
「あん?」
「なんでもないわ!急いで戻りなさい」
「わかった」

俺が無線機を切ろうとすると、

「あ、ジン」
「・・・何だ?」
「その女とエロいことをしたら、殺すわよ」
「・・・そのエロい穴がないから困ってるんだよ・・・」

俺は無線機を置いた。

「そういうことだから、少佐。文句はカナリバー国を通してくれ」
「・・・・・・」

他人の物を無理やり接収とか、この世界の常識はうんざりだ。

「くそったれ以外はいねーのかよ・・・やれやれだ・・・」
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