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4 エロ魔王に訊いてみな(その6)

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「で、次はどうする?」
 オペレーションルームのキャビネットから取り出したコーヒーを手に静刻が振り返る。
 その正面でギィアは持ち帰ったブルマの一枚に足を通しながら答える。
「その“いやらしい目線”を直接、捕獲キャプチュアするのです」
 上体を起こしスカートの下へもぞもぞとブルマをたくし上げる。
「どうやって?」
「それはあとのお楽しみなのです」
 スカートをすとんと落とし、改めて前傾姿勢になってブルマの裾を整える。
「ふぅん」
 未来からなにか送ってくるのだろう――そんなことを思い、コーヒーをすすりながらぼんやりとギィアを見る。
 不意にギィアが顔を上げて、目があった。
「あんまりじろじろ見ていいシーンではないのです」
 赤い頬で口をとがらせるギィアから静刻は慌てて目を逸らす。
「ごめん……。でも、じろじろは見てないぞ」
 聞こえてないのかギィアは背筋を伸ばし後ろ手におしりの裾をぐいと伸ばし、告げる。
「では行ってくるのです」
「その格好でか」
 言うまでもなく上はセーラー服、下はブルマである。
「視線を誘導するのです。ブルマを露出させるのは当然なのです」
「そうか、ならその格好が妥当か。いや、でも――」
 一旦は納得した静刻だがすぐに思い直す。
「――認識誘導膏はどうなってんだよ。あれがあったら無意味だろ。かといって剥がすわけにもいかないし」
 認識誘導膏の効果が確実ならばたとえブルマを露出していても周囲に違和感を抱かせることはない、静刻が私服であるにもかかわらず生徒のひとりとして認識されているように。
 逆に剥がしたら剥がしたでギィアが部外者であることが一目瞭然となる。
「その点はぬかりないのです。認識誘導膏の効果を微調整すればクラスメートがブルマを露出しているようにしか見えないのです」
「さすがだな」
「ふふん、なのです」
 “よし、行こう”とソファから立ち上がろうとする静刻だが、ギィアが慌てて制する。
「静刻は来なくていいのです」
「なんで?」
 思わぬ言葉に静刻は中腰で静止する。
「視線を集めるにはあたしひとりの方がいいのです」
「そうなのか?」
 静刻は釈然としない。
「そうなのです」
 そして、目を逸らし、紅潮した頬で続ける。
「校内では静刻は、あ、あたしのボーイフレンドと認識されてるようなのです」
 静刻は昨日の昼休みに廊下で向けられた生徒たちからの視線を思い出す。
「ああ、確かにな」
「だから、静刻が一緒だと男子があたしに向けるエロ目線を遠慮したり躊躇したりするのです。だからあたしひとりで行ってくるのです」
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